2022/09/26

シシガシラの葉から飛び立つヒョウモンエダシャク♀(蛾)

 

2022年7月中旬・午後12:00頃・晴れ 

里山の山道を息を切らして登っていると、シシガシラという羊歯の栄養葉の上にヒョウモンエダシャク♀(Arichanna gaschkevitchii gaschkevitchii)が翅を広げたまま休んでいました。 
触角の形状から♀と分かります。 (※ 追記2参照)
見つけた時にはやや斜めから見下ろすアングルだったので、背側からしっかり撮ろうと私がそっと横に移動したら、警戒して飛び立ってしまいました。 
気温が充分に高かったのか、準備運動もしないでいきなり飛び立ちました。 
山道を下って飛び去る様子を名残惜しく見送りました。 
飛び立つ瞬間を1/5倍速のスローモーションでリプレイ。 

ところで、このシダの種類は何でしょう? 
私のフィールドではよく見かけるのですが、勉強不足で名前を知りません。 
羊歯の図鑑を持ってないので、まず入門用の1冊を買い求めないといけません。

【追記】
早速『シダハンドブック』を買って調べたところ、この1回羽状のシダはシシガシラと判明しました。

【追記2】
ヒョウモンエダシャク♂の触角は羽毛状です。
撮影:2006年6月下旬@山麓のログキャビンの外壁(灯火下)。


【追記3】
ヒョウモンエダシャク成虫の体には捕食者対策としてグラヤノトキシンI(旧名アセボトキシン)という有毒物質が蓄積しているそうです。
幼虫の食樹がアセビなどのツツジ科で、その葉に含まれている毒を解毒するのではなく体内に貯め込むのです。
いつか幼虫を探して飼育してみたいものです。

ツツジ類の花蜜や花粉を集めるハナバチ類も中毒にならないのは、いつも不思議に思っていました。
グラヤノトキシンは電位依存性ナトリウムチャンネルのアゴニストです。
耐性がある昆虫のナトリウムチャンネルは、グラヤノトキシンと結合しにくいよう分子進化しているのですかね?
アミノ酸配列を哺乳類と比較すればすぐに分かるはずです。

2022/09/25

夜の池で頭だけ水で洗うツキノワグマ【トレイルカメラ:暗視映像】

 

2022年7月上旬・午後23:00頃・気温20℃

前回の記事:▶ 山中の水場をじゃぶじゃぶ横断するツキノワグマ【トレイルカメラ】

自動撮影カメラ(トレイルカメラ)で監視している山中の泉に深夜ツキノワグマUrsus thibetanus)がまた現れました。 
対岸の林道を右から左へ歩き去ると思いきや、水場に立ち寄りました。 
2時間前に来た同一個体が戻って来たのでしょうか? 
私は未だ個体識別できないので、別個体かどうか不明です。
関連記事 ▶ 夜に水場を調べに来たツキノワグマ【トレイルカメラ:暗視映像】
赤外線の暗視カメラで熊の両目が白く爛々と光っています。 
カメラの存在に気づいて警戒しているのか、対岸の草むらの匂いを慎重に嗅いでいます。
左岸から池の上に張り出したイロハカエデの枝の匂いを嗅いだ際に、胸に月の輪がちらっと見えました。 
個体識別の鍵となりますが、この水場に登場するツキノワグマは滅多に見せてくれません。
ツキノワグマは全身黒色の体毛で覆われていて、胸部に三日月型の白毛の斑紋を持つものが多い。斑紋には個体差があり、現在生息調査などに使用されているカメラトラップ(自動撮影装置)などでは、この斑紋の違いから個体識別が行われているほどである。なかには「ミナグロ」と猟師たちに呼ばれる斑紋のない全身黒色の個体もいる。そうかと思えば、(中略)全身白色の個体(アルビノ)も、まれにではあるが現れることがある。 (田口洋美『ヤマケイ新書 クマ問題を考える 野生動物生息域拡大期のリテラシー』より引用)
途中で画面が一瞬だけ光ったのは、遠くの稲妻かもしれません。(@0:46) 
雷鳴は聞こえず、熊は全く気にする素振りを示しませんでした。 

