2024/02/20

晴れた夜でも雨夜でも幼獣を連れて隣の巣穴に引っ越すニホンアナグマ♀【トレイルカメラ:暗視映像】

 


2023年6月中旬

ニホンアナグマ♀♂(Meles anakuma) 

シーン1・6/11・午前2:23・(@0:00〜) 
♀が手前の巣穴Lに入り、しばらくすると後ろ向きで外に出て来ました。 
幼獣が自力で歩けるようになったと思っていたのに、久しぶりに母親♀が幼獣aを咥えて巣外に引きずり出しました。
逃げ回ろうとする幼獣を咥えるのも大変そうですし、重く育った幼獣を引きずって歩くのも重労働です。 

2つの巣口LRの中間地点に母子が座って、♀が幼獣aの毛皮を舐めてやります(対他毛繕い)。 
成獣の腹面に乳首が見えることから、母親♀と見分けられます。 
(左右の目の大きさや首筋の白斑の有無では、見る角度によって個体識別が難しいことがあります。) 


シーン2・6/11・午前2:23・(@0:46〜) 
幼獣aの搬出シーンが別アングル(広角)の旧機種トレイルカメラでも録画されていました。 
アクセストレンチはなかなかの急斜面であることが見て取れます。 
地上でしばらく毛繕いしてやってから、幼獣aの首筋を再び咥えて右側の巣穴へ運び込みました。 
1頭目の幼獣を巣穴LからRへ引っ越ししたことになります。 (L➔R)


シーン3・6/11・午前2:27・(@1:47〜) 
戻ってきた♀が手前の巣穴Lに入りました。 
前回と同じく、後退しながら2頭目の幼獣bを巣穴Lの外に連れ出します。 
首根っこの皮を噛まれた幼獣はおとなしく引きずられて運ばれます。 
今回は幼獣を地面に下ろして休憩・毛繕いしないで、一気に奥の巣穴Rへ運びました。 


シーン4・6/11・午前2:27・(@2:32〜) 
別アングルの広角映像に切り替えて同じシーンを振り返ります。 


シーン5・6/11・午前2:29・(@3:15〜) 
巣穴Lに戻ってきた♀が後ろ向きで3頭目の幼獣cを外に引きずり出しました。 
今回も奥の巣穴Rへ休憩無しで一気に運びます。 


シーン6・6/11・午前2:29・(@3:51〜) 
別アングルの広角映像に切り替えて同じシーンを振り返ります。 
幼獣cを巣穴Rに搬入した♀が再び出巣Rする様子まで録画されていました。 


シーン7・6/11・午前2:30・(@4:31〜) 
最後の幼獣dは(仲間が居なくて寂しくなって?)巣口Lで待機していました。 
迎えに来た母親♀は、外に引きずり出した幼獣dを巣口LRの中間地点で下ろして、毛皮を舐めてやります。 
幼獣dは空腹ではなかったらしく、♀の乳首に吸いつこうとしません。 
覚束ない足取りで地面を歩き回ろうとしますが、それを母親が前足で制して転がし、毛繕いしてやします。 
巣外での対他毛繕いは、1頭目と4頭目の幼獣に対してのみ行いました。 


シーン8・6/11・午前2:30・(@5:00〜) 
別アングルの広角動画に切り替えて、同じシーンを振り返ります。 
身震いしてから左の巣穴Lに戻った♀が、巣口Lから4頭目の幼獣dを外に連れ出します。 
巣口LRの中間地点で幼獣dを下ろして、時間をかけて丁寧に毛皮を舐めてやります。 


シーン9・6/11・午前2:33・(@5:46〜) 
♀が先導して右の巣穴Rに戻り、幼獣dを誘い込みます。 
幼獣dは自力で歩いて入巣Rできましたが、巣口Rを塞ぐように露出している細い木の根っこを乗り越えるのに難儀しています。 

これで計4頭の幼獣a-dの引っ越し(L➔R)が無事に完了しました。 
 幼獣全員の引っ越しが完了したかどうか、新居に連れてくるのを忘れた幼獣がいないかどうか、母親♀はどうやって知るのでしょう? 
四つ子を育てる母親は、巣穴に同居する幼獣の個体数を1から4まで数えることができるのでしょうか? 
(羊が1匹、羊が2匹、羊が3匹、…zzz) 
それとも、4頭の幼獣それぞれに固有な体臭や鳴き声で識別しているのですかね? 


