2023/11/20

動物の死骸を独り占めする恐妻家のトビ(野鳥)

 

2023年4月下旬・午後14:55頃・くもり 

春の刈田で2羽のトビMilvus migrans)が仲良く(?)並んでいました。 
ズームインしてみると、右の個体(♀?)が何か哺乳類の死骸をついばんでいました。 
死後かなり日数が経っているようで、ずたぼろの死骸は損壊が激しく、何の動物か全く見分けられません。 
黒灰色の毛皮に血痕は付いていませんでした。 
なんとなく長毛品種のイエネコかと推測したものの、定かではありません。 
冬の間に行き倒れた動物が深い雪の下に埋もれ、春の雪解けで死骸が再び露出したのかな?
野生動物の轢死体(ロードキル)かもしれません。 

関連記事(7ヶ月前に現場近くで撮影)▶ 車に轢かれたニホンイタチの死骸に群がるハエ他

 

左の個体(♂?)は横で物欲しそうに見てるだけです。 
♀は獲物を♂とシェアするつもりはないようです。
2羽の間で力関係の序列が既にできているようで、餌を巡って直接的な争奪戦は起こりませんでした。 
この2羽は♀♂つがいなのでしょうか。 
トビは体格にやや性差があることが知られています(♀>♂)。 

やがて♀が死骸を独り占めするために咥えたまま飛び立ち、少し離れた休耕地に運びました。(@0:48〜) 
1/5倍速のスローモーションでリプレイしてみると、トビ♀は飛翔中に、ぼろきれのように風でなびく細長い死骸を嘴から足の鉤爪へと器用に持ち直していました。 

♂から離れると、♀は落ち着いて死骸を啄み始めました。 
カラスと並んでトビは屍肉食性の掃除屋(スカベンジャー)として有名ですが、実際に食事シーンを観察するのは初めてです。 

そこへ背後から追いすがるように♂が飛来しました。 
♀の頭上を通り過ぎる際に鉤爪で襲いかかる素振りを見せたものの、ただの威嚇(ブラフ)で激しい喧嘩にはなりませんでした。 
不意打ちされても♀はさほど動揺せず、獲物を離そうとしません。 
♂は少し奥の休耕地に着陸したものの、遂に諦めて飛び去りました。 

興味深いのは次のシーンです。 
諦めて飛び去りかけた♂が、休耕地に一瞬だけ舞い降りました。(@2:57〜) 
トビ♂が空中で何か白い物を落としたので、てっきり腹立ち紛れに脱糞したのかと撮影しながら私は思いました。 
ところが1/5倍速のスローモーションでリプレイしてみると、♂はタッチダウンの瞬間に地表から何か白いゴミを鉤爪で素早く拾っていました。 
獲物ではないと悟ると、すぐに空中投棄しました。 
餌にありつけなかった♂が欲求不満を解消するためにやった代償行動かもしれません。
代償行動     【ダイショウコウドウ】
substitute behavior
 ある目標を達成しようとする欲求が何らかの障害によって充足できない時に,その目標と機能的に類似した他の目標を達成することによって,初めの欲求の充足を図ろうとする行動をいう。代償の仕方は目標の変更と手段の変更とに大別できるが,もともと目標の満足をすべて含むわけではなく,部分的解決や満足となることが多い。社会的な価値の高い方向に代償が行われる場合は昇華とよばれる。適応機制の一つと考えられる。(有斐閣『心理学辞典』より引用)

♂が居なくなった後も、♀は獲物を横取りされまいと嘴に咥えたまま周囲を油断なく見張っています。 
警戒を解くと、腐肉を食べ始めました。 
残念ながら、ここでカメラのバッテリーが切れてしまいました。 
私が急いで交換している間に、トビ♀は更に遠くへ獲物を持ち去ってしまい、見失いました。 

できればトビ♀♂が動物の死骸を見つけるところから観察したかったです。 
早い者勝ちだったのでしょうか?
繁殖期が始まりますから、もしかすると♂が先に見つけたのに、パートナーの♀に獲物を譲ったのかもしれません。(求愛給餌
しかし、それだと♂がやった威嚇飛行や代償行動と辻褄が合いませんね…。
動画に登場する2羽のトビの性別を外見で見分けられる方がいらっしゃいましたら、教えて欲しいです。


【追記】
平凡社『日本動物大百科3鳥類I』でトビの性差について調べると、(p147より引用)
サイズ
全長:♂51〜66cm、♀57〜66cm。 
翼長:♂36〜51cm、♀45〜51cm。 
翼開長:♂129〜162cm、♀139〜160cm。 
体重:♂630〜1150g、♀750〜1240g。

特徴
♂は♀に比べ色が薄く体羽の縁が白っぽい。また、耳羽もはっきりしている。♀は縁が赤褐色。飛翔中、♂は下面が白っぽく見え、個体によっては縦縞模様に見える。♀は下面が暗赤褐色に見える。幼鳥は♂成鳥よりもクリーム色をおびるため、♂よりも明るく、縦縞模様もはっきりしている。飛翔中には、尾の先端の1本の太い横縞模様とクリーム色の縁が目立つ。


2023/11/19

小川の丸木橋を夜に渡り獲物を探すイエネコ【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2023年4月下旬・午後20:47 

小川に架かる丸木橋を自動撮影カメラで監視していると、久しぶりにイエネコFelis silvestris catus)が登場しました。 
17〜19日前に来ていた黒猫とは違う品種です。 
カメラが起動したときには、丸木橋を右から左へ渡る途中でした。 
左岸の崖穴を少しだけ気にしてから、左岸の茂みに姿を消しました。 
茂みに覆われた岸辺には小魚が潜んでいるのでしょう。




夜の小川を泳ぐ小魚の群れと鯉【トレイルカメラ:暗視映像】

 

2023年4月下旬・午前3:06・気温6℃ 

川岸のニセアカシアが小川を跨ぐように倒れた天然の丸木橋を自動センサーカメラで見張っていると、意外な生き物が撮れていました。 
画面の左から右へ小川が緩やかに流れています。 

深夜未明にトレイルカメラが起動した理由が分からなかったのですけど、小川の水中をよく見ると、多数の小魚がいました。 
白く光る目がスイーッ、スイーッとゆっくり動いています。 
群れをなして整然と泳ぐのではなく、ばらばらに泳ぎ回っていました。 
よく見ると、大きな魚も1匹遊泳していました。 
おそらくコイ(鯉;Cyprinus carpio)と思われます。 

この小川は街なかを流れてきた用水路ですから、魚が潜んでいるとしたら、本流の川から遡上してきた個体でしょう。

4倍速の早回し映像にした方が魚の動きが分かりやすいので、まずそちらをご覧ください。 
その後に等倍速でリプレイ。(@0:15〜) 

変温動物の魚類が水中で動き回っても、トレイルカメラのセンサーは反応しないはずです。 
きっと恒温動物の野ネズミなどが素早く横切ったのか、風揺れなどカメラの誤作動で起動したのでしょう。 
此岸に繁茂する草木をできる限り刈り取って赤外線の白飛びを抑えたら、水中の魚がよく見えるようになったようです。 

丸木橋を渡る様々な野生動物(肉食獣)や魚食性の野鳥が小川の岸辺を気にしていたのは、これらの魚群を狙っていたのだと分かりました。 



最後は明るい昼間にたまたま撮れた現場の様子を示して終わります。
日中は物陰に隠れているのか、魚影を見たことがありません。 
後日(5月中旬)、現場入りした際に左岸の水中から大きな魚がパシャン♪と跳ねる水音を聞きました。

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