2019/03/21

繭を紡ぐイラガ(蛾)終齢幼虫【100倍速映像】



イラガ(蛾)の飼育記録2018年:#4


▼前回の記事
イラガ(蛾)終齢幼虫が小枝の樹皮を剥いで営繭準備【100倍速映像】


2018年10月上旬・午前8:30〜午後15:30

飼っていたイラガMonema flavescens)終齢幼虫がカキノキの斜めに伸びた小枝の下面に遂に繭を紡ぎ始めました。
微速度撮影で記録したので、100倍速の早回し映像をご覧下さい。
イラガの繭の表面の模様は個性豊かで、そのパターン形成は見ていて飽きません。
このテーマが大好き過ぎるあまり、実はこれが3回目の微速度撮影です。

▼関連記事(2年前の撮影)
イラガ(蛾)終齢幼虫の繭作り【100倍速映像】
小枝に繭を作り直したイラガ(蛾)終齢幼虫b【100倍速映像】

三度目の正直でもなかなか思い通りの映像が撮れず、奥が深いです。
完成した繭でカメラのレンズに向いていた面は白い縦縞模様の発達が悪く途中で途切れており、なぜか逆面の方が縞模様がきれいに形成されるのです。(縞模様の非対称性)

繭の形成過程を真横からではなく少し斜め上から撮ったのも実は狙いがありました。
繭を地球儀に例えて説明すると、北極点から経線のような縞模様が放射状に描かれる様子を記録したかったのです。
しかし残念ながら今回の繭は北極点の付近(北半球の片面)が茶色に塗り潰されて縞模様になりませんでした。
2年前は偶然による失敗作なのかと思ったのですが、今回も同じ結果なので
(縞模様の非対称性)、ひょっとすると再現性があるかもしれません。
背景を黒布で覆って暗くしている上に、長時間の撮影中に白色LEDのリングライトで幼虫を一方向から(カメラ側から)ずっと照らし続けているので、その悪影響なのでしょうか?
もし幼虫が周囲の環境に対して繭を保護色にしたいのであれば、明るい光が当たる面を白っぽく、日陰の面を黒っぽくするはずです。
ところが実際の繭は全く逆(日向の面が黒っぽく、日陰の面が白っぽい)なので不思議です。
眩しい照明の光を嫌った幼虫が、遮光のために焦げ茶色の硬化剤(タンパク質)で繭の内部を片面だけ念入りに塗り潰したのでしょうか?
そもそも繭を内側から見たときに白い部分と茶色の部分で遮光性に差があるのかどうか、羽化後の空繭で調べる必要がありますね。(私は差が無いと予想)
照明を嫌ったイラガ幼虫が繭の中で動き回る動きが微妙に不均一になり、結果として縞模様が非対称になったのかもしれません。

次回に再挑戦する際の撮影アイデアをいくつか考えました。
  • 背景の黒布を白布に変えてみるだけでも(レフ板のようになって)結果が変わるかも? ただし幼虫が吐く白い絹糸やシュウ酸カルシウムの白濁液が見え難くなりそうです。
  • (鏡を使うなどして)照明を繭の四方から当ててみる?
  • カメラを2台使って繭の逆面からも同時に微速度撮影するべきかも。
  • 動画による微速度撮影ではなくて、写真のインターバル撮影でストロボを焚いたらどんな結果になるのかな?
  • もちろん一番良いのは、野外の自然光下でイラガの営繭を微速度撮影することですね。


※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。




↑【おまけの動画】
100倍速では早過ぎて営繭行動の詳細がよく分からないとのご指摘を頂いたので、元々の素材である10倍速映像(42分間)も公開します。
長編の動画は視聴者から敬遠されてしまいがちなので、どう編集するのかいつも悩ましいところです。


イラガ(蛾)終齢幼虫@営繭
完成したイラガ繭(表面)
完成したイラガ繭(裏面)

2019/03/19

電線から脱糞後に飛び立つチョウゲンボウ♂(野鳥)



2018年10月中旬

▼前回の記事
チョウゲンボウ♂の羽繕いと鳴き声(野鳥)♪

電線に止まったチョウゲンボウ♂(Falco tinnunculus)になかなか飛び立つ気配がないので、急いでカメラに一脚を取り付けました。
望遠レンズで見ている画面の手ブレがこれで少し安定しました。

相変わらず横を向いたり正面を向いたりと辺りをキョロキョロ見回しています。
頭を上下に動かす謎の行動も依然としてやっています。
不意に、尾羽根を持ち上げながら勢い良く脱糞しました。(@0.43)
糞は白っぽくて粘り気がありました。
離陸前の軽量化かな?と予想していたら案の定、ようやく電線から飛び降りました。
近所の農耕地や家庭菜園で何か獲物を見つけて狩りをしたのかもしれませんが、残念ながら見失ってしまいました。
頭と尾が灰色なので♂と判明しました。
翼の先は指状に開かず尖っていました。

排泄および飛び立つ瞬間を1/5倍速のスローモーションでリプレイしてみます。

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。



2019/03/18

イラガ(蛾)終齢幼虫が小枝の樹皮を剥いで営繭準備【100倍速映像】



イラガ(蛾)の飼育記録2018年:#3



▼前回の記事
営繭前のイラガ(蛾)終齢幼虫の眠:寝相の10倍速映像

2018年10月上旬

朝からカキノキの小枝に静止していたイラガMonema flavescens)の終齢幼虫の腹面が橙色に変わっていました。
今までの飼育経験から、これは営繭の前兆であることが分かっています。
小枝の登り降りを繰り返していた幼虫が遂に営繭場所を決めたようです。
今回の個体は、あまりワンダリングせずにあっさり営繭場所を決めてくれました。
小枝が三叉になった部分に繭を作るだろうという私の予想はまたもや外れました。
斜めに伸びた小枝の下側表面を口で念入りに齧り始めました。
これから吐く絹糸が接着しやすいように基質表面を整えているのでしょう。
この段階でイラガ幼虫の食欲は無くなっているはずですが、削った木屑を食べているのかどうか、しっかり観察できていません。


名著『わたしの研究:イラガのマユのなぞ』によると、

 糸をはくまえに、はしの表面をかじることがありますが、かじることは、マユをつくるために、どうしてもひつような動作ではありません。シャーレや試験管はガラスですから、これをかじることはできませんが、マユはつくれます。 (p62より引用)
(筆者の石井象二郎氏は飼育下でイラガ幼虫に箸を与えてマユを作らせています。) 


2年前に飼育した際も同様の行動を観察したのですが、このときはせっかく樹皮を剥いだ場所になぜか繭を作りませんでした。
▼関連記事小枝をかじり脱糞するイラガ(蛾)幼虫

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。

遂に繭を本格的に紡ぎ始めました。
つづく→#4:繭を紡ぐイラガ(蛾)終齢幼虫【100倍速映像】


イラガ(蛾)終齢幼虫@カキノキ小枝+営繭準備
イラガ(蛾)終齢幼虫@カキノキ小枝+営繭準備

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