2023/04/01

山間部の路上で仲睦まじく相互毛繕いするニホンザル♀♂

 

2022年10月上旬・午後13:50頃・くもり

過疎地の山間部を通る舗装された峠道は、昼間も車の交通量が全くありません。 
2頭のニホンザルMacaca fuscata fuscata)が路上に寝そべって、のんびりと相互毛繕いをしていました。 
不思議なことに、長時間撮影していても周囲にニホンザルの群れが活動している気配は全くありませんでした。

体格差があるペアで、初めは親子なのかと思いました。
大きい方の個体は♂で、小さい方は若い♀でした。 
寝そべっていた小が起き上がり、2頭が並ぶと体格差が明らかになりました。 
大の股間には発達した睾丸と陰茎が見えたので、成獣♂と判明。 
しかし、睾丸や顔が紅潮してませんから、未だ発情期に入ってないようです。 
小柄な♀の胸に乳首は見えないので、若い♀のようです。 (少なくとも経産♀ではない。) 
若い♀と仲良くなった♂が、群れから♀をこっそり連れ出して逢引しているのかな? 
この♂はいわゆる「離れザル」なのかもしれません。

2頭は交互に甲斐甲斐しく対他毛繕いをやり合っています。 
密生した体毛を丹念にかき分けて蚤を探し出すと、指で器用に摘みとり、次々に食べてしまいます。 
ニホンザルはヒトと同じく親指と他の指が対向しているので(母指対向性)、器用に物を掴んだりつまんだりすることができるのです。
(霊長類以外の哺乳類でこんな芸当は解剖学的に不可能です。)
毛繕いしてもらう方は、体勢を次々と変えながら体の各部位の蚤を取ってもらいます。 
頭部も毛繕いしてもらいます。
起き上がって互いに背中合わせになり、各自で毛繕いすることもありました。 

近くでカケスGarrulus glandarius)がジェー♪という警戒声を発した途端に、寝そべって毛繕いを受けていた♀がガバッと起き上がり、♂と一緒に不安そうに周囲を見回しました。(@0:40〜) 
(ヘッドホンを付けて音量を最大に上げると、カケスの鳴き声がかすかに聞こえます。) 
カケスとニホンザルという系統的に遠く離れた異種間で警戒声の意味を共有しているようです。 
それ以前にも周囲で様々な鳥の鳴き声は聞こえていたのに、それに対してニホンザルは無反応でした。 
結局何事もなかったようで、ニホンザル2頭はすぐに警戒を解くと、毛繕いを再開しました。
おそらく林縁まで来たカケスが私の姿を認めて警戒声を発したのでしょう。

黄色っぽい昆虫が2頭の猿の周囲を高速で飛び回っても、猿は全く気にせずに対他毛繕いを続けています。(@1:40〜1:50) 
キイロスズメバチまたはスズメバチにベーツ擬態した吸血性のアカウシアブのようですが、ニホンザルは虫を恐れて逃げたり追い払ったりしませんでした。 


帰巣直後のモンスズメバチ♀が巣口を守る門衛と栄養交換【ハイスピード動画】

 



2022年8月上旬・午後・晴れ 

芝生の縁石の横にあるモンスズメバチVespa crabro)の巣穴bを観察しています。 
帰巣するワーカー♀が持ち帰る物(巣材または獲物の肉団子)をしっかり記録するために、三脚を立てて240-fpsのハイスピード動画で繰り返し撮影しています。 
撮影目的とは違うのですが、副産物で面白い行動が記録されていました。 

シーン1:午後14:15頃 
巣穴の入口を狭くしているのは、侵入者に対する防衛力を高めるためでしょう。 
2匹の成虫が巣口ですれ違うのに手間取るほど狭いです。 
外役から帰巣した蜂が巣穴になかなか入れてもらえないことがあるのは、門衛を務めるワーカー♀が巣口を内側からしっかり守っているからです。 
同じコロニー出身の仲間かどうか、巣口で誰何しているのでしょう(触角で確認)。 
巣口を塞いでいた門衛が一旦外に這い出てから帰巣個体の入巣を許し、自分も巣穴に戻ります。 