シーン9からシーン10の間に、逆に巣穴RからLへ幼獣を引っ越し(R➔L)したはずなのに、なぜか撮れていません。 
地中では2つの巣穴がつながっているのではないか?という気がします。 


シーン10・6/13・午前3:50(@6:13〜) 
2日後には雨が降りしきる深夜に幼獣の引っ越し作業?を始めました。 
手前の巣穴Lに戻った♀が幼獣を外に連れ出しました。 


シーン11・6/13・午前3:48(@6:50〜) 
別アングルの広角動画に切り替えて、同じシーンを振り返ります。 
旧機種のトレイルカメラは、時刻を正確に合わせても、すぐに狂い始めてしまいます。 


シーン12・6/13・午前3:50(@7:00〜) 
2頭の幼獣を巣穴Lの外に連れ出していました。 
幼獣はケケケッ♪と小声で鳴きながら、覚束ない足取りで歩き回ります。 

♀は幼獣1頭の毛繕いをしてやってから、首筋を咥えて奥の巣穴Rへ運びます。 
その間に、もう1匹の幼獣はアクセストレンチをずるずると滑り降りて手前の巣穴Lに戻ってしまいました。 


シーン13・6/13・午前3:50(@7:49〜) 
別アングルの広角映像に切り替えて、同じシーンを振り返ります。 


シーン14・6/13・午前3:52(@7:58〜) 
左の巣穴Lに戻った♀が後ろ向きで幼獣を咥えて外に引きずり出します。 
カメラの電池が消耗してきて、断片的な暗視映像しか撮れなくなりました。 


シーン15・6/13・午前3:52(@8:07〜) 
巣口Lで待っていた幼獣を♀が咥えて外に運び出しました。 
大きく育った幼獣はとても重そうで、途中で地面に下ろして尻の辺りを舐めてやります。 
足元をうろつく幼獣に♀が跨って自分の尻を擦り付け、アロマーキング(臭腺・肛門腺による匂い付け)をしました。 
雨の降る中を幼獣は奥の巣穴Rへ自力で歩いて行きました。 


シーン16・6/13・午前3:52(@9:08〜) 
別アングルで設置したトレイルカメラの広角映像に切り替えます。 


※ 鳴き声や雨音が聞き取れるように、動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。 
画面に表示される気温はすべて異常値です。(暗視動画の連続撮影によるカメラ本体の過熱)


我々ヒトの感覚では、雨が降る日にわざわざ乳幼児を外に連れ出す母親の気がしれません。 
幼獣が濡れて風邪を引いてしまうかもしれませんし、毛皮が泥だらけになってしまって、それをきれいに拭いてやるのも大変そうです。 
しかしアナグマ♀は雨を全く気にせず、スパルタ育児です。 
雨夜という新しい環境刺激に幼獣を早く慣らしてやりたいのでしょう。 
定期的に1頭ずつ巣外に連れ出して健康状態をチェックし、糞尿で汚れた毛皮を舐めてやる作業は雨天決行の必要があるようです。
梅雨の時期ですから、雨が止む日まで待ってられないのでしょう。

隣接する2つの巣穴の間で日によって行ったり来たり(L⇔R)引っ越しを繰り返しているようですが、ワンオペ育児の♀が4頭の幼獣を順番に漏れなく巣外に連れ出すために、引っ越しのていを取っているだけだと思います。 
実はトンネル内で2つの巣穴は連結しているのではないかと私は疑っています。
もしも梅雨の大雨で巣穴が浸水したら、幼獣を連れて行く避難先(別の巣穴)をアナグマ♀は用意しているのでしょうか?


