2025/03/20

下半身を麻痺したホンドタヌキが巣口で日光浴しながら死を待つ間、その様子をハシブトガラスが偵察【野鳥:トレイルカメラ】

 



2024年4月上旬 

死んだニホンアナグマMeles anakuma)の旧営巣地(セット)をホンドタヌキ♀♂(Nyctereutes viverrinus)が乗っ取ったようなので、引き続きトレイルカメラで見張っています。 


シーン1:4/1・午前11:27・晴れ・気温21℃(@0:00〜) 
(交通事故が原因で?)麻痺した下半身を引きずって歩く「いざりタヌキ」がいつの間にか現れました。 
どこから来たのか不明ですが、平地の二次林にある獣道から巣口Lに向かっているようです。 
動きが緩慢過ぎて、トレイルカメラのセンサーが検知しにくいのかもしれません。 


シーン2:4/1・午前11:54・晴れ・気温20℃(@1:00〜) 
約26分後、いざりタヌキは巣口Lの窪みにすっぽりと丸まるように収まっていました。 
動きが乏しいので、5倍速の早回し映像でお届けします。 
ときどき周囲をキョロキョロ見回しているので、昼寝している訳ではありません。 


シーン3:4/1・午後12:09・晴れ・気温19℃(@1:16〜) 
シーン4:4/1・午後12:16・晴れ・気温20℃(@1:28〜) 
強い春風が吹いているものの、よく晴れた昼下がりなので、日光浴しているようです。 


シーン5:4/1・午後12:24・晴れ・気温23℃(@1:40〜) 
もう一つの巣口Rの近くに1羽のハシブトガラスCorvus macrorhynchos)が来ていました。 
何か細長いものを嘴で地面から摘み上げました。 
しかし、どうも真剣な採食行動や巣材集めをしているようには見えません。 
採食のふりをしているだけの偵察行動で、いざりタヌキが死ぬのを虎視眈々と待っているようです。 
「いざりタヌキ」が日光浴をしている巣口Lにハシブトガラスは近寄りませんでした。 


シーン6:4/1・午後12:26・晴れ・気温25℃(@2:40〜) 
約1分後、ハシブトガラスは居なくなっていました。 
林床に落ちた影を見ると(赤丸)、巣口Lを見下ろす樹上にカラスが止まって、「いざりタヌキ」の様子を見張ってました。 
カラスが飛び去ると、その飛影が林床を横切ります。

「いざりタヌキ」は飢えているはずですが、視力は正常なようで周囲を警戒しています。 


シーン6:4/1・午後12:26・晴れ・気温25℃(@3:07〜)
シーン7:4/1・午後12:35・晴れ・気温22℃(@3:24〜)
シーン8:4/1・午後12:52・晴れ・気温23℃(@3:36〜)
もはや出歩くことが出来ない「いざりタヌキ」は、巣口Lでひたすら日光浴しています。 


シーン9:4/1・午後13:03・晴れ・気温21℃(@3:47〜)
いつの間にか巣口Lから「いざりタヌキ」の姿が忽然と消えていました。 
麻痺した下半身を引きずりながら、最期の力を振り絞って手前に立ち去ったのか、それとも巣穴Lの中に入ったのか不明です。 
おそらく後者ではないかと予想していますが、この後いざりタヌキが巣穴Lから外に出るシーンは撮れていません。 
そして、これが「いざりタヌキ」の生きた姿が撮れた最後になりました。 
(その後はまったくトレイルカメラに登場しなくなり、行方不明のままです。) 

餌も水も取れなくなれば、死を待つ他ありません。 
仲間の健常タヌキが「いざりタヌキ」をいたわって甲斐甲斐しく給餌するような感動的な利他行動は記録されていませんでした。 
私も後日、この二次林でタヌキの死骸を探し歩いたのですが、見つかりませんでした。 
カラスや仲間のタヌキに死骸を食べられたり持ち去られたのではないかと推測しました。
ところが数カ月後に、「いざりタヌキ」かもしれない腐乱死骸が巣穴Lから運び出され、驚愕することになります。(映像公開予定) 

こういう「可哀想な野生動物の映像」を撮って公開すると、「傍観してないで、すぐに保護して動物病院に連れていけ!」と怒る人が必ず出てきます。 
ライブカメラではないので、私は現場に設置した監視カメラをリアルタイムで見ている訳ではありません。
数日後に現場入りして、トレイルカメラで録画した動画を確認して初めて、ここで何が起きたかを知るのです。
つまり、どうしてもタイムラグが生じます。 
現場周辺を探しても、死を待つ「いざりタヌキ」はどこに隠れているのか、その姿は見つかりませんでした。 
「いざりタヌキ」がよく現れた場所にドッグフードや飲み水などを給餌するべきでしょうか? 
一方で、野生動物の暮らし(生老病死)にヒトは一切介入するべきではない、というストイックな考え方もあります。 


つづく→

日光浴してからナニワズの葉裏に隠れるツマグロオオヨコバイ

 



2024年4月上旬・午後14:35頃・晴れ 

二次林の林床でナニワズ(別名エゾナニワズ、エゾナツボウズ)の低木群落が黄色い花を満開に咲かせていました。 
ジンチョウゲ科とのことで、花の芳香を嗅いでみましたが、ジンチョウゲの香りとはまた違いました。 
訪花昆虫を探してみたのですけど、残念ながらハナアブやハエ類の1匹さえも見かけませんでした。 
ちなみに、以下の写真は動画と少し離れた別な地点で撮りました。







