2012/09/04

崖の上のニホンカモシカ




2012年7月上旬

険しい山道を歩いていると上の方から物音がするので見上げると、崖の上のポニョ…ではなく、ニホンカモシカCapricornis crispus)を発見!
崖崩れ防止のためコンクリートで被われた急斜面の更に上の林からじっと見下ろしていた。
やがてカモシカは鼻息で威嚇すると身を翻し、奥の林に姿を消しました。
それにしても、レンズが汚れていてお見苦しいですね…。
(映像はここまで)

その後も向こうからは見えているのか、鋭い鼻息が聞こえてきます。
試しにこちらも鼻息を真似てフシュフシュ♪と呼応してみたら、交互にラリーが結構続きました。
野生動物と交流できたようで、ちょっと嬉しいひとときでした。
カモシカ同士の縄張り争いでも似たようなことが行われるのかもしれません。
今思うと、その様子も動画に撮ってみればよかったですね。
(カメラ内蔵のマイクで遠くの鼻息を録音できたか分かりませんが…)
▼関連記事▼
野生ニホンカモシカと鼻息で鳴き交わしてみる


【追記】
一般にカモシカは、自分よりも下の位置を通る物体には警戒心がないと考えられる。逆に、人間が尾根などの高い位置から接近すると、とたんに「フシェー」と鼻息荒い声を発して威嚇し、沢の方へと一目散に逃走する。(『野生のカモシカ:その謎の生活を追う』p31より)

カモシカは、自分より高い位置にいる自分以外の異種の個体、つまりヒトには神経質だ。(『カモシカの森から:白神・津軽 北の自然誌』p144より)


2012/09/03

ヨモギの葉を舐めるムモンホソアシナガバチ創設女王



2012年5月下旬

ムモンホソアシナガバチ♀(Parapolybia indica
)がヨモギの葉に止まって何かやってます。
時期的にワーカーではなく、未だ単独営巣期の創設女王だと思われます。
実は、ヨモギの葉裏から産毛を集めるムモンホソアシナガバチの動画をハンマーさんのブログで拝見したばかりだったので、てっきりこれも巣材集めかと思って撮り始めました。
明らかに蜂は葉表に口を付けて何かを舐めています。
しかし、どうも巣材集めとは違うようです。
側面から見ても丸めた巣材(ペレット)を口元に抱えていません。
一頻り舐め終わった蜂は身繕い。
蜂が飛び去った後で確認すると、ヨモギの葉に肉眼レベルでは朝露(水滴)やアブラムシは付いていませんでした。

一体何をしていたのか、ちょっとしたミステリーでした。

『日本の真社会性ハチ:全種・全亜種生態図鑑』p74によると、

ムモンホソアシナガバチの)巣は樹木の葉に密生する毛を材料として造られるため、淡褐色もしくは淡い肌色を呈し、アシナガバチ属の灰色の巣と比べると対照的である。





2012/09/02

尾繋がり後に交尾拒否するミヤマカワトンボ♀




2012年6月下旬

山中の渓流を遡行していると、多数のミヤマカワトンボCalopteryx cornelia
が活動していました。
そのなかで偶然、♀の交尾拒否と思われる興味深い行動が撮れました。

尾繋がり状態のペアが川岸の茂みに止まっています。
前の個体が♂で、胴体がメタリックグリーン。
後ろの個体が♀で、胴体は褐色。
♀の翅だけに目立つ白い斑点は「擬縁紋」と呼ばれます。



♂が♀を前に引き寄せてハート型の交尾姿勢になろうとしても、♀は頑として応じようとしません。
♂は力を入れつつ葉上でバランスを保つため羽ばたいています。
♀は一応、腹部を曲げているものの、決して一線を越えません。
痺れを切らした♂が♀を連れたまま飛んで場所を変えます。
木の葉から近くの下草に移動。
何もアクションを起こさないまま、再び連結飛行で移動。
今度は潅木の枝に止まりました。

♀は腹部をだらんと垂らし、いつまで経っても♂の副交尾器と結合しようとしません。
♂は力を入れて腹部を曲げ、羽ばたきながら♀を引き寄せようと頑張ります。

交尾に先立って連結状態で行われる♂の移精行動をこの♀は妨げているのかもしれません。(参考図書:『ミヤマカワトンボのふしぎ』p22)