アナグマ営巣地の二次林を早朝にこっそり横切るホンドタヌキ【トレイルカメラ】

 



2023年6月中旬・午前4:25頃・日の出時刻は午前4:13。 

ニホンアナグマMeles anakuma)の営巣地(セット)を監視する自動撮影カメラに、日の出直後の早朝からホンドタヌキNyctereutes viverrinus)が写っていました。 
奥の二次林を右から左へこっそり通り抜けています。 

今回タヌキは、アナグマの巣穴には近寄りませんでした。 
子育てしている期間は、相互不可侵の紳士協定を結んでいるかのようです。 
ここ最近、タヌキがこの地点に出没するのは必ず薄明薄暮または明るい昼間です。 
夜に来ないのは、夜行性アナグマとの鉢合わせを恐れているからだと思います。 

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。 


2024/02/19

夜の営巣地に近づく野生動物に吠えかかって追い払い幼獣を守るニホンアナグマ♀【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2023年6月中旬

シーン1・6/11・午後19:41・(@0:00〜) 
右の巣穴Rから親子で外に出てきたニホンアナグマ♀(Meles anakuma)が幼獣を跨いで追い越す際に軽く座って尻を擦り付けました。 
臭腺や肛門腺で幼獣の背中に匂い付けしているのでしょう。(アロマーキング) 

成獣が振り返ってカメラ目線になると、左右の目の大きさが異なる(右目<左目)♀だと分かります。 
♀は幼獣の毛皮を舐めてやりますが、幼獣は空腹ではないようで♀の乳首に吸いつこうとはしません。 

♀が急に身を屈めて右の方を警戒し始めました。 
幼獣をぴょんと飛び越えて右に突進すると、やがて右の林内からガガガッ、ギャギャギャッ♪と激しく吠えて威嚇する鳴き声が聞こえてきました。 
※ 鳴き声が聞き取れるように、動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。 

アナグマの営巣地に近づいてきた他の野生動物を追い払ったのでしょう。 
♀がこれほど激しい剣幕で追い払ったということは、謎の侵入者は、ホンドタヌキやホンドギツネ、ホンドテン、イエネコなどの捕食者が候補として考えられます。 
(ヘルパー以外のアナグマ♂とニアミスしたのかもしれません。) 

巣外に取り残された幼獣は、激しい喧嘩(威嚇)の鳴き声を聞くと、争いの元から慌てて少し遠ざかり、地面に身を伏せました。(警戒のフリーズ行動) 
咄嗟に巣内Rに駆け戻って避難するだけの身体能力はまだ発達していないようです。 


シーン2・6/11・午後19:43・(@1:00〜) 
約45秒後に右から♀が意気揚々と営巣地(セット)に戻って来ました。 
巣口Rで母子が無事に再会すると、♀は出迎えてくれた幼獣に対他毛繕いしてやります。 
その後は残りの幼獣3頭も巣口Rに出てきました。 
幼獣への対他毛繕いの合間に、母親♀は自分の体の痒い部分を後足で掻きました。 



これまで2回ほど、夜の巣外に単独で放置された幼獣を観察してきました。 
関連記事()▶ 

もしかすると、その原因は今回のように、縄張り侵入者を撃退しに行ったから母親♀が一時的に不在だったのかもしれません。
だとすれば、ネグレクト(育児放棄)どころか幼獣を守るための行動なので、納得です。 
幼ない我が子たちを守るとなったら♀は巣穴に籠城するどころか、積極的に攻撃に転じて天敵を追い払うことが分かり、驚きました。
つまり将棋の穴熊戦法は比喩として正しくない(アナグマの実態に即していない)ようです。
まるで穴に籠もった熊のようだ、という意味の戦法らしいです。
最近ではヘルパー♂の存在感が薄くて、何をしているのか疑問になってきました。


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