2025/02/20

キタテハ秋型の道教え?:砂利道を舐めてミネラル摂取

 

2023年10月上旬・午前10:50頃・晴れ 

砂利が敷かれた農道で秋型のキタテハPolygonia c-aureum)2頭がミネラル摂取のために集まっていました。 
私はキタテハの性別を外見で見分けられませんが、性成熟に必要なナトリウムやアンモニア塩を摂取するのはおそらく♂と思われます。 

キタテハは翅を開閉しながら砂利道を歩き回り、口吻の先端であちこち舐めて味見しています。 
お気に入りの(塩分の濃い)地点を探り当てると、一箇所に落ち着いて一心不乱にミネラル摂取に励みます。 
農道の轍に水溜りができているのですが、そうした水たまりの岸の泥よりも、乾いた砂利の表面を好んでキタテハは舐めていました。 
おそらく、水分が蒸発して塩分が濃縮された場所が好みなのでしょう。 
少量の唾液を吐き戻して小石の表面の塩分を溶かしてから、それを吸い戻していると推測されます。 

最後に、路上からキタテハが飛び立つ瞬間もついでに記録しようと、私が動画を撮りながら歩いて近づいてみました。 
しかし飛び立ったキタテハは少し飛んで遠ざかっただけで、すぐに同じ農道に再着陸しました。 
また私が近寄ると、同様に少しだけ飛んで逃げただけでした。 
ハンミョウの「道教え」を連想しました。 

関連記事(7年前の撮影)▶ ナミハンミョウの道教え【HD動画&ハイスピード動画】
人が近づくと飛んで逃げ、1 - 2 m程度飛んで着地し、度々後ろを振り返る。往々にしてこれが繰り返されるため、その様を道案内に例え「ミチシルベ」「ミチオシエ」という別名がある[4]。 (wikipedia:ハンミョウより引用)
もちろんキタテハにそんな意図は無く、ミネラル摂取を邪魔されてもお気に入りの塩場から離れたくないだけなのでしょう。 


※ 説明・演出のため、動画編集時に素材の順番を変えました。 
一番伝えたいポイントを出し惜しみしないで先に見せるようにしないと、ショート動画が全盛の昨今では視聴者が途中で離脱してしまうからです。 
実際には、望遠マクロで吸汁シーンを撮ってから、キタテハに近づいて離着陸を繰り返す様子を撮影しました。 

キタテハが地面を舐めてミネラル摂取する行動はこれまで何度も撮影してきたのですが、「道教え行動?」は初見で、ちょっと面白いと思いました。 



2025/02/19

右後脚を痛々しく跛行しながら早春の営巣地を横切るホンドタヌキ【トレイルカメラ:暗視映像】交通事故の怪我?

 



2024年3月下旬 

シーン1:3/19・午後13:16・晴れ・気温26℃(@0:00〜) 
明るい時間帯にたまたま撮れた現場の様子です。 昼間に晴れると、ホンドタヌキ♀♂(Nyctereutes viverrinus) が営巣する休耕地の残雪がどんどん溶けていきます。 

監視カメラの設置角度を失敗してしまい、画角が斜めに傾いてしまいました。 
一番奥に見えるスギ防風林の手前で左右に走る農道(雪道)は、本来は坂道ではなく水平線に見えるはずです。 


シーン2:3/22・午後19:01:頃・気温0℃(@0:04〜) 
ある晩、営巣地の枯野をタヌキが単独で左から右に横切りました。 
引き返してから、キツネに乗っ取られた巣口Rの匂いを嗅ぎ、右奥へ立ち去りました。 

骨盤を骨折したのか、後脚が不自然な痛々しい歩き方です。 
足の裏にノイバラの棘が刺さったときの跛行とは明らかに違います。 
原因は不明ですが、夜の車道で交通事故に遭ったのではないかと心配です。
キツネやアナグマなどと喧嘩しても、これほどの重症を負うことはない気がします。 
それとも、下半身の運動神経が一部麻痺した症状なのでしょうか。
今のところ命に別状はなさそうですが、どこか骨折しているとなると、自然治癒するのは難しそうです。
例えば、走るのはもう無理ではないでしょうか?

