2010/12/12

オオハキリバチの造巣2




2010年9月上旬

(承前)
穴からときどき木屑が落ちてくるのがオオハキリバチ♀(Megachile sculpturalis)が出巣する前兆です。
巣内の作業時間が次第に短くなっている気がします。
穴が順調に巣材で埋まり入口までの距離が短くなっているのだろう。
帰巣は低い羽音の接近で分かります。
集めてきた樹脂は粘りが強いようで、長く糸を引いていることがありました。
木屑は乾いた質感から朽木をかじり取ってきた物のような気がします。
帰巣間隔から判断すると、巣材の採集時間は木屑よりも樹脂の方がやはり手間取るようです。
咥えてきた木屑を全て落としてしまい、近くの材木に止まって巣材集めを試みることがありました。
結局諦めて新たに木屑を集め直して来ました。
木屑の搬入作業は毎回無駄が多く、見ていてもどかしくなります。
入口で木屑がつかえてしまうのでアプローチをやり直しつつ空中で噛み砕いて殆ど捨ててしまいます。
巣内に持ち込める木屑の量は僅かしかありません。
樹脂を2回、木屑を4回ほぼ交互に空中搬入しました。
薄暗くなってきた上にデジカメのメモリーカードの容量を使い切ってしまいました。
観察終了時の気温は28°C。
翌日の貯食作業編につづく)

オオハキリバチの造巣1






2010年9月上旬

資材置場に転がっている丸太の端が加工され、下面にほぞ穴が3つ並んでいます。
オオフタオビドロバチ♀が手前の穴を物色している姿を観察したのが7月下旬。
久しぶり(6週後)に訪れると手前の穴は泥で封じられていました。
今度はオオハキリバチ♀(Megachile sculpturalis)が奥の穴(直径8mm)に営巣していました。
樹脂の塊をせっせと集めてきては穴に搬入しています。
本種はハキリバチ科なのに巣材に葉片を用いません。 
穴が下向きに開口しているので着陸しても滑落しやすく、帰巣に毎回苦労しています。
巣穴に必ず前向きで入り、後退して出て来ます。
中で方向転換できるほど広くないようです。


ときどき樹脂ではなく木屑を咥えて運んできます。
中で樹脂と混ぜて育房間の隔壁を強化するのでしょう。
オオハキリバチは木屑をスズメバチ科のようによく噛み砕いてペレットに丸めず原形のまま搬入しようとするので、巣口につかえてなかなか入りません。
滑落したり何度もアプローチをやり直すうちに大顎から木屑が次第にこぼれ落ちて少なくなってしまいます。
とても効率の良い作業とは言えません。
それでも蜂は辛抱強く巣作りを進めていきます。
樹脂と木屑をほぼ交互に5回ずつ搬入しました。
樹脂はマツなどの針葉樹から集めてくるそうです(松脂)。
観察開始時の気温は31℃。
つづく 


≪参考≫
『ハチの博物誌』(青土社)第7章「樹脂の匠:オオハキリバチ」

トラマルハナバチのツリフネソウ訪花




2010年9月上旬

ツリフネソウの群落でマルハナバチが訪花していました。
不慣れな私はナガマルハナバチと迷ったのですが、蜂類情報交換BBSにて問い合わせたところ、腹端近く(正確には第4、5腹背節)の毛の色が黒なのでトラマルハナバチBombus diversus diversusのワーカー♀だと教えて頂きました。
後脚の花粉篭に白い花粉団子を付けています。
口吻が長い種で筒状の花(距)の奥にある蜜腺にも届くようで、裏技の盗蜜行動は見られませんでした。


 ≪追記≫

ツリフネソウは、蜜を吸いに訪花するトラマルハナバチのちょうど背中に花粉がつくような構造になっている。背中は、ハチの足が届きにくいから花粉がなかなか落ちず、いつまでも残っている。したがって花粉は効率的に他の花へと運ばれていくのである。

『植物は考える:彼らの知られざる驚異の能力に迫る』河出書房新社 p144より引用


(ツリフネソウの)花の形は、マルハナバチを利用するためにある、といえる。(中略)花粉はハチに簡単に掃除されないよう、肢が届きにくい背面に白く筋状につく。(『昆虫の集まる花ハンドブック』p16より)

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