2016年9月下旬
里山の中腹の草むらでキイロスズメバチ♂(Vespa simillima xanthoptera)を見つけました。
触角が長いので雄蜂です。
野菊の花に登ったものの吸蜜せずに、隣接するチカラシバ?の葉を登り始めました。
そのままチカラシバの葉にしがみついて静止。
腹部をヒクヒク動かして呼吸しています。
なぜか飛べないようで、長靴の先で茂みを蹴っても飛び立ちません。
ここで腹部の異常に気づきました。
隣り合う腹節の間に不自然な隙間があり、そこからスズメバチネジレバネ(Xenos moutoni)の頭が覗いています。
寄生されたキイロスズメバチの雄蜂はこのまま弱って息絶えるのでしょうか?
飛べなくなったのは、ひょっとしてネジレバネが寄主を行動操作しているのかな?
小松貴『虫のすみか―生きざまは巣にあらわれる (BERET SCIENCE)』によると、
♂はともかく、♀のネジレバネは寄主体内で死ぬまで過ごすため、途中で寄主を殺してしまうようなことはありません。それどころか、♀のネジレバネに寄生された昆虫は、しばしば通常よりも著しく長生きすることが知られています。ネジレバネにとって寄主の死は自身の死と同義であるため、何らかの方法で寄主の寿命を操作していると考えられています。 (p290-291より引用)
撮影後に生け捕りにして持ち帰りました。
雄蜂は毒針を持たないので、刺される心配はまったくありません。
つづく→ネジレバネに寄生されたキイロスズメバチ♂にブドウの果実を与えてみた
【追記】
鈴木知之『さなぎ(見ながら学習・調べてなっとく)』によると、
2013年にスズメバチネジレバネは2種に分けられました。新種のXenos oxyodontesは主にコガタスズメバチだけに、従来のX. moutoniはそれ以外のスズメバチ属に広く寄生します。
だからと言って、今回のスズメバチネジレバネがX. moutoniとは決めつけられないようです。
X.moutoniがオオスズメバチを中心にVespa属の複数種のスズメバチを宿主として利用していたのに対し、X.oxyodontesはコガタスズメバチとキイロスズメバチへの特殊化が見られた。コガタスズメバチからはX.oxyodontesの寄生しか確認されなかった。(中瀬悠太2012年研究実績報告書より引用)
2017年7月下旬
アベリア(別名ハナツクバネウツギ、ハナゾノツクバネウツギ)の生け垣でトラマルハナバチ(Bombus diversus diversus)のワーカー♀が訪花していました。
舌が短く盗蜜癖のあるクロマルハナバチ♀とは異なり、本種はマルハナバチの中でも舌が長いので、花筒の入り口から頭を突っ込む正当訪花で吸蜜することができます。
釣鐘型の花筒の中で蜂の黒くて長い舌の出し入れが透けて見えます。
訪花の際にトラマルハナバチ♀の頭部は白い花粉で汚れますし、次の花に潜り込むときに雌しべに触れて受粉を助けています。
後脚の花粉籠に白い花粉団子を少量付けていました。
こうして、トラマルハナバチ♀は蜜の報酬の代わりに送粉者としての役割を果たしているのです。
※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。
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花筒の根本にある盗蜜痕に注目 |
高圧線の鉄塔#21でのハシボソガラス営巣記録#32
2017年6月中旬
いつものようにハシボソガラス(Corvus corone)の巣を微速度撮影で長時間監視していたら、育った雛が巣立ちを躊躇する興味深い行動が記録されていました。
前回の記事で紹介した10倍速映像から該当部分を抜粋し、2.5倍速まで再生速度を落としてじっくり見てみましょう。
親鳥が給餌を済ませて巣から離れると、直後に雛の1羽が高く飛び上がって巣の右上の鉄骨に止まりました。
そこで元気に羽ばたき練習を披露。
かなり筋力がついたようですが、このまま鉄塔から飛び降りて巣立ちするのでしょうか?!
腕白な雛は傾斜のついた鉄骨をバランスを取りながら歩いて渡り、独りで遊んでいるようにも見えます。
私の予想に反して、親鳥は餌で釣って雛の巣立ちを促したりしませんでした。
親鳥が帰巣しても巣に残った3羽の雛に給餌するだけで、巣から離れた鉄骨で遊んでいる一羽の腕白な雛のことはあまり気にしていないように見えます。
もちろん、もし雛が下界に飛び降りたら親鳥もすぐに追いかけて、茂みなど安全な場所まで雛を誘導するはずです。
高所の冒険をハラハラして見ている私の心配をよそに、腕白な雛は巣の真上の鉄骨からピョンと飛び降りて、ようやく巣に戻りました。
無事で一安心。
※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。
つづく→#33:巣立ちが遅れた最後のハシボソガラス雛が独りで羽ばたき練習(野鳥)
↑【おまけの映像】
同じ素材をほぼリアルタイムまで再生速度を落としてみました(1.25倍速映像)。
カラスの動きにもっと残像が出て、不自然な映像になってしまいます。
微速度撮影はフレームを間引きして記録しているので、完璧に復元できないのは仕方がありません。