負傷タヌキの奇妙な跛行を1.5倍に拡大した上でリプレイ(@0:58〜)。 


※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。 
早春の雪解けで雪面によるレフ板効果がなくなると、監視カメラの赤外線が遠くまで届きにくくなります。
暗視映像を強引に明るく加工すると、どうしてもモザイク状のノイズが乗ってしまいます。 


つづく→


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ニホンアナグマの死骸を食べ漁り、肉片を繰り返し持ち去るハシブトガラス(野鳥)

 

前回の記事:▶ 越冬できずに死んだニホンアナグマの亡骸に群がるクロバエ 


2024年3月下旬・午後16:43〜17:16・晴れのち曇り 

早春に平地の二次林でニホンアナグマMeles anakuma)の死骸を食べに来るスカベンジャーを記録するために、急遽トレイルカメラを新たに設置することにしました。 
野生動物の死骸が様々な生きものに食べられ微生物に分解され、土に戻るまで見届けられるでしょうか? 
もしかすると、野鳥が巣材としてアナグマ死骸の体毛を集めに来るかもしれません。 
死骸を営巣地から遠ざけて置き直すべきか迷いましたが、そのまま放置することにしました。 
臨機応変にぶっつけ本番でやるしかありません。 

私が立ち去ると、アナグマの死骸の近くに真っ先に現れたのは、カラスでした。 
上から見下ろす撮影アングルではハシボソガラスとの区別が微妙なのですが、ハシブトガラスCorvus macrorhynchos)のようです。 
しかし監視カメラの存在に目ざとく気づいたようで、警戒したカラスはホッピングで逃げていきました。 
その後はアナグマの営巣地(セット)をあちこち探索して安全を確かめています。 
死骸は、巣穴を見張る監視カメラの画角の外で、セットの端に横たわっています。 

ようやく警戒を解くと、ハシブトガラスは死骸の左腿の損傷部(傷口)から死肉を啄み始めました。 
死骸の同じ箇所から繰り返し食べています。 
太くて強力な嘴をもつハシブトガラスは、アナグマ死骸の下半身の毛皮を引きちぎるように剥ぎながら、死肉を食べています。
カラスはその場で屍肉を食べて飲み込むのではなく、喉袋いっぱいに肉片を詰め込んでいました。 
そのまま左に飛び去りました。 
しばらくするとまた戻ってきたので、喉袋に詰めた肉片をどこかに貯食してきたのでしょう。 

食事中に遠くの仲間に呼びかけられて、カーカー♪鳴いて応じました。 
つがいのパートナーや仲間を呼び寄せて死骸をシェアするのかと期待したのですが、カラスが集まってくることはありませんでした。 
ただの挨拶だったようで、この個体は死骸をこっそり独り占めしています。 
死んだアナグマの肉片を喉袋いっぱいに詰めて運び、どこかに隠してくる貯食行動を繰り返しています。 
後半になるとハシブトガラスは死骸の腹膜を破り、白い内臓(脂肪? 腸?)を食べ始めました。 

最後にカラスが飛び去ったのは午後17:16で、この日はもう戻ってきませんでした。 
おそらく日没前にねぐら入りしたのでしょう。 


【考察】 
代表的なスカベンジャーであるハシブトガラスが真っ先に通って来たのは予想通りですが、いつも単独で現れました。 
仲間を呼び寄せることもなく、大量の餌を独り占めしています。 
群れ(同種またはハシボソガラスとの混群)で一緒に死骸を食べ漁らないのは意外でした。 
ハシブトガラスの♀♂ペアがすでに自分たちの営巣地周辺に縄張りを確立していて、他のカラスが入ってこれないのかもしれません。 
北国でこの時期のカラスはまだ営巣・繁殖を始めていないと思うのですが、今季は暖冬の後で春の到来が早いです。 
もしもカラスの繁殖開始が早まっているとすると、巣内で抱卵するハシブトガラス♀に♂がアナグマの肉をせっせと給餌しているのかもしれません。 

日向に放置されて腐りかけたアナグマ死骸の肉は、凍っていませんでした。 
もしも厳冬期で死骸の肉がカチカチに凍っていると、カラスは死骸をいち早く見つけても食べることが出来ません。 
北米での観察記録によると、そのようなときワタリガラスはオオカミの群れを呼び寄せるのだそうです。 
鋭い強力な牙を持つオオカミに死骸を先に引き裂いたり食べたりしてもらい、ワタリガラスはその後で残り物を食べるらしい。 


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ワタリガラスの謎   すごい面白い本なのに、和訳した題名が地味すぎますね。原書は 
Bernd Heinrich - Mind of the Raven: Investigations and Adventures with Wolf-Birds  (その続編。和訳本『カラスの賢さ、カラスの知恵』は絶版) 


今回のハシブトガラスが死骸を食べる様子を観察しても、いったん死骸の皮膚にどこか穴が開いてしまえば、そこから穴を広げて毛皮を引きちぎったり内臓を引き出したりするのはお手の物でした。 
無傷の新鮮な状態の死骸から日本のカラスが最初にどのように穴を開けて引き裂くのか、機会があれば観察してみたいものです。 
目玉や肛門、鼠径部など、皮膚が薄い部分を狙うはずです。 




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