2015/12/11

明け方に垂直円網を張るアカオニグモ♀(蜘蛛)【15倍速・暗視映像】



2015年9月下旬

アカオニグモ♀の定点観察#2


農道と用水路の間に挟まれた草むらでアカオニグモ亜成体♀(Araneus pinguis)の垂直円網を見つけました。
アカオニグモは網を毎日張り替えるようですが、造網は夜明け前に行われるそうです。
4年前の早朝にアカオニグモの造網を後半だけ撮影しています。

▼関連記事
垂直円網に横糸を張るアカオニグモ♀(蜘蛛)
なんとか造網の一部始終を動画に記録したくて、徹夜の撮影準備や防寒具を整えてから、草木も眠る丑三つ時に出撃しました。
前回と同じ隠れ家(タニウツギの葉裏)にクモを発見して一安心。
円網は既に取り壊されています。
写真は失敗しましたが、枠糸と最小限の縦糸のみが残されていました。

赤外線の暗視カメラで撮った素材を15倍速に加工した早回し映像をご覧ください。
撮影時刻は午前3:04〜6:08。
ちなみにこの日の日の出時刻は5:25、月齢8.8。

本格的に微速度撮影するにはビデオカメラを三脚に固定しなければなりません。
また、AF頼みのカメラでは背景の茂みのせいで肝心の網にピントが合わず奥ピンになってしまうため、仰角で暗い空を背景にする必要があります。
ところが手持ちの三脚は高さが大き過ぎて使えないことが現場で判明。
地面すれすれにカメラを固定できる自由雲台付きのコンパクトなローアングル三脚が欲しいところです。


仕方がないので、網の前で座ったままビデオカメラを手で持って動画撮影することにしました。
通常のカメラで撮れる明るさになってからは三脚を使いました。

夜が明けて早朝に完成した垂直円網の大きさを測ると、直径約30cm。
網上端の水平(よりやや斜め)に張られた枠糸の長さは83cm。
その枠糸の左端はタニウツギの葉裏(隠れ家)に固定されており、その高さは地上85cm。
逆に右端はヨモギの花穂に固定されており、その高さは地上60cm。

ところで、本種はなぜ夜明け前に徹夜で造網するのでしょうか?
野鳥やクモバチなどの天敵が寝ている時間帯を狙って作業をすると言われています。
しかしせっかく網に張った横糸に夜露が付いて粘着力が落ちてしまう心配はないのかな?

今回はまず造網作業の全貌をざっとご覧頂きました。
次回からは各過程を詳しく振り返ります。

つづく→#3:垂直円網に縦糸を張るアカオニグモ♀【蜘蛛:暗視映像】


リョウブの花蜜を吸うスジグロシロチョウの仲間



2015年7月下旬

雨上がりの峠道でリョウブの花蜜を吸いにスジグロシロチョウPieris melete)、またはエゾスジグロシロチョウPieris napi)が来ていました。



2015/12/10

アカオニグモ♀(蜘蛛)の網から獲物を盗むコガタスズメバチ♀



2015年9月中旬


アカオニグモ♀の定点観察#1


農道と用水路の間に挟まれた草むらでアカオニグモ♀(Araneus pinguis)が垂直円網を張っていました。
腹部の色が黄色で赤くないので未だ亜成体と思われます。(外雌器の状態を見ていません。)
枠糸の左端を固定したタニウツギの葉裏が隠れ家となっています。
逆に枠糸の右側はヨモギの花穂の先端部に固定されていました。

円網にかかった獲物(食べ残し?)を盗みにコガタスズメバチVespa analis insularis)のワーカー♀が来ていました。
獲物の正体は、なんとなくシオヤアブかな?
こうした労働寄生(盗み寄生)は餌不足になりがちな秋のスズメバチによく見られる行動です。
コガタスズメバチ♀は獲物に噛み付き、その場で肉団子にしています。
しばらくすると、網の主であるアカオニグモ♀が引き糸を伝ってスルスルとこしきへ登り返しました。(@0:33)
アカオニグモ♀はおそらく網の中央で食事していたときにスズメバチが飛来した羽音に驚いて網から緊急落下し、避難していたのでしょう。
円網の糸を歩脚で引き締めて揺すり、状況を探りました。
コガタスズメバチは気にせずに肉団子作りを続けています。
招かざれざる客が危険な敵と察したのか、アカオニグモはスズメバチを追い払ったり獲物を奪い返そうと対決したりせずに、左上の隠れ家に慌てて退散。(@0:44)
一方、スズメバチの方はようやく獲物を網から引き剥がし、戦利品を咥えて巣へ飛び去りました。(@1:14)




『スパイダーウォーズ:クモのおもしろ生態学』p160-161によると、

ハチ、トンボ、ハチドリなど、クモの網から餌を奪う動物たちには共通の特長があります。それはヘリコプターのように飛びながら空中で停止する能力で、彼らはクモの網にくっつくようなへまをせずにその餌を奪うのです。


初めにコガタスズメバチが飛来してからアカオニグモが逃げ出すまでの顛末を見逃したのがつくづく残念です。

アカオニグモは天敵のクモバチ(キスジベッコウ、キスジクモバチ)が相手だと網に踏みとどまり積極的に反撃すると本で読んだのですが※、スズメバチが相手だとあっさり網から逃げ出すようです。
(※『月刊たくさんのふしぎ:まちぼうけの生態学:アカオニグモと草むらの虫たち』p31より。『クモのはなしII:糸と織りなす不思議な世界への旅』p162には「アカオニグモの防衛姿勢」と題した見事な生態写真が掲載されています。)


盗人スズメバチが去ってから、アカオニグモの円網と隠れ家を動画に記録しました。
円網のあちこちに穴が開いているものの、未だ全体の形状は保っています。
タニウツギ灌木の葉を軽く丸めて隠れ家にして、その奥にクモは避難していました。
隠れ家から伸びる糸を辿ってみると、水平の枠糸の他に、信号糸も甑に向かって伸びています。


スズメバチのおかげで見つけられたこのアカオニグモを定点観察することにしました。

つづく→#2:明け方に垂直円網を張るアカオニグモ♀(蜘蛛)【15倍速・暗視映像】


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