帰巣直後の外役ワーカー♀と門衛が巣口で熱い口づけを交わすことがありました。 
「行ってらっしゃい」のキスではなく、「おかえりなさい」のキスです。
この行動は栄養交換と呼ばれ、外で採餌してきた花蜜や樹液を吐き戻して門衛に分け与えているのです。 
しかも、この場合は♀同士のキスなので、性的な意味は全くありません。
(ちなみに♀♂間でも栄養交換は行います。♀→♂への吐き戻し給餌)
門衛との栄養交換が済むと巣内には入らず、すぐにまた外役(採餌)に出かけました。


シーン2:午後14:30頃 (@4:06〜) 
今度は三脚を逆向きに設置して、採寸のため縁石に1円玉(直径20mm)を置いてみました。 
ハイスピード動画で撮ったものの、スーパースローの意味がないので、早回しで等倍速に加工しています。 

巣穴から出てきた門衛が巣口付近をウロウロと徘徊しただけで、再び巣穴に戻りました。 
見慣れない異物が突然出現したのに、白く光る硬貨を見ても無害と判断したようです。 




2023/03/31

秋の夜にスギ林道の溜め糞場に通うホンドタヌキ【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2022年9月下旬〜10月上旬

里山のスギ林道にある溜め糞場sに通ってくるホンドタヌキNyctereutes viverrinus)の記録です。

シーン1:9/27・午前3:51・気温16℃ 
深夜に林道を右からゆっくり登場したのは「フサ尾」でした。 
自分たちの溜め糞場sの匂いを嗅ぐと、なぜか大きく迂回しながら左に立ち去りました。 

 2分50秒後に再び「フサ尾」が左から戻って来ました。 
同一個体と考えてよいのか、いまいち自信がありません。 
「フサ尾」というのは正常な尻尾というだけの意味で、複数個体いることが分かっています。
対面に見えるスギ大木の根本の匂いを嗅いだだけで素通りし、右へ立ち去りました。 
アナグマの溜め糞やマーキング跡に対して、特に何も反応を示しませんでした。 

1分10秒後に同一個体?の「フサ尾」が右から戻って来ました。 
溜め糞場sを素通りして左へ行きました。 

結局、この日現れたタヌキは、林道を右往左往したものの溜め糞場で排便しませんでした。 
自分たちの溜め糞場の位置を忘れて探してるのかな? 
記憶に頼らずとも、匂いで分かると思うのですが…。
何者か(ヒトに限らずアナグマとか)が忌避物質を撒いたのなら、監視カメラに記録されているはずです。
それとも、監視カメラが長期間設置された溜め糞場にタヌキはすっかり嫌気が差したのでしょうか? 


シーン2:9/29・午後17:50・気温18℃ (@0:52〜) 
2日後の日没直後に「フサ尾」が林道を右から登場。 
ちなみに、日の入り時刻は午後17:29です。 
自分たちの溜め糞場sの匂いを嗅いだだけで、迂回しながら左へ立ち去りました。 
今回も排便しませんでした。 


シーン3:10/3・午前4:06・気温15℃ (@1:11〜) 
4日後の未明に「フサ尾」のタヌキが右から歩いて登場。 
自分たちの溜め糞場sの匂いを嗅ぎ回り、腰を下ろすと左を向いたまま(北向き)排便しました。 
やや硬目の糞を排泄した後は、元気に左へ走り去りました。 
久しぶりにこの溜め糞場sで排便してくれたので、安心しました。

ところで、タヌキが用を足している間に、キョロロロ…♪というアカショウビン♂(Halcyon coromanda major)の鳴き声のような、尻下がりの音階の声が真夜中の森に何度も響くのが気になりました。(@1:21〜) 
動画の音量を最大に上げると、かすかに聞き取れます。 
アカショウビン♂の囀りさえずりのように澄んだ鳴き声ではなく、濁っていました。 
しかもアカショウビンは夏鳥なので、この時期はもうとっくに南国へ渡去してるはずです。 
この鳴き声の主は何者なのでしょう? 
ご存知の方は教えてください。 
まさかタヌキがこんな鳴き声を発しませんよね?
日の出まであと1時間半もあります。 
ちなみに日の出時刻は午前5:33。 


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