2021年12月上旬・午後12:35頃・晴れ
雪面で日光浴したり飛んだりしているアキアカネ(Sympetrum frequens)を同定するために1匹を捕獲しました。
前回の記事:▶
・ガガンボを捕食する雪国のイオウイロハシリグモ(蜘蛛)
・食後に雪面を走り回るイオウイロハシリグモ(蜘蛛)
・初冬に雪面から飛んでも着陸に失敗して暴れるアキアカネ♀♂【HD動画&ハイスピード動画】
赤トンボの撮影の合間に同じ場所(残雪に覆われた草地の土手)で、イオウイロハシリグモ(Dolomedes sulfureus)の狩りと雪上徘徊シーンも撮影しました。
せっかく捕まえたアキアカネ♀を利用して、フィールドでクモへの給餌実験を試してみました。
ついさっきガガンボを捕食した時には、いきなり噛みついただけで糸で獲物を梱包しませんでした。
トンボというもっと大きな獲物を捕食する際には、イオウイロハシリグモは糸で梱包するでしょうか?
飛んで逃げないように、トンボの翅を半分毟り取りました。
雪原を元気に徘徊するイオウイロハシリグモの前に生き餌を置いて、成り行きを見守りました。
しかしクモはトンボの存在に気づかなかったようで、手前に開いた穴(草の根際)に隠れてしまいました。
雪が溶けて顔を出したパッチ状の草から草へとイオウイロハシリグモは好んで渡り歩いているのです。
草の根際の穴は隠れ家にもなりますし、冷たい雪面よりも少し気温が高いのでしょう。
一方、身の危険を感じて擬死(死んだふり)しているのか、雪上のトンボは全く動きません。
トンボが身動きしないことにはクモに気づいてもらえないので、私は拾った草の葉の先でトンボをしつこくつついてみました。
ようやくイオウイロハシリグモが雪の穴から外に出て来ました。
慎重に前進したクモがトンボの腹部に足を掛けて触れたのに、獲物に噛みつこうとはしませんでした。
クモに背後から触れられたトンボが羽ばたいて暴れたら、クモはびっくりして逃げてしまいました。
獲物として狩るには大型で手強いと判断したのでしょうか?
つい先程ガガンボを丸ごと1匹捕食したばかりなので、おそらく食欲が無くなり狩りの衝動も失われたのでしょう。
一方、飛べないアキアカネ♀は雪面を歩いてクモから離れました。
最後にクモの体長を採寸しようと白いプラスチック定規を横に置いたら、警戒して穴の中に逃げられ見失いました。
この個体は右の第2および第3歩脚が根元から欠損した亜成体なので、採集して飼育すれば脱皮後に再生肢を見れたかもしれません。