2023/06/19

晩秋にトビを擬攻撃してから♂と擬交尾するハシボソガラス♀(野鳥)

 

2022年11月中旬・午後15:55頃・くもり 

田園地帯の電線にトビMilvus migrans)とハシボソガラス♀(Corvus corone)が並んで止まっていました。 
カラスが強風に乗ってふわりと飛び上がり、トビの横に止まり直しました。 
トビに対して明らかに嫌がらせ・牽制しています。 
繁殖期ではないのに、カラスは猛禽に軽くモビング(擬攻撃)して縄張りから追い出そうとしているようです。 
しかし、このトビは強気で、カラスにモビングされても動じません。 

トビへのモビングを諦めたハシボソガラス♀は、左下の電線に滑空して飛び移りました。 
電柱に何か黒い箱状の器具が取り付けてあり、そこからケーブル(針金、電線)2本が上下の電線に伸びて繋がっています。 
そのケーブルの末端(黒いビニールテープ?)にカラスは興味を示し、嘴で被覆をほどこうとし始めました。 
逃げないトビへの苛立ち(欲求不満)を鎮めるための転移行動かもしれません。
電線の被覆を剥がそうとしているのなら重大な問題です。 
感電事故になるのではないかと心配しながら見守っていると、カラスは諦めて電柱の足場ボルトにヒョイと飛び乗りました。 
どうやら、このハシボソガラス♀個体はとにかく飽きっぽいようです。 
(私がしつこくカメラを向けているせいで集中できないのかな?) 

足場ボルトから白い液状便をポトリと排泄してから(@1:17〜)、カラスは左下に飛び降りました。 
波状に滑空すると、刈田に着陸しました。 
刈田で採食していたパートナーのハシボソガラス♂と合流すると、♀は♂の横で身を伏せました。 
♂は頭を上下にしゃくりあげるように動かしながら鳴いて、飛来した♀に挨拶しました。 
(やや遠い上に風切り音のせいで、カラスの鳴き声は聞き取れませんでした。) 
つづけてハシボソガラス♂が♀の背に乗りました! 
♂にマウントされた♀は身を伏せたまま嬉しそうに尾羽根を左右に振り、♂を見上げました。 
カラス同士がニホンザルのように上下関係を決めるためにマウントする(優劣行動)という話は聞いたことがありません。
晩秋に交尾するペアを初めて見た私はビックリ仰天しました。 
そもそもカラスの交尾期は初春です。

関連記事(1年前の撮影)▶ 巣材を運ぶ途中で交尾するハシブトガラス♀♂のつがい(野鳥)

映像を見直すと総排泄孔を互いに擦り付けなかったので、本当の交尾行動ではないようです。 
♀♂つがいの絆を深めるために儀式的な疑似交尾をしたのでしょう。 
相互羽繕いなどの前戯はありませんでした。 
私はカラスの性別を外見から見分けられませんが、擬交尾した時点で行動から性別が判明しました。 
今回は♀が疑似交尾を求めて、パートナー♂の真横に舞い降りたことになります。 

短い擬交尾の後で♂が♀の背中から下りると、ペアは少し離れました。 
♂が再びマウントしようと♀の背に左足を掛けたら、♀は嫌がって逃げました。 

その間も冒頭のトビは電線に止まったままで、周囲の刈田を見回していました。 
胸の羽毛が白くなく、尾羽根に三角の切れ込みがあることから、ノスリではなくトビと見分けられます。 (開いた翼の下面を見るまでもない) 

手前の里山は紅葉しているものの、標高の高い遠くの山並みはうっすらと冠雪していました(初雪)。 

2023/06/18

秋の溜め糞場で虫を捕食しながら排便するホンドタヌキ【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2022年11月中旬・午後20:58 

里山のスギ林道にある溜め糞場sで、ホンドタヌキNyctereutes viverrinus)が右を向いて(南向き)脱糞していました。 
驚いたことに、この個体は排便しながら落ち葉に鼻面を突っ込んでムシャムシャと何かを食べました。 
まさか食糞性ではないと思うので、溜め糞場に来ていた虫を捕食したのではないかと推測します。 


キノコを食べた可能性もありますかね? 
関連記事(1ヶ月前の撮影)▶  
スギ林道に生えたスギエダタケ(キノコ)を採集してみる 
スギ林道の溜め糞場に生えたキノコはイバリシメジ?エセオリミキ?

