2020/07/26

川で水浴しハクセキレイ♂を擬攻撃するスズメ(野鳥)



2020年5月中旬・午後14:25頃・晴れ

街中を流れる川の中洲の横でスズメPasser montanus)成鳥とハクセキレイ♂(Motacilla alba lugens)が1羽ずつ居ました。
スズメが浅瀬で水浴びを始めました。
私はスズメの砂浴びは何度か観察していますが、水浴びは嬉しい初見です。
気温を測り忘れたのが心残りです。
その間、ハクセキレイ♂はスズメには構わず、鳴いたり餌を探しながら下流の方へ(スズメから離れて)歩いて行きます。

行水を終えたスズメが下流へ飛び去るついでに、意外な行動に出ました。
ハクセキレイ♂を追いかけてモビング(擬攻撃)を仕掛けたのです。
まずは1/5倍速のスローモーションでご覧ください。
その後に等倍速でリプレイ。
スズメはハクセキレイ♂の頭上でホバリングし、なんと足で蹴るフリをしました。
背後から奇襲されたハクセキレイ♂は咄嗟に身を屈めてスズメの攻撃をかわし、軽く飛び上がってスズメを威嚇しました。
スズメはそのまま飛び去りました。
その場に残ったハクセキレイ♂は、唖然として辺りを見回しています。
スズメのモビング行動を初めて観察できて興奮しました。
しかも今回は自分よりも大きな相手に対して敢然と擬攻撃しています。
私には理由が全く分かりません。
嫌がらせをするほどの恨みがそれまでに何かあったのでしょうか?

やがてハクセキレイ♂も下流へ飛び立ちました。
流し撮りでその姿を追うと、少し下流の別な中州でハクセキレイ♂はスズメと再会していました。
(もしかするとスズメは別個体かもしれません。)
スズメは中州の横の浅瀬で何度も行水を繰り返しました。
ハクセキレイ♂も真似して行水するかと期待したのですが、私を警戒したのか、結局ハクセキレイ♂は中洲から飛び去ってしまいました。
水浴を済ませてさっぱりしたスズメは川から飛び上がると横のコンクリート護岸の上縁に止まりました。
羽根を震わせて水気を切ると、スズメは川から離れ住宅地の方へ飛び去りました。






CSアンテナの裏面に見つけたスズバチの古巣を発掘してみる


2020年5月上旬

民家の南に面した軒下に設置されてもう使われなくなったCSアンテナの裏側に大きな古い泥巣を見つけました。
パラボラアンテナではなく長方形のタイプでした。
ドロバチの仲間が作った古巣のようですが、造巣時期は分かりません。

かなり大きいので、おそらくスズバチ♀(Oreumenes decoratus)の仕業だろうと予想しました。
(エントツドロバチの可能性は?)




2020年5月中旬

色々と思案した末に、謎の泥巣を発掘・採集してみることにしました。
スズバチの成虫は5〜6月に羽化するので、育房内で越冬した蛹や前蛹がもし得られれば飼育下で羽化を観察できるはずです。
しかし泥巣の上部に開いた小さな穴が羽化孔だとすれば、古い空き巣ということになります。
もう使われていないCSアンテナ全体を台座から取り外し、泥巣を室内で飼育することも考えました。
結局、泥巣だけを採集することに決めました。
まずは泥巣の横に定規を当てて大きさを採寸します。
マイナスドライバーで泥巣の縁を少しずつ削り取ります。
CSアンテナは平面かと思いきや、波打っていました。
アンテナ面を台座に固定するボルトやナットにも泥が付着していて、発掘作業は難航しました。
最後は泥巣の縁に差し込んだドライバをこじって泥巣を営巣基質から剥がしました。
よく乾燥した泥巣はカチカチに固く、今回は剥がす際にメリメリッと紙粘土のような繊維質の感触はありませんでした。


