2021/11/08

ゲンペイツリフネソウの花で採餌するトラマルハナバチ♀【HD動画&ハイスピード動画】

 

2021年8月下旬・午前7:35頃・晴れ 

スギ林の林床に咲いたゲンペイツリフネソウ(別名ハナツリフネソウ)の群落で、トラマルハナバチBombus diversus diversus)のワーカー♀が何匹も忙しなく訪花していました。 
意外にもこの組み合わせは初見です。 
トラマルハナバチは長舌種ですから、距の奥にある蜜腺に口吻が届きます。 
いつも正当訪花を繰り返し、吸蜜していました。 
後脚の花粉籠に白い花粉団子を満載しています。
つまりトラマルハナバチ♀はゲンペイツリフネソウの送粉者として働いていました。 
マルハナバチが繰り返し訪花した結果、足場となる花弁の多くは裂けています。
関連記事(5年前の撮影)▶ ハナツリフネソウの花で採餌するクロマルハナバチ♀
紅白二色の花から飛び立つ瞬間を狙って240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@1:02〜) 
複数個体を撮影。 
トラマルハナバチ♀は花筒から頭を引き抜きながら中脚で胸背と頭部を掻き、その後で次の花に飛び立りました。 
飛行中に空中で左右の脚を擦り合わせています。
長い舌を伸ばしたまま飛ぶときがありました。 

逆光のアングルで撮れば、トラマルハナバチ♀が花筒内で長い舌を距の先まで伸ばして蜜腺を舐める様子が花弁を透かして見えたかもしれません。 
今回は順光で、舌の動きは見えませんでした。 

どうやら朝早い時刻に集中して採餌するようです。 
同じ現場を午後にも再訪したら、晴れていたのに訪花昆虫は皆無でした。
   

2021/11/07

池の畔を深夜徘徊する謎の獣【トレイルカメラ:暗視映像】

山中の池で2021年6月中旬の夜、私がカエルの撮影に熱中していたら、背後の茂みから突然ガサガサという物音がして肝を冷やしました。 
暗闇で私とニアミスした大型獣が慌てて逃げ出したようです。 
池の水を飲みに来たカモシカなのか、カエルを捕食しに来たタヌキなのか、気になります。 
夜行性の野生動物が訪れる水場だろうと予想し、試しにトレイルカメラ(無人センサーカメラ)を設置してみました。 

 

2021年8月下旬・午前3:35・気温16℃ 

池の対岸の草むらを4足歩行の哺乳類がノシノシと左から右へ歩いて行く暗視映像が撮れていました。 
目が白く光って見えるだけで、体は全身黒く見えます。 
残念ながら池には近づかずに通り過ぎました。 
麓の果樹園で落果を採食してから山に戻る途中なのかもしれません。 

トレイルカメラのセンサーの感度に驚いたものの、遠くて映像が暗いので、謎の獣の正体が分かりませんでした。 
映像の後半では強制的に明るさを上げてリプレイしてみました。
候補としてはツキノワグマ、カモシカ、イノシシ、タヌキなどが考えられます。 
なんとなくイノシシっぽい気がするのですけど、どうでしょうか? 
どなたか見分けられる方がいらっしゃいましたら教えて下さい。 
撮れたのはこの一度だけです。 

池の岸辺に足跡などの痕跡があれば良いのですけど、水場のどこにどのアングルでトレイルカメラを仕込むべきか、悩みます。 
カメラの盗難対策も考えると、ここはあまり良い場所ではありません。 
1台しか無いトレイルカメラを効率よく運用したいので、この場所は諦めて別な獣道に設置することにしました。 
トレイルカメラを増やしたら、この水場で再挑戦するかもしれません。 

巣の幼虫を運んで捨て去るキイロスズメバチ♀【子殺し?育児放棄?】

 