今度はまた下草に移動しました。
側面をしっかり見せてくれるアングルに戻ったため、「交尾の体位が分かり易くて助かるなー」と呑気に見ていると不意に♂が連結を解除し、飛び去りました。
遂に交尾を諦めたようです。
葉上には貞操を守った♀が残されました。

ミヤマカワトンボの交尾の成功例(典型例)を観察しないうちに非典型的な(相性の悪い不仲の)カップルに遭遇したので、解釈に苦しみました。

このペアのそれまでの過程を見ていないのですが、まず赤とんぼのように♀の産卵後に♂が尾繋がりの交尾後ガードを解消した可能性を考えました。

つまり、やるべき繁殖活動を完遂した後にペアが尾繋がりを円満解消したという可能性です。
ところが本種の産卵は♀が単独で潜水産卵を行うようで、交尾後に♂が連結状態で産卵する♀を警護することはありません。

自分の縄張り内で潜水産卵する♀を♂は近くで見守るそうです。

↓参考動画:by neakayoshiさん





調べて分かったこと(本の引用)。

  • ミヤマカワトンボの♂は、水面に浮かび、腹部を反らせ、上空を通過する♀に求愛する。(『トンボ入門』p71より)
  • ミヤマカワトンボの♀は腹部を反らせて♂を拒否する。(『トンボ入門』p63より)
  • おつながりになっても交尾をしなかったのは、トンボの場合、自分の尻尾を曲げて交尾に応ずるのは♀だからである。♀に交尾する気がなければ、おつながりになっても♂は諦めるしかない。(『トンボの不思議』p56より)
  • ミヤマカワトンボでは、縄張り内に♀がやって来ると、♀に近づき、「しっぽの先を反らせて水面に浮かぶ」という求愛の動作を示す。♂のしっぽの先端は白くなっており、その部分を誇示して、自分が魅力的な♂であることをアピールするかのようである。水面に浮かぶのは一瞬で、すぐに飛び上がって♀を追いかける。それに対して、求愛の受け入れを示す♀の合図は、羽を閉じて静止することである。すると、♂は♀の羽の先に着地し、ついでしっぽの先で♀の首根っこを掴んでおつながりとなる。♂が着地するあたりの羽には、「擬縁紋」と呼ばれる白く目立つ斑点がある。一方、♂の求愛が気に入らない♀は、縄張り外に飛び去るか、静止しても羽を広げ、♂が着地できないようにする。すると♂はすぐに諦め、それ以上♀につきまとうことはしない。(『トンボの不思議』p52より)

今回観察したような交尾拒否行動はトンボの本に記述されていませんでした。
おそらく通常の求愛拒否のシグナルを無視して強引に尾繋がりしたガサツな♂を♀が嫌がり、頑として交尾を拒んだと推測しました。
あるいは尾繋がりしてから♀の気が変わったのかもしれません。
世間のイメージとは異なり、トンボも交尾の最終決定権は♀にあるようです。(♀が♂を選ぶ)

後で思うと、この日はミヤマカワトンボ♂の求愛と思われる不思議な行動も渓流上で一度目撃しているのですが、そうとは知らず撮り損ねました。
トンボは種によって繁殖行動にバリエーションがあり、とても面白いですね。
動画ネタが幾らでもありそうです。





【追記】
私が観察した事例とは異なりますが、図鑑『日本のトンボ(ネイチャーガイド)』にミヤマカワトンボの興味深い生態写真が掲載されていました。
♂同士の連結(Male-male tandem):個体数が多いところでは、まれにこうしたハプニングが起こる。左の♂はまだ気付かずに交尾を促している。(p45より引用)


ランダムに記事を読む

  • タバコの花で盗蜜するクロマルハナバチ♀12/09/2014 - 0 Comments
  • ムクドリ(野鳥)の集団就塒:電線からケヤキ並木へ21/06/2017 - 0 Comments
  • 落葉したハンノキ樹上にキイロスズメバチ?の古巣を見つけた!02/06/2020 - 0 Comments
  • ノスリを2羽でモビングするハシボソガラス(冬の野鳥)20/06/2020 - 0 Comments
  • ヒヨドリバナを訪花するキバネセセリ♂の羽ばたき【HD動画&ハイスピード動画】05/10/2014 - 0 Comments