2015年6月上旬
溜池の岸辺でクロスジギンヤンマ♀(Anax nigrofasciatus nigrofasciatus)が産卵していました。
私が気づかずに池の畔を歩いていたら驚いて飛び立つも、場所を変えてすぐ産卵を再開してくれました。
岸辺の水面に浮いた抽水植物の枯れた茎に止まって卵を産み付けています。
ときどき軽く飛び上がり、産卵場所を変えていました。
産卵法に関する図鑑の記述がことごとく的中していて、感嘆しました。
夕方、単独で産卵する。浮遊植物などの水面に近い部分の組織内に産卵。
『ヤマケイポケットガイド18:水辺の昆虫』p97より
♂と尾繋がりしないで♀が単独産卵する種類のトンボがいるという知識はあったものの、実際に見るのはこれが初めてでした。(追記:そんなことはなかった)
辺りを見回しても、産卵中の♀を警護する♂は居ませんでした。
途中からは取り出した三脚にカメラを固定し、じっくり撮らせてもらう余裕がありました。(映像では順番を逆にしてあります。)
この溜池は今年水量が激減し、水質が悪化したので心配です。
同じ場所で以前ギンヤンマ♂♀の連結産卵を観察していますが、クロスジギンヤンマは初見です。
2015年6月上旬
平地の用水路脇に咲いたオオハナウドの群落でウスバアゲハ♀(Parnassius citrinarius)が訪花していました。
吸蜜する口吻も脚も白い花粉で汚れています。
腹端に交尾嚢が見えるので、交尾済みの♀と判明しました。
交尾した際に嫉妬深い♂が自分の遺伝子を着実に次世代へ伝えるため、♀に貞操帯を付けたのです。
後半、日が射したら翅を広げ日光浴しながら吸蜜を続けています。
2015年6月上旬
堤防の階段で飛び回るモンスズメバチ♀(Vespa crabro flavofasciata)を発見。
時期的に未だワーカーではなく、単独営巣期の創設女王と思われます。
見事なホバリングを披露してくれ、初めは獲物の探索中なのかと思いました。
ところが階段の隅っこに興味を示し、割れ目に潜り込んで調べていました。
おそらく安全で快適な営巣地を探索しているのでしょう。
『スズメバチの科学』p18によると、
(モンスズメバチの)女王蜂は地表近くの狭い閉鎖空間などに巣を創設するが、働き蜂が羽化して巣が大きくなり手狭になると、大木の空洞などの広い空間に引っ越しをすることが多い。