2023/06/17

秋の河畔林で拾ったオニグルミの堅果を運ぶ野ネズミ【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2022年11月上旬〜中旬 

河畔林でタヌキの溜め糞場rvを見張っていると、野ネズミ(ノネズミ)がときどきオニグルミの堅果を運ぶ様子がトレイルカメラに撮れていました。 
落ち葉に埋もれかけていますが、画面中央と左上の2箇所に黒々と見えるのがホンドタヌキの溜め糞です。 

今回の野ネズミが運ぶクルミは、私が給餌したものではありません。
ニセアカシアが優占する河畔林にオニグルミの木も点々と自生しています。 
野ネズミは夜な夜なオニグルミの落果を探しては安全な場所に運んで地中に埋め、冬の食料として貯食するのでしょう。 


シーン1:11/10・午後23・57(@0:00〜) 
深夜に起動した監視カメラに警戒した野ネズミが、落枝の上で立ち止まっていました。 
口には土付きのクルミを咥えています。 
(※ 殻に泥汚れが付いているように見えたのですが、果皮を剥いた残りカスかもしれません。) 
背側から見下ろすように撮ると、野ネズミがクルミの実を咥える向きがよく分かります。 
やがて警戒を解くと落枝を伝い歩き、右に運び去りました。 
しばらくすると画面の右上隅を素早く走り抜け、すぐに戻って来ました。 
素早いダッシュの右往左往を1/3倍速のスローモーションでリプレイ。(@0:32〜) 


シーン2:11/15・午後22・36(@0:54〜) 
5日後の深夜、右の溜め糞に来て居た野ネズミをよく見ると、オニグルミの実を咥えていました。 
そのまま右上に運び去りました。 
運搬シーンを1/3倍速のスローモーションでリプレイ。(@1:04〜) 


シーン3:11/16・午後22・30(@1:16〜) 
小雨が降る翌日も、ほぼ同じ時刻に登場しました。 
画面の右上端を走る野ネズミが一瞬だけ写りました。 
1/3倍速のスローモーションでリプレイしてみると、クルミを運んでいました。

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。 



シロツメクサの花で求愛するヒメシジミ♂と交尾拒否する♀【FHD動画&ハイスピード動画】

 

2022年6月下旬・午後13:00頃・晴れ 

翅の色で性別をかんたんに見分けることができるヒメシジミPlebejus argus micrargus)は、配偶行動の観察に向いています。 
河川敷に咲いたシロツメクサの花で吸蜜する♀を撮っていると、同種の♂が飛来しました。 
♀の背後からぶつかってきた♂は、同じシロツメクサ頭花に止まると、♀に求愛アタックを始めました。 
細長い腹部を♀の方へ曲げて、隙あらば交尾するチャンスを狙っています。(@0:10〜) 
しかし、この♀は交尾する気がないようです。 
♂に対してなるべく正対するように、シロツメクサ頭花上で♂から逃げ回りながら吸蜜を続けています。 
背後を取られないように♂と顔を突き合わせていれば、♂の交尾器は届きません。 
シロチョウ科の♀では翅を開いて腹端を高々と持ち上げることで♂に交尾拒否の意思表示をしますが、シジミチョウ科のヒメシジミ♀はそのような分かりやすい交尾拒否行動をしませんでした。 

脈がないと分かった♂は少し吸蜜してから、潔く諦めて飛び去りました。 
♂のセクハラから解放された♀は、しばらく吸蜜を続けてから飛び立ち、隣に咲いたシロツメクサの花へ移動しました。 


続けて240-fpsのハイスピード動画でもヒメシジミの交尾拒否行動を撮ることができました。(@0:51〜) 
※ 実は、撮影順は逆です。 
慌てて撮り始めたので、ピントが甘いのが残念です(奥ピン)。 
ハイスピードモードでは固定焦点なので、合焦するように私が撮りながら一歩下がれば良かったですね。
しかし晴れた野外だと眩しくてカメラのバックモニターがよく見えず、ピントが確認しにくいのです。 

ヒメシジミの♀♂が同じ集合花に訪花しています。
♂は青い翅表を見せつけるように翅を半開きにしたまま、歩いて♀に近づきます。 
一方、♀は翅を閉じたままで、シロツメクサの花の下部に隠れています。 
シロツメクサの集合花は小さな蝶形花が下部から順に枯れていくので、下部に隠れた♀は吸蜜できません。 
つまりヒメシジミの♀にとって、♂のセクハラを回避するための行動は、吸蜜活動の機会損失になります。
ここでも♀は♂に背後を取られないように逃げ回っています。(交尾拒否) 
♀の同意がなければ交尾が成立しないのです。