2021年8月下旬・午前8:45頃・晴れ 

山道を麓から登り始めたばかりの地点で、キイロスズメバチVespa simillima xanthoptera)のワーカー♀が何か白い幼虫を抱えて地面を引きずって歩いていました。 
蜂は獲物の胸部を咥えたまま砂利道を前に歩いて運んでいます。 
獲物が重過ぎるようで、激しく羽ばたいても蜂は飛び立てません。 
このままでは樹上の巣に獲物を搬入できないでしょう。 
単独性の狩蜂がこのように獲物を運ぶ姿はよく見かけます。
しかし、社会性のスズメバチ類♀は獲物を狩るとその場で解体し、肉団子に加工してから巣に持ち帰るはずです。 
こんな丸ごとの幼虫をわざわざ運んでいるのは変です。 

重労働で疲れたキイロスズメバチ♀は砂利道で立ち止まって一休み。 
やがて獲物をその場に残したまま突然(自発的に)飛び去りました。 
私は蜂を驚かすようなことは何もしていません。 
飛び立つ瞬間を1/5倍速のスローモーションでリプレイ。 

捨てられた幼虫は全く動きません。 
胸部側面に蜂の歯型が残っていました。 
素人目には生死が不明ですし、そもそも何の幼虫なのか見分けられません。 
しかし過去の観察事例から私には事情が飲み込めました。
関連記事(6年前の撮影)▶ 巣の外に捨てられたキイロスズメバチ幼虫の謎【子殺し?】
現場となった山道の両脇はスギ林でした。 
おそらく近くの樹上にキイロスズメバチの巣があったのでしょう。 (探しても見つかりませんでした。) 
巣内で不要となった幼虫をワーカー♀が育房から引き抜いて捨てに来たのだと思います。 
体内寄生された幼虫や病気に罹患した幼虫を見抜いて捨てるのではないか?と個人的には考えています。 
遺棄した幼虫を実際に解剖して、体内寄生の有無を確認すべきでしたね。 
餌が少なくなる晩秋になると、口減らしのために多くの幼虫を(健康であっても)巣から捨てる必要に迫られるのだそうです。 
しかし今回撮影したのは8月下旬(未だ晩夏)なので、餌不足による口減らしとは考えにくいでしょう。 

この行動は子殺し(社会性昆虫の場合は女王蜂が自ら殺している訳ではないので、兄弟姉妹殺し)の一例と思われます。 
蜂の子は栄養満点なのに、スズメバチが不要になった幼虫を食べずに捨てるのは不思議です。
昆虫にヒトの倫理観は通用しませんから、肉団子に加工して他の幼虫に給餌する方が合理的なはずです。 
スズメバチの成虫は解剖学的に固形物を飲み込めませんから、単純な共食いは不可能です。(※註記参照)
せっかく幼虫に投資したタンパク質を無駄に捨てるのは勿体無いです。 
どうしてこんな(一見すると)無駄な行動が進化してきたのかと考えると、やはり体内寄生された幼虫個体または感染症に罹った幼虫個体を選んで捨てているのではないか?と私は個人的に疑っています。 
それなら営巣木の真下に幼虫を落として捨てるだけでなく、少しでも離れたところに運んでから遺棄する理由も納得できます。
ちなみにスズメバチに体内寄生する天敵としては、ハリガネムシスズメバチネジレバネカギバラバチなどが知られています。
関連記事(5、6年前の撮影)▶  
宿主キイロスズメバチ♂から脱出したハリガネムシ 
ネジレバネに寄生されたキイロスズメバチ♂は飛べなくなる? 
ネジレバネに寄生されたオオスズメバチ♀がコナラの樹液を吸汁



※【註】

ヒメスズメバチ♀は、同じスズメバチ科であるアシナガバチの巣を襲う専門家です。

アシナガバチの幼虫や蛹を巣の育房から引き抜くとその場で噛み砕いて体液を吸い、皮などの固形物は捨ててしまいます。

関連記事(12年前の撮影)▶ ヒメスズメバチ vs キアシナガバチ

巣内の幼虫を捨てる必要に迫られた時、ヒメスズメバチなら躊躇せずに食べたり他の幼虫に給餌したりするのではないか?という気もします。 

 

蜂が飛び去った直後の幼虫の胸部側面には歯型が残っていた。
1円玉の直径は20ミリ

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