2020年1月上旬・午後13:20頃・くもり
▼前回の記事
ノスリを2羽でモビングするハシボソガラス(冬の野鳥)
カラスにモビング(擬攻撃)されて逃げてきたノスリ(Buteo japonicus)がコンクリート製の電信柱の天辺に止まり、辺りをキョロキョロ見回しています。
ノスリの背後から飛来した1羽のヒヨドリが目の前を高速で横切っても、ノスリは動じませんでした。
(ヒヨドリによるモビングではなさそうです。)
ノスリは身震いしてから向きを変え、原っぱを見下ろすようになりました。
野ネズミなどの獲物を探し、待ち伏せしているのでしょう。
240-fpsのハイスピード動画に切り替えると(@1:07〜)、右足を上げて顔を掻きました。
私がしつこくカメラを向けて撮り続けると、ようやく飛んでくれました。
スローモーションで見るノスリの飛翔シーンは格別です。
翼を広げながら身を屈め、力強く羽ばたきながら足で電柱を蹴り出して飛び立ちました。
車道を渡ると堤防沿いの民家のトタン屋根に着陸しました。
実は、前回の記事で初めにノスリが止まっていたTVアンテナのすぐ近くです。
つまり、カラスが居なくなるを待ってから元の止まり場所に戻ったことになります。
このノスリとハシボソガラスは営巣(予定)地を中心とする縄張りが重なり合うようで、日々こうした神経戦のような攻防が繰り広げられているのでしょう。
互いに縄張りを譲る気は無いようで、いずれ折り合いを付けるのでしょう。
 |
ノスリ(野鳥)@電柱天辺 |
 |
ノスリの目の前を飛んで横切るヒヨドリ |
2020年1月下旬・午後16:00頃・雪・気温4℃
激しい雪が横殴りに降っている夕方、池に突き刺さった落枝に水鳥が集まって休んでいました。
落枝の上部の特等席に止まっているのは2羽のカワウ(Phalacrocorax carbo hanedae)です。
1羽は白い婚姻色(繁殖羽)が美しい成鳥で、もう1羽は若鳥のようです。
カルガモ(Anas zonorhyncha)の群れが落枝の周囲に集まって、水面で休んだり少し遊泳したりしています。
雪国の陰鬱な景色の中で、ひときわカラフルな鳥が1羽混じっていました。
ドキリとしてカメラをズームインしてみると、なんと憧れのオシドリ♂(Aix galericulata)が落枝の端に止まって休んでいました。
近くにオシドリ♀の姿はありません。
後半になるとオシドリ♂は尾羽を左右に激しく振りながら落枝上で落ち着き無く向きを変えていました。
オシドリは山形県の「県の鳥」なのに、準絶滅危惧種に指定されています。
私も実際にオシドリをフィールドで見かけたのはこれが初めてで、とても感激しました。
残念ながら、この日の私は安物のハンディカムしか持っていなくて、しょぼい映像しか撮れませんでした。
その後もう一度撮り直そうと、冬の間かなりムキになってこの池に通い詰めたのですが、オシドリには二度と会えませんでした。
※ 動画編集時に彩度を少し上げました。
2020年1月上旬・午後15:15頃
▼前回の記事
川面でオナガガモ♀を囲い込んで求愛する♂の群れ(冬の野鳥)その1:♂同士の喧嘩
冬の川面で1羽のオナガガモ♀(Anas acuta)を7羽の♂が囲い込んで婚活(求愛)しています。
♀を先導するように一番近く(♀の眼の前)に居た♂aが左前のライバル♂bを嘴でつついて追い払いました。
やられた♂b個体が一旦離れてから戻って来ると、驚いたことになぜか♀に向かって突進し、嘴で攻撃しました。
喧嘩に負けた弱い♂の八つ当たりにしか見えないのですが、♂から♀に対するこれほど本気の攻撃は初見です。
♂bに激しくつつかれた♀は慌てて水面から飛び去りました。
逃げた♀を追うように、♂の群れも続けて一斉に飛び立ちます。
1/5倍速のスローモーションでリプレイすると、更に驚きの行動が記録されていました。
追いかけてきた劣位♂bが♀を追い越す際に、隣で飛ぶ♀を嘴でつつこうとしたのです。
かなり♀を恨んでいる(根に持っている)様子です。
劣位♂bは他の♂とは異なり、嘴を半開きで飛んでいました。
鳴いてるのかもしれませんが、周囲のオナガガモ大群の喧騒に掻き消されて、私には聞き取れませんでした。
逃げた♀は少し飛んだだけですぐに同じ川へ着水し、♂による求愛の囲い込みが再開されます。
もしも場所を変えれば♀を取り囲む♂同士の順位(どれぐらい♀に近づけるか)もご破算になるのだとしたら、劣位♂にも再びチャンスが巡ってきますから、わざと♀を飛び立たせたのも作戦なのだろうと納得できます。
もう一つの可能性は、♂bと♀が元々仲が良くて番形成しそうだったのに、急に♀が他の魅力的な♂に乗り換えようとしたので、♂bが怒ってしまったのかもしれません。
それとも選り好みの激しい♀が♂同士を長々と競わせるので、いい加減早く相手を決めてくれよ…と♀に苛立ったのでしょうか。
そんなことをあれこれ妄想するほど、非常に興味深い事件でした。
つづく→川面でオナガガモ♀を囲い込んで求愛する♂の群れ(冬の野鳥)その3:少数♂による囲い込みの例