2008年8月上旬
盛夏の或る日、林道沿いで見かけた3頭のクロスキバホウジャク(Hemaris affinis)の映像を繋げました。
- 茂みでホバリング。この時期よく見かける光景。吸蜜できる花も咲いていないので産卵なのだろうか?
- ススキの葉に止まって休憩中。飛んでいない状態を見るのは初めてでした。
- モミジの葉に止まって休息。実はこの下に水たまりがあり、水面に飛び込むのを2回目撃しました。吸水ならホバリングしながら口吻を使うはずなので、暑さに堪りかねた意図的な水浴なのだろう。水浴びシーンの動画を撮り損ねたのが残念無念。
 |
水浴後の休息 |
『日本動物大百科9昆虫II』p25に、「水浴びする昼飛性のガ」と題した見事な写真が掲載されていました。ホウジャク類のようです。
2008年8月上旬
猛暑の午後、林道の轍に出来た水たまりに浸ってシマヘビ(Elaphe quadrivirgata)が涼んでいました。
近寄ると素早く草叢に消えました。
図鑑に書いてある通り、確かに生きた状態でもシマヘビの目は赤く血走っていました。
2008年
5月にフィールドでイラガ(Monema flavescens)の繭を一つ採集し、物好きにも室内飼育していました。
7月も末になりそろそろ羽化する頃かと注意していたら、一匹の大きなハエが繭から出ました。
寄生されていたようです。
蝿の掲示板「一寸のハエにも五分の大和魂」で質問したところ、ヤドリバエの同定は専門家が標本を精査しないと難しいと教えて頂きました。
イラガ科イラガに寄生するヤドリバエとしてはムラタヒゲナガハリバエ、イラムシヤドリバエが記録されているほか、寄主の範囲がかなり広い種もいるので絞り切れないようです。
素人判断で白く見えているのはてっきり特殊化した平均棍かと思ったらそうではなく、翅の基部後縁が拡大したものだそうです。
覆弁(胸弁、鱗弁、膜弁)と呼ばれる構造で、平均棍はこれに覆われているとのこと。
イラガは天敵と進化史上熾烈な軍拡競争を繰り広げた結果、一見過剰防衛とも思える手段を開発しました。
幼虫期は悪名高い恐ろしく鋭い棘で身を守り、無防備な蛹は恐ろしく硬い繭を作って中に篭ってしまいます。
しかし寄生蜂/寄生蝿は更にその上手を行き、イラガの繭の外から産卵する専門の寄生蜂も知られています。
ヤドリバエはイラガの幼虫に産卵するのだろうか。
寄主の体内で成長した挙句、寄主に堅固な防御(繭)と脱出口(円形の切れ目)を作らせてから殺すのが凄いと思います。
《参考図書》
『昆蟲の生活と本能』 岩田久二雄 第18章:イラガとその天敵
【追記】
Aclerisさんのブログで「イラガの繭を巡る2・3の生き物」という興味深いまとめ記事が載っています。