いずれにしても、ホンドタヌキは食物連鎖で自分たちの糞を間接的に食べていることになります。
高速で起動する新機種のトレイルカメラで撮っていたらタヌキの採食メニューを突き止められたかもしれず、残念でした。
溜め糞場にて入出力を済ませたタヌキは、右に走り去りました。 


交尾中のベッコウバエ♀♂に繰り返しアタックするハクサンベッコウバエ♂の謎(誤認求愛? 縄張り争い?)

 

2022年11月上旬・午前11:45頃・くもり 

山林の小径に残されたホンドタヌキNyctereutes viverrinus)の溜め糞場dには、ベッコウバエ♀♂(Dryomyza formosa)だけでなくハクサンベッコウバエNeuroctena analis)も少数ながら来ていました。 




イタヤカエデの黄色い落ち葉の上で交尾を始めたベッコウバエ♀♂の背後にハクサンベッコウバエ♂が飛来しました。 
私には外見でハクサンベッコウバエの性別を見分けられませんが、その後やった行動から♂と思われます。 

翅を半開きにして交尾しているベッコウバエ♂の背後からハクサンベッコウバエ♂が忍び寄り、いきなり跳びつきました! 
ハクサンベッコウバエ♂が別種の♂に対して誤認求愛してしまったのでしょうか? 
同じベッコウバエ科ですが、別種で体格も異なります。 
ハクサンベッコウバエ♂の眼には、巨大な同種♀が近くに居るように見えて、その魅力に抗えずに求愛してしまうのかもしれません(超正常刺激)。 
しかしハクサンベッコウバエ♂は相手に触れた瞬間に間違いに気づいたらしく、すぐに離れました。 

背後から不意打ちを食らったベッコウバエ♂は、直ちに左右の前脚を大きく開いて持ち上げ、交尾相手の♀を奪われないように撃退・牽制の姿勢になりました。(配偶者ガード) 
衝撃に驚いたベッコウバエ♀は、同種♂を背負ったままイタヤカエデの落ち葉から前進して溜め糞の上に移動すると、口吻を伸ばして吸汁し始めました。 

驚いたことに、逃げたベッコウバエ♂に対してハクサンベッコウバエ♂が再び背後から飛びかかりました。 
ベッコウバエ♂は翅を斜め上に持ち上げ、前脚を高々と上げて、撃退ポーズを取ります。
(翅を震わせてリリースコール♪を発していたら面白いのですが、それは無さそうです。) 
ベッコウバエ♂の翅先に乗ったハクサンベッコウバエ♂は、自らの誤認に気づいて離れました。 
翅の黒い斑点模様がベッコウバエに特有のトレードマークです。
それを見れば明らかに別種だ(ハクサンベッコウバエではない)と気づくはずなのに、ハクサンベッコウバエ♂は懲りずに同じ相手に誤認求愛を繰り返しています。 
学習能力が全くありません。
薄暗い林床では視覚による認識がおぼつかなくなり、誤認が増えるのかな? 

もしも配偶者ガードするベッコウバエ♂が居なかった場合、体格の小さなハクサンベッコウバエ♂が、体格の大きな異種のベッコウバエ♀に誤認したまま交尾を挑むことがあり得るのでしょうか? 
だとすれば、異種間の繁殖干渉ということになります。 

秋の溜め糞場で最も興味深く、興奮した事件でした。
訳が分からないので、頭をひねって別の仮説をひねり出しました。 
ハクサンベッコウバエ♂は溜め糞の横で交尾相手の同種♀が飛来するのを待ち伏せしているはずです。 
今回見られたハクサンベッコウバエ♂の行動は、集団お見合い場となっている溜め糞からライバルを追い払う占有行動なのでしょうか? 
体格差をものともせずにベッコウバエに何度も飛びかかるハクサンベッコウバエは相当な闘士(ファイター)です。 
繰り返しアタックされたベッコウバエは確かにタジタジで少し離れて行きました。
それにしても、別種であるベッコウバエをライバルとみなす意味が分かりません。 

ハクサンベッコウバエ♂の同種♀への求愛が成就して交尾に至る過程を未だ観察できていないので、それが今後の課題です。 


英語版wikipediaには同属近縁種(Dryomyza anilis)に関する解説ページが立項してあり、交尾行動についても詳しく書かれていました。

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