2023/06/05

深夜の林床で居眠りする野ネズミの謎【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2022年11月上旬・午前2:40頃 

深夜の河畔林でニセアカシアの根元に野ネズミ(ノネズミ)が現れました。 
画面左上の赤丸の位置に注目して下さい。 
初めはキョロキョロと左右を見て警戒しているようでしたが、一箇所に留まって一体何をしているのでしょう? 
採食中なら後ろ姿でも動きでなんとなく分かるはずです。 

赤外線の暗視映像で白く光る目が次第にトロンと閉じてきました。 
採食活動や貯食行動に疲れて居眠りしているのかな?
休みたいのなら安全な隠れ家や巣穴に行くべきです。 
フクロウやテンなど夜行性の捕食者に襲われるリスクがあるのに、こんな無防備な場所で野ネズミが居眠りするとは驚きました。 
トレイルカメラの録画が1分間で終わってしまい、野ネズミが再び覚醒して立ち去るまで見届けられませんでした。

以下は聞きかじりの知識なのですが、トキソプラズマという寄生虫がいます(単細胞の原生動物)。
ネズミがトキソプラズマに寄生されると脳が冒され、天敵であるネコの尿に警戒感を示さず食べられやすくなるそうです。 
つまり、トキソプラズマに感染したネズミは自身の捕食者であるネコに対して恐怖心を抱かなくなるそうです。 
その結果、トキソプラズマは中間宿主のネズミから終宿主のネコの体内に移行、寄生することができるのです。 
これは寄生虫が宿主の行動を操作・干渉する一例として有名です。 

もしかすると、今回の野ネズミはトキソプラズマに感染して天敵への恐怖心が薄れてしまった個体なのではないかと勝手に妄想しました。
それとも、野ネズミが採食活動の合間にこうして断続的に短時間の居眠りをするのは、ごく普通のことなのでしょうか? 
(野ネズミは超ショートスリーパー?)

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。 


オオチャバネセセリの求愛と交尾拒否【ハイスピード動画】

 



2022年7月上旬・午後16:25頃・くもり 

里山の道端でウツボグサの花で吸蜜するオオチャバネセセリ♀(Zinaida pellucida)を 240-fpsのハイスピード動画で撮っていると、♂との配偶行動が記録できました。 

シーン1: ♀がウツボグサの花から飛び立つと、背後から飛来した♂がすかさず♀を追尾します。 (探雌飛翔)
オオチャバネセセリの羽ばたきがあまりにも速いので、更に1/5倍速のスローモーションでリプレイ。(@0:21〜) 


シーン2:(@0:49〜) 
オオチャバネセセリ♀は隣の株のウツボグサで花蜜を吸っています。 
♂はその少し下のススキの茎に止まりました。 
♂は閉じた翅を小刻みに震わせながら(準備運動・アイドリング?)、右の触角で♀の翅に触れています。 
やがて♂が飛び上がって♀の目の前で少しホバリングしてから、近くのウツボグサの葉に止まり直しました。(アイドリング・ストップ) 
♂に求愛された♀は逃げなかったものの、吸蜜を止めてしまい、ゼンマイ状の口吻をくるくると丸めて収納しました。 

こうしてペアで並ぶとサイズは♀>♂で、翅形にも微妙な性的二型が見られます。 
後翅裏の白斑は♂よりも♀でより発達していました。 
この♂個体が単独で居る時に翅裏の斑紋を見たら、私にはオオチャバネセセリと見抜ける自信がありません。 
(もしも、この♂がオオチャバネセセリではなくて別種ならば、今回の動画は異種間の誤認求愛や繁殖干渉を記録したものになります。)

オオチャバネセセリ♀がしがみついていたウツボグサの唇形花は足元が不安定で、♀は隣接するススキの葉に歩いて移動しました。 
横で待機していた♂は、その動きに反応して飛び立ち、♀の背後で少しホバリングしてから、♀の真下のウツボグサの葉に止まり直しました。 

やがて、♀は翅を閉じたままで小刻みに震わせ、準備運動を始めました。(@2:31〜) 
しばらくすると♂が飛び立ち、♀の近く(主に後方)でホバリングを披露しました。 
このとき♂は♀に対して視覚的にアピールしているだけなのか、それとも性フェロモンを♀に嗅がせているのでしょうか? 

♀の直下のススキの葉に着地した♂は閉じた翅を小刻みに震わせています。 
翅をしっかり閉じたままで飛翔筋のアイドリング・ストップしていた♀がアイドリングを再開しました。 
♂が再び飛び立って、♀にアピールします(@3:55〜)。 
しかし♀は交尾に応じてくれず、脈なしと判断した♂は紳士的に飛び去りました。(@4:03〜) 
その後も♀は閉じた翅を小刻みに震わせています。 
♂のセクハラを上手くやり過ごした♀が訪花行動に戻るまで私は待ちきれず、撮影終了。 

残念ながら交尾には至らなかったものの、オオチャバネセセリの配偶行動は初見です。 
オオチャバネセセリ♀の交尾拒否行動はシロチョウ科のように明瞭ではなく、私にはよくわかりませんでした。 
シロチョウ科♀の交尾拒否で見られるような腹端の持ち上げ行動は見られませんでした。 
♂に求愛されて翅を広げれば受諾で、閉じたままなら交尾拒否なのかな? 


関連記事(1、2年前の撮影)▶ 

2023/06/04

山林の小径を遊動するニホンザルの群れ(首輪装着♀、アルビノ子猿ほか)【トレイルカメラ】

 

2022年11月上旬・午後15:25頃 

山林の斜面をトラバースする小径でタヌキの溜め糞場dを自動撮影カメラで監視していると、ニホンザルMacaca fuscata fuscata)の群れが次々と通りかかりました。 
雑木林の斜面から小径を見下ろす撮影アングルで、谷側にはスギの植林地が見えます。 

小径を遊動するニホンザルの群れは、タヌキの溜め糞に全く興味を示さずに素通りしました。 
谷側のスギ林の斜面を登ってくる個体の姿も生い茂った下草に見え隠れしています。 
ニホンザルの発する様々な鳴き声も聞こえてきます。 

気になる個体としては、小径を歩いて遊動してきた成獣が首輪を装着していました。(♀かな?@0:46〜) 
食欲の秋になるとニホンザルはよく肥えている上に冬毛に生え変わっているため、黒い首輪が見えにくくなります。 
テレメトリー調査の電波発信器またはGPSが首輪に入っているのでしょう。 
それに続いて幼い白猿(アルビノ?)が走って追いかけてきました。(@0:48〜) 
好奇心旺盛な純白の子猿は立ち止まって、丸太の切り口の匂いを頻りに嗅いでいます。 
更に別個体の子ザル2頭(通常の体色)も後からやって来ると、アルビノ子猿と仲良く一緒に遊んでから右に走り去りました。 
アルビノという理由で仲間外れにしたり、いじめたりすることはありませんでした。 


最近見かけたアルビノと同一個体なのかな?
前回アルビノと一緒に居た母親♀は首輪を装着していませんでした。

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。 
猿の鳴き声が聞き取れるように、一部の音声を正規化して音量を強制的に上げています。 

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