2020/05/12

5本足のベッコウバエ♀はどう身繕いするか?



2019年11月上旬・午後13:50頃

里山の林道沿いに生えたミズナラ幼木の黄葉にベッコウバエ♀(Dryomyza formosa)が乗っていました。



「やれ打つな蠅が手をすり足をする」と小林一茶が俳句に詠んだように、通常ハエは左右3対の足を互いに擦り合わせて身繕いします。
今回のベッコウバエ♀も翅を閉じたまま左右の前足を擦り合わせ身繕いしています。
…と思ったのは私の早とちりで、よく見るとこの個体は怪我したのか左前脚の先が途中から欠損していますね。
前脚同士を擦り合わせることが出来なくなったので、左中脚と右前脚を互いに擦り合わせていました。
「昆虫の本能行動は融通が利かない」というのがファーブルの見解ですけど、身繕いのような基本動作の場合は意外にそうでもない(冗長性がある)のかもしれません。※

ツツジ?幼木の葉に移動すると、今度は後足同士を擦り合わせています。
後脚で腹部の側面を擦ったり、胸背を掻いたり、翅の縁を擦ったりと、体の手入れに余念がありません。

化粧を済ませたベッコウバエ♀が木の葉から飛び立つ瞬間を1/5倍速のスローモーションでリプレイ。
翅を広げた瞬間に見えた腹部が黒褐色なので、ようやく♀と判明しました。

近くに獣糞や汚物または樹液が出る木があるのかと思ったのですが、何も見当たりませんでした。


※【追記】
例えば歩行法も5本足の個体は6本足の健常個体とは違っているはずですから、スーパースロー(ハイスピード動画)で撮影したら面白そうです。
ハエはすぐに飛んでしまうので、本格的に調べるなら何か工夫しないといけないでしょう。




止まり木の空席を巡りカワウ同士で小競り合い(冬の野鳥)



2019年12月中旬・晴れ


▼前回の記事
朝、川岸の倒木に一番乗りしたカワウが羽繕い(冬の野鳥)

カワウPhalacrocorax carbo hanedae)の群れが日中の止まり木として陣取るお気に入りの倒木が混み合ってきました。
空席を巡ってカワウが互いに小競り合いする映像をまとめてみました。

川で潜水漁や水浴を済ませた個体は、川の流れに乗って倒木の横を通り過ぎたり再び引き返して来たりします。
どうやら倒木の上陸地点を見定めているようです。
やがて倒木の空席を目掛けて川面からヒョイと飛び乗ると、先客と鳴き交わして挨拶しました。
カワウの鳴き声はお世辞にも美声とは言えませんが、太古の恐竜はきっとこんな鳴き声だったろうと想像します。
対岸にブラインドを張って隠し撮りしたおかげで、カワウが小声で鳴く声もよく聞こえ、迫力満点です。

カワウは水掻きのついた足で不器用ながらも多少は木登りが可能です。
斜めに倒れた木を少し登って互いに間隔を開けます。(ソーシャル・ディスタンス!)
濡れた羽根の水気を切るために倒木上で激しく羽ばたいたり、翼を大きく広げて日光浴したりしても、隣の個体にぶつからない間隔になっています。

やがて倒木が混んでくると、列に割り込もうとする新入りに対して先客が鳴いて威嚇・抗議したり嘴で牽制して追い払ったりすることがありました。
カワウの群れ内に力関係(つつきの順位制)があるのかどうか、個体識別して調べてみたいものです。
私が終日眺めていた限りでは、強い個体が止まり木でベストな場所を占めるというよりも、単純に早い者勝ちのような気がします。
軽い小競り合い(威嚇・牽制)になっても本気の喧嘩にはなりませんでした。
倒木に一旦飛び乗ってしまえば、隣の先客が鳴いて抗議(?)しても平然としています。
敵対的な場所取り争いではなく、顔馴染み同士がただ挨拶しているだけかもしれません。

個体によって倒木への上陸に得手不得手があるのが面白く思いました。
下手糞な個体は川面で倒木に近づき過ぎてしまい、逆に上陸が困難になっていました。
もたもたしていると倒木上の先客から威嚇され、倒木の下を何度もくぐり川面を右往左往することになります。
上陸上手な個体は、必ず上流から川の流れに乗って倒木へ近づくと川面から倒木上の空席へスムーズに飛び乗ります。
一番上手かった個体は、倒木からかなり離れた上流地点の川面から斜め前方に勢いよく飛び上がり、倒木の最高点に一発で着地しました。
おそらく経験豊富な成鳥なのでしょう。
あまりにも見事なので、1/5倍速のスローモーションでリプレイ。

昼間この倒木に並んで休む最大7羽のカワウは血縁関係のある家族群なのかな?
群れには成鳥と若鳥が居ます。
個体識別して長期観察してみたいものです。

カワウとカルガモが倒木の周囲で行水するシーンも撮れていたので、2種の水浴法の違いを見比べてください。
カワウが止まり木で脱糞するシーンもありました。


※ ブラインド使用で隠し撮り。
動画編集時に音量を強制的に上げています。(音声の正規化)

つづく→川岸の止まり木でカワウに遠慮するカルガモ(冬の野鳥)


カワウ5(野鳥)@倒木+羽繕い+羽根乾燥
カワウ5(野鳥)@倒木
カワウ4(野鳥)@倒木+羽繕い

2020/05/11

軒下を飛び回り越冬地を探索するアカタテハ



2019年11月上旬・午前11:40・晴れ

農村部で民家の軒下をアカタテハVanessa indica)が単独で飛び回っていました。
たまに軒先にぶら下がるように一瞬だけ止まりかけたものの落ち着かず、すぐに飛翔再開。
最後は屋根を飛び越えて姿を消してしまいました。
アカタテハは成虫で冬越しするので、きっと越冬地を探索しているのでしょう。

忙しない飛翔シーンを1/5倍速のスローモーションでリプレイ。

福田晴夫、高橋真弓『蝶の生態と観察』によると、

 越冬中の成虫発見例をタテハチョウ科でひろうと、(中略)アカタテハを崖から掘り出した、アカタテハが家のひさしにもぐりこんでいたなど、断片的な観察例が多い。(p177-178より引用)



ここ雪国で私は一度だけ厳冬期にアカタテハを2頭見つけたことがあります。(軒下から雪原に落ちた?)


▼関連記事(8年前の撮影)
雪に生き埋めされた首無しアカタテハの謎【怪奇ミステリー】




ランダムに記事を読む

  • 画面で動くハエのCGを攻撃するウスバカマキリ♀30/08/2011 - 0 Comments
  • ワラジムシの脱皮06/02/2011 - 0 Comments
  • 落葉した木に集まるヒヨドリとツグミの混群(冬の野鳥)17/05/2017 - 0 Comments
  • 崖の巣穴に夜な夜な出入りする野ネズミ【暗視映像:トレイルカメラ】23/02/2022 - 0 Comments
  • シュウカイドウの蕾を食べるヨトウガ(蛾)の幼虫【30倍速映像】08/01/2019 - 0 Comments