用心深いツキノワグマはようやく右前足を池の水に漬け、水面の匂いを嗅ぎました。 
左前足も水に漬け、落枝などを爪で軽く掻き寄せています。 
鼻面を水面に付けた際に水を飲んだのでしょうか? 
左岸の岸辺に密集している黒いオタマジャクシを捕食したら面白いのですが、暗闇ではおそらく見えていないはずです。
この個体はなぜか岸辺に留まったままで、入水・水浴する様子がありません。 

次に見せた行動に私はびっくりしました。 
左前足で掬った水を頭にかけてゴシゴシ擦り始めたのです。 
再び左前足で水を掬い、頭の毛を濡らしました。 
この個体は左利きなのかと思いきや、次は右の前足で水を掬って洗髪しました。 
最後にもう一度、左の前足で掬った水で頭を濡らし、ゴシゴシ擦りました。 
ブルブルと身震いして濡れた毛皮の水気を切ると、後退りで左岸に戻り、林道を左に立ち去りました。 

結局、この個体は頭を水で濡らしただけで、入水・水浴しませんでした。 
ツキノワグマの水浴行動に個体差(バリエーション)があるとは知りませんでした。 
水が嫌いな(怖い)個体なのかな? 
この浅い池の底には腐った落ち葉や泥が堆積しています。 
そのため、熊が入水して歩き回り水底のヘドロをかき混ぜると、メタンガスが湧き上がってドブ臭いのです。 
その悪臭を嫌う個体がいても不思議ではありません。 
熊も「今夜はお風呂に浸かる気になれないし、頭を洗うだけにしよう」などと日によって気紛れなのかもしれません。 
「頭を水で冷やしたい」だけだったのかもしれません。

※ 動画編集時に自動色調補正を施して明るく加工しています。 
水の音が聞き取れるように音声も正規化して音量を上げています。 

画面の下に表示される気温のデータがわずか2分半で20℃から29℃へと急上昇しています。 
山火事でも無い限り、深夜の外気温がこれほど急上昇するはずがありません。 
暗視動画を連続で撮影すると、トレイルカメラ自体がかなり発熱してしまうのです。 
信頼できるデータとして、撮影開始時の測定値を採用しました。




↓【おまけの動画】 
ネットニュースで話題になった動物園のツキノワグマです。 
熊がホースを使い「自分で水浴び」しています。

トリアシショウマの花蜜を吸うマエグロコシホソハバチ

 

2022年7月中旬・午後14:10頃・晴れ 

つづら折れの細い山道に沿って咲いたトリアシショウマの群落で見慣れないハバチが訪花していました。 
翅を半開きで白い花穂を歩き回りながら吸蜜しています。 
初めはてっきりアシナガバチの仲間かと思ったのですが、よく見ると腰の太いハバチでした。
背側から見ると、コアシナガバチPolistes snelleni)のワーカー♀にそっくりです。 
横から見ると、腹部側面に黄色の点が左右1対あるのはフタモンアシナガバチの特徴を誇張したように見えます。 
見事なベーツ擬態ですね。 
頭楯が黄色いのは雄蜂♂だから(…とは限らない?)でしょうか。 

薄緑色の尺取虫(シャクガ科の幼虫:種名不詳)も多数訪花していて、おそらくトリアシショウマの花を食べているのでしょう。 
糸を吐いて花穂からぶら下がっている尺取虫もいました。 
他には瑠璃色のハムシ(種名不詳)も花に多数群がっています。 
尺取虫やハムシとニアミスしても、ハバチは全く無関心で花蜜を舐め続けています。 

ハバチが近づくと摂食中のヒメトラハナムグリLasiotrichius succinctus)が後脚を高々と上げて、ハバチを牽制しました。(軽い威嚇、占有行動) 

ハバチがトリアシショウマの花穂から飛び立つまで待てず、同定のために採集を優先しました。 

いつもお世話になっている「蜂が好き」掲示板にて問い合わせたところ、青蜂@管理人さんよりマエグロコシホソハバチTenthredo analis)とご教示いただきました。


ヒメトラハナムグリvsハバチ

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