そこへ1匹のツマグロオオヨコバイBothrogonia ferruginea)が飛来して、ナニワズの葉に止まりました。 
ナニワズは夏に葉が枯れる冬緑性の植物ですから、早春だからと言って若葉という訳ではありません。 
林床の木漏れ日で日光浴しています。 
落葉樹林なので、林床の低層植物まで日光が届くのは早春の時期だけです。 
(冬季のナニワズ群落は雪の下に埋もれています。)

しばらくすると、ツマグロオオヨコバイはなぜかナニワズの葉裏にくるりと回り込んで隠れてしまいました。 
ナニワズから吸汁するために口吻を突き刺したかどうか、確認できていません。 
クマリン配糖体を含有する有毒植物のナニワズから吸汁するか、それとも忌避するか、気になります。 





ナニワズは草食動物に食べられないためにクマリンという毒を溜め込むよう進化したと思われますが、送粉者の昆虫は花蜜や花粉を食べても大丈夫なのでしょうか? 
訪花昆虫の動画が撮れたときに改めてこの話題を取り上げるつもりですが、Perplexity AIを使って下調べすると面白いことが分かりました。 


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同じ日に民家の庭に咲いていたジンチョウゲとシロバナジンチョウゲの花の写真をついでに載せておきます。







2025/03/19

早春の休耕地で発生した塵旋風(つむじ風)【トレイルカメラ】

 

2024年4月上旬・午後12:00頃・くもり・気温30℃ 

休耕地でホンドタヌキの営巣地をトレイルカメラで監視していると、風揺れによる誤作動に悩まされます。
塵旋風(つむじ風)がたまたま撮れていました。 
気温の値が早春にしては高過ぎますが、おそらく直前まで晴れていて、直射日光でトレイルカメラが熱せられたのでしょう。 
晴れて地表から急激な上昇気流が発生したようで、枯れた落ち葉が旋回しながら舞い上がっています。 
塵旋風はどんどん遠ざかって短時間で終わり、竜巻のような被害はもたらしませんでした。 
画面右端手前でオニグルミの灌木から垂れ下がっているクズの蔓はほとんど揺れておらず、きわめて局所的な扇風であることが分かります。 

余談ですが、「かまいたち(鎌鼬)」と呼ばれる皮膚がスパッと切れる現象とつむじ風が関係しているという伝承があります。
Gemini 2.0 AIに解説してもらいました。

**1. 伝承における関連性:**

* 古くから、塵旋風(つむじ風)は「かまいたち」の原因であると考えられてきました。特に雪国地方では、旋風そのものを「かまいたち」と呼ぶ地域もあります。
* 伝承では、かまいたちは旋風に乗って現れ、鎌のような爪で人を切りつけるとされています。

**2. 現象の関連性:**

* かまいたちの正体については諸説ありますが、その一つに「旋風による真空説」があります。これは、旋風の中心に生じた真空が皮膚を切り裂くという説です。(しぐま註:ただし、科学的な意味で本当に真空が発生するわけではありません。)
* 塵旋風は小規模な旋風であり、局所的に強い風や気圧の変化を引き起こすことがあります。そのため、塵旋風が原因でかまいたちが起こる可能性も考えられます。

**3. 現代の考え方:**

* 現代では、かまいたちの原因は、寒冷時の乾燥した空気や、旋風による微細な物体が皮膚を傷つけることなど、科学的に説明できる現象であると考えられています。
* しかし、伝承と現象の関連性から、塵旋風がかまいたちの一因となる可能性は否定できません。

つまり、塵旋風とかまいたちは、伝承と現象の両面で関連性があると言えます。



しかし、塵旋風を人工的に起こす施設で実験しても、「かまいたち」現象を完全に再現することは難しいのだそうです。
また、街なかで発生した塵旋風の近くに居合わせたヒトが「かまいたち」の皮膚裂傷を負ったという確かな報告は、現在のところありません。

かまいたち現象が雪国に多いという点については、Perplexity AIに解説してもらいました。

「かまいたち」の伝承が雪国に多い理由には、以下のような説明が考えられます:

## 気候条件との関連性

1. 寒冷な環境: 雪国の寒冷な気候が「かまいたち」現象の発生に適していると考えられています[1][3]。

2. 乾燥した空気: 雪国の冬季は空気が乾燥しており、これが皮膚の状態に影響を与える可能性があります。

## 生理学的説明

皮膚表面が気化熱によって急激に冷やされることで、組織が変性して裂けるという生理学的現象(あかぎれ)として説明されています[1][3]。この現象は、寒冷で乾燥した環境下でより起こりやすいと考えられます。

## 文化的要因

1. 伝承の蓄積: 雪国では、寒冷な気候条件下で不可解な皮膚の裂傷が発生しやすく、これが長年にわたって伝承として蓄積されてきた可能性があります。

2. 地域的な信仰: 信越地方では、「かまいたち」は悪神の仕業であるという俗信があり、地域の文化や信仰と結びついています[5]。

## 環境要因

1. 強風と旋風: 雪国では、寒風や旋風が発生しやすい環境があり、これらが「かまいたち」現象と関連付けられています[6]。

2. 小石や木の葉: 風が巻き上げた鋭利な小石や木の葉が皮膚を傷つける可能性も指摘されています[1][3]。

これらの要因が複合的に作用し、「かまいたち」の伝承が雪国に多く見られる結果となっていると考えられます。寒冷な気候、乾燥した空気、強風などの環境条件が、この現象の発生や伝承の形成に大きく寄与していると言えるでしょう。

余談をもう一つ。
小規模なつむじ風を記録するには、写真では伝わらないので、動画に撮るのが一番です。
昔に見た映画『アメリカン・ビューティー』で、道に捨てられた白いビニール袋がつむじ風で舞う様子をホームビデオで撮って上映するシーンが印象的でした。
風そのものは見えませんから、落葉やゴミがくるくると舞い上がることで初めて可視化されます。

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