2013/03/21

食後に雪面で座位休息するニホンカモシカ



2013年2月下旬

右角欠け&左耳裂けという特徴のあるニホンカモシカ(Capricornis crispus)は常緑のツルマサキの葉を採食した後に河畔林を移動しました。
私が採食メニューを同定するためツルマサキの枝葉を採集していると、その間にカモシカの姿を見失ってしまいました。
それでも、雪面に残された足跡を必死に辿っていくとなんとか再会出来ました。

(古い足跡に惑わされて森の中をぐるぐる迷いました。)
最近ようやくカモシカの足跡から進行方向を読み取れるようになっていたのが役に立ちました。
この森にはあちこちの落葉高木にツルマサキの蔓が絡み付いて伸び、冬でも常緑の葉を茂らせていました。
ツルマサキが厳冬期の貴重な採食メニューであれば、ここはカモシカにとって冬でも食べ物が豊かな森だと言えそうです。

(映像はここから。)
カモシカは大木の根本でじっとしています。

初めは雪の壁に隠れて角だけのぞいているのが見えました。
そこから私がゆっくり回りこんで、最後は10mぐらいまで近づか­せてくれました。
てっきり、食後の反芻をしているのかと思いました。
少しずつ接近しながら口の動きに注目して観察したのですが、どうやら反芻は行っていないようです。
どうも落ち着かなく立ったり座ったり向きを変えたりしていました。
私が撮影アングルを求めて少し移動する度にカモシカもそれに応じて私に正対しようとします。
調子に乗って近づきすぎたのかもしれません。
もう少し離れて撮っていれば警戒を解いてくれて反芻行動が見れたのではないかという気がします。

関連記事→「野生ニホンカモシカの反芻行動

初めは私に対して後ろ向きに座り、耳だけをそばだててこちらの様子を窺っていました。※
やがて立ち上がるとこちらに向き直り、私を正面から見据えながら座り直しました。
雪面の傾斜など座り心地が気に入らなかったのか、何度も落ち着かなく座り直します。

白く流れる鼻息が美しいですね。
顔も迫力のアップで撮ることができました。
眼下腺が黒く腫脹しています。
右角欠け&左耳裂けという凄みのある顔立ちですけど角は未だ短いので、実は未だ若い個体なのでしょうか?

歴戦の強者にも見えますが、逆に傷だらけなのは喧嘩に弱い証かもしれません。
ときどき枝からの落雪がカモシカの頭を直撃しました。
座る前に頭を下げながら舌をペロペロする癖があるようです。

撮れ高に満足したので日が落ちる前に帰ろうと離れたらカモシカも立ち上がり、河畔林の雪原を下流方向へ歩き去りました。
長時間の連続観察の間、私に対して鼻息威嚇を一切行いませんでした。
この個体とは後日、同じ河畔林で再開を果たします。→つづく

※ 中公新書『カモシカ物語』p113によると、

人間を意識しているカモシカは休息して座っていても、両前肢はちゃんと折りたたみ、首筋をしゃんとのばしている。 意識している証拠に、立てた耳がレーダーよろしく前後に動く。

顔正面のアップ

横顔のアップ

角と耳だけが雪の上にのぞいている。

後ろ向きでも耳をそばだてて油断しない。

凄みのある顔貌


休むカモシカの頭上に常緑のツルマサキの葉

カモシカが横に座っていた落葉樹(樹種不明)とツルマサキ気根

カモシカが座っていた雪面の跡

木をつついて回るゴジュウカラ【冬の野鳥】



2013年1月上旬

雪山の雑木林でゴジュウカラSitta europaea)が樹上採食していました。
ゴジュウカラは幹に逆さまに止まって木を下りる芸当が出来ます。
幹を自在に登り下りしながら嘴でつついて餌となる虫を探しています。






2013/03/20

ツルマサキの葉を採食する雪国のニホンカモシカ



2013年2月下旬

右角欠け&左耳裂けという特徴のあるニホンカモシカ(Capricornis crispus)をこっそり追うと、河畔林の奥で常緑樹の葉を次々と採食し始めました。
葉を枝から噛み千切ると、顎をもぐもぐ動かして咀嚼しています。
ときどき枝からの落雪がカモシカの頭を直撃しても、平然と食べ続けます。
後ろ足で立ち上がって採食することは無いようで、首を伸ばしても口が届かない枝葉は残されます。





採食メニューの樹種を調べるのに二転三転しましたが(マユミ? ツリバナ? 等々)、ようやくツルマサキだろうと判明しました。

枝葉と果実

枝葉と果実

枝葉


別種の落葉高木の樹冠まで蔓を伸ばしている。

気根

現地で採集してきた枝葉です。
押し花のようにスキャナできれいに取り込みたかったのですけど、忙しくて時間がなかったので、萎れる前にセロテープで貼っただけで済ませました。







果実

果実

冬芽

冬芽


この個体は年中この辺り(谷川の河畔林、標高〜420mの平地
)を縄張りとしているのか、それとも餌の乏しい厳冬期だから山から下りてきたのか、興味があります。
ちなみに中公新書『カモシカ物語』p146によると、
山の下部の方が上の方より積雪量が少ないことなどから、行動をするのにも楽なのかも知れない。(中略)一般的に体力の衰えてきたものは、川原などの低地部に現れる傾向にあるようである。
もちろん本の記述を鵜呑みにするつもりはありませんが、一つの参考としておきます。

つづく→食後の座位休息

【関連記事】
積雪期の採食メニューとして、前年には雪山でユキツバキの葉を食すニホンカモシカを観察しています。


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