痺れを切らした♂が花から飛び立つと、♀の周囲を激しく飛び回り始めました。(求愛飛翔) 
飛びながら♀の体に何度も軽く体当たりしています。 
♂がシロツメクサの茎に止まって羽ばたき、盛んにアピールしても、♀は交尾する気がありません。 
♀が♂と正対しながら閉じていた翅を半開きにしたのが交尾拒否の強い意思表示なのかな? 
よく見ると、♀は前脚や中脚も激しく動かして「来るな来るな」と正面に居る♂を牽制しているようです。 
ヒメシジミの脚は短いので、「しつこく迫る♂を足蹴にする」と言うほどの迫力はありません。 
遂に♂は求愛を諦めて飛び去りました。 

撮影アングルがいまいちで、交尾拒否のヒメシジミ♀が腹部を高々と持ち上げていたかどうかなど詳しい体勢がよく見えませんでした。 
♂が去ってからもヒメシジミ♀がシロツメクサの茎に居残っていると、その茎を下からクロアリ(種名不詳)が登ってきました。 
すると、蟻を嫌がった♀が慌てて飛んで逃げました。 
羽ばたいた際に翅表が初めて見れて、地味な茶色であることから♀と確認できました。 


2023/06/16

餌場に置いたオニグルミ堅果に悪戯するも食べずに去る若いニホンザル【トレイルカメラ】

 

2022年11月中旬・午後15:51および15:58:頃・気温6℃ 

山腹に立つカラマツの根元にオニグルミ堅果を新たに40個まとめて置きました。 
3回目のクルミ給餌をしてからわずか約4時間半後、野生ニホンザルMacaca fuscata fuscata)の群れが通りかかりました。 
この地点で猿がトレイルカメラに写ったのは初めてです。 

落ち葉の積もった斜面を駆け下りて、泥汚れの付いたカラマツの横を通り過ぎました。 
カラマツ根元に置いたクルミには気づきませんでした。 

約5分後、♂らしきニホンザルが右から左に足早に歩いて監視カメラの目の前を横切りました。 
この個体も餌場のクルミには気づかず素通りしました。 
一瞬の登場シーンを、まずは1/3倍速のスローモーションでご覧ください。 
続けて等倍速でリプレイ。 

しばらくすると、また別の個体が雑木林の斜面を駆け下りて来ました。 
カラマツの右を通り過ぎ、ローアングルで設置したカメラの存在に気づくと減速し、まっしぐらに歩いて来ました。 
好奇心旺盛の個体で、顔を近づけてレンズを覗き込みました。 
頬袋に溜め込んだ餌を咀嚼しています。 
こんな迫力満点の映像が撮れたのは、無人カメラならではです。 
トレイルカメラが猿に壊されたり悪戯されたり、持ち去られたりするんじゃないか…という心配は杞憂でした。 

カメラに興味を失ったニホンザルが左に歩き去ろうとして、立ち止まりました。 
後ろ姿の尻や股間を見る限り、若い♀個体のようです。 
給餌場に置かれた大量のクルミに気づきました。 
残念ながら後ろ姿で見えませんが、右手を使ってガラガラ♪とクルミの山を崩したようです。 
餌場の下にオニグルミ堅果が散乱しました。 

悪戯好きの猿は画面の左端に座り込み、頬袋に溜め込んだ餌をもぐもぐと咀嚼しています。 
私は未だ実際に観察したことがないのですけど、ニホンザル成獣の一部はオニグルミの堅い殻も歯で力任せに噛み割って中身を食べることができるようになるそうです。 
しかし、この若い個体は顎の筋肉が非力なのか、クルミ堅果の食べ方を知らないのか、そもそも餌だと認識していないようです。(ただの石ころだと思った?)
関連記事(約2週間前の撮影)▶ 若いニホンザルはオニグルミの落果を拾って皮を剥いても硬い殻を割れない【種子散布】
もしかすると、当地のニホンザル個体群にはオニグルミの殻を割って食べる食文化が伝播していないのかもしれません。

この若いニホンザル♀は最後に右手で頭を掻いてから立ち上がり、左へ遊動しました。 
せっかくきれいに並べて置いたクルミの山を崩されたのはビックリしましたが、ニホンザルの好奇心による無報酬の種子散布を目の当たりにして興味深く思いました。 

※ 動画編集時に一部の音声を正規化して音量を強制的に上げています。 

もしもニホンザル成獣が給餌場に置かれたクルミを見つけたら殻を割って採食するかどうか、興味深いところです。
しかし、残念ながら二度と現れませんでした。
ニホンザルは広い山域を群れで遊動しますが、山腹を斜行する山道(廃道)をショートカットする個体しかこの現場を通りかからないのです。



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