▼関連記事(8、9年前の記録)
歩道の縁石からスズバチの泥巣を発掘
スズバチの泥巣に寄生したドロバチヤドリニクバエの羽化

横に細長い育房が縦に3つ並んでいました。
上下の育房はEIC(= empty intercalary cell)と呼ばれる空室でした。
最後に母蜂は寄生されないように巣全体を大量の泥玉で埋めたようです。
やはりスズバチ♀が作った巣のようです。
どうやら母蜂♀が営巣地の周囲で獲物があまり捕れなかったのか、あるいは産卵能力が低い個体だったようです。

中央の育房に残された貯食物?に白いカビが生えていました。
状態が悪くて何だかよく分かりません。
寄生したドロバチヤドリニクバエ?の複数の囲蛹が集合している?
スズバチ幼虫が営繭した後に捕食寄生者に食われて死んだ?
いずれにせよ、健康なスズバチ前蛹は得られませんでした。
もし泥巣を発掘しなかったら、CSアンテナの空巣をいくら監視し続けてもスズバチの羽化は期待できなかった(待ちぼうけ)ことになります。

私はスズバチ♀による造巣過程を未だじっくり観察できていないので、毎年ひたすら探し回っています。




ドウダンツツジの花で採餌するヤマトツヤハナバチ♀



2020年5月中旬・午後14:00頃・くもり

道端の生垣として植栽されたドウダンツツジにとても小さなハナバチが訪花していました。

マクロレンズを装着して接写すると顔の斑紋からヤマトツヤハナバチ♀(Ceratina japonica)と判明。
『狩蜂生態図鑑』や『日本産ハナバチ図鑑』p350によると本種は山地性で、平地性の近縁種キオビツヤハナバチと棲み分けているような書き方でした。
しかし今回の撮影地は標高約260mの平地で、郊外の住宅地(昔は農村部)でした。

逆に私は未だキオビツヤハナバチを見つけたことがありません。
こういうことはよくあるので、図鑑の記述を必ずしも鵜呑みにせずに自分のフィールドのことは自分で調べるしかありません。

ここは北の雪国なので、気温による補正が入って虫の垂直分布が変わるのではないかと個人的に予想しています。

小さな釣り鐘型のドウダンツツジの花に正当訪花を繰り返して吸蜜する蜂をよく見ると、後脚の 花粉籠 スコパ(花粉採集毛)にごく少量の黄色い花粉団子を付けていました。
こんな小さなハチが正当訪花しても口吻が蜜腺まで届くとは思えないのですけど、伸ばせば長いのでしょうか?
(吸蜜せずに集粉だけ行っている可能性は?)
花筒から顔を抜くと軽く身繕いしてから次の花へ飛んで移動します。

最後の飛翔シーンを1/5倍速のスローモーションでリプレイ。
ホバリング(停空飛行)しながら茂みの奥の花に行ってしまいました。





田中肇『昆虫の集まる花ハンドブック』でドウダンツツジを調べると、ハナバチとの共進化の結果として驚くべき内部構造の仕組みを知りました。

10本の雄しべの先には白い角状の突起が2本ずつ生え、花の中に放射状に伸びている。そのため、ハチが花の奥にある蜜を吸おうとすると、口が必ず突起に触れる。そのとき、雄しべが揺すられて白い花粉がこぼれ落ち、ハチの口の周囲につく。(p51より引用)

今回自分でもドウダンツツジの花を接写してみました。(花の分解まではしていません。)
花筒の入り口から内部が少し写っている写真を見ると、確かに雄しべから細長い突起が伸びていました。






ランダムに記事を読む

  • 脱皮前の眠で微動だにするアメリカシロヒトリ幼虫【蛾:100倍速映像】26/11/2013 - 0 Comments
  • 草むらで昼寝するネコ08/05/2019 - 0 Comments
  • ヨシの葉に残るオツネントンボの産卵痕06/06/2016 - 0 Comments
  • 田んぼで羽繕いする冬羽のノビタキ♀♂(野鳥)05/01/2019 - 0 Comments
  • 柳の葉を集団で蚕食するヒオドシチョウ幼虫【10倍速映像】18/06/2014 - 1 Comments