2013年7月下旬
林道脇に咲いたオカトラノオの群落で交尾中の小型ゾウムシを見つけました。
周囲の環境はスギの植林地でした。
♂を背負ったまま♀がオカトラノオの白い花の上を歩き回っています。
発見時はマウントしているだけで未だ交尾器を結合していませんでした。
ただでさえ杉林は暗いのに小雨がぱらつき始め、接写の大敵である風も吹き始めました。
風揺れ対策の裏技として、花をナイフでそっと切り落として地面に置いて接写しました。
♀の上にマウントした♂はときどき前脚で♀の肩を優しく叩いています。
これは求愛行動なのでしょうか?
♀に静止を促す合図なのかもしれません。
昆虫の♀の多くは交尾中でも「色気より食い気」で食事を続けることが多いのですが、この♀はじっと静止していました。
やがて♂の腹端から交尾器が伸びてきました。
ところが♂の交尾器が届かず♀の生殖器に挿入できないでいます。
通常は♀>♂なのに、このペアは体長のミスマッチが著しく(♀<♂)上手く交尾できないようです。
驚いたことに、長く伸びた♂交尾器の先端から白い粘液状の精液を放出しました。@3:30
挿入前なのに早撃ちしてしまったようです。
射精後の♂交尾器はそのまま収縮して体内に収納されました。
私の知る限り、甲虫の交尾は直翅目のように体外に分泌した精包を♀に渡す方法ではなかった筈です。
それとも実は既に交尾は済んでおり、♂が凝固性分泌物を塗りつけて♀の交尾器に栓をしようとしているのでしょうか?(浮気防止の交尾プラグ)
虫でこれをやるのはチョウやクモぐらいしか聞いたことがないので※、私の考え過ぎかもしれません。
※ 宮竹貴久『恋するオスが進化する (メディアファクトリー新書) 』p161によると、
♂が自分の分泌物で♀の生殖器を塞ぐ貞操帯は様々な生物で進化しており、わりと人気の高い浮気防止システムといえる。モルモット、リス、チンパンジー、コウモリ、ネズミ、ヘビ、クモ、チョウ、ハエなど実に様々な分類群で交尾プラグとしての貞操帯が発見されている。
※ 木村一貫『暴走する愛―カタツムリの交尾と恋の矢』を読んでいたら、「♀の生殖器に栓をして再交尾できなくするオサムシ」という短い記述を見つけました。(『貝のストーリー: 「貝的生活」をめぐる7つの謎解き』p14より引用)
オサムシについて私は勉強不足なのですが、ネットで検索すると、♀の生殖器内に渡した精包はライバル♂の邪魔をする交尾栓として機能するのだそうです。(参考サイト)
早漏の♂は諦めきれないようで、再び前脚で♀をタッピング。
口吻と触角でも♀に触れています。
どうやらこの行動が交尾器を伸ばす前兆(交尾前行動)のようです。
もしかすると♂の求愛や前戯というよりも、単に♂がマウント姿勢や挿入角度を微調節しようとモゾモゾ動いているだけかもしれません。
♂が再び交尾器を伸長しても依然としてうまく連結できません。
♀が非協力的で密かに交尾拒否しているのでしょうか?
私がオカトラノオ花を切り離した振動のせいで、警戒心の強い♀が擬死状態なのかもしれません。
(実は♂同士である可能性は?)
シロホシヒメゾウムシの交尾で正常例を見ない限り、全ては憶測でしかありません。
2013年7月中旬
歩道の花壇に咲いた紫の花にクロマルハナバチ(Bombus ignitus)のワーカー♀が来ていました。
小さな花に一つずつ口吻を差し込んで吸蜜しています。
後脚の花粉籠は空荷でした。
園芸植物にはとんと疎いのですが、植物の掲示板で質問したところ、この花の名前はヤナギハナガサ(サンジャクバーベナ)と教えてもらいました。