2023/05/15

タヌキの溜め糞場で活動するヨツボシモンシデムシ

 

2022年10月下旬・午後14:45頃・くもり 

里山の斜面をトラバースする細い山道をときどき通りかかる度に、溜め糞場dを定点観察しています。 
この山道は、スギ植林地と雑木林のちょうど境界になっています。
ここは小規模な溜め糞で持続しない(すぐに消失する)のですが、この日は珍しく新鮮な下痢便が残されていました。 
下痢便の状態だと、どの野生動物の糞か見分けるのが困難です。 
よく下痢をするイメージがあるアナグマの糞でしょうか? 
この地点に後日トレイルカメラを設置して監視したところ、ホンドタヌキNyctereutes viverrinus)が排便に通っていることが確かめられました。

多数のベッコウバエ類やフンバエ類が溜め糞に群がっている他に、ヨツボシモンシデムシNicrophorus quadripunctatus)の鮮やかなオレンジ色が目を引きました。 
上翅(=鞘翅)後方の紋が翅端に達するので、マエモンシデムシではなくヨツボシモンシデムシと見分けられます。(参考:『くらべてわかる甲虫1062種』p33) 
てっきり屍肉食専門だとばかり思い込んでいたので、獣糞にも来るとは知りませんでした。 


別の溜め糞場で1年前に撮った写真にヨツボシモンシデムシがたまたま写っていました。 
死肉食性のヨツボシモンシデムシが獣糞に来ることが当時は半信半疑だったのですけど、今回ようやく決定的な証拠映像を撮ることができました。 

溜め糞の半分は水気の多い泥状の液状便(下痢便)でした。 
ヨツボシモンシデムシは水気の少ない側の糞塊に1匹だけ居ました。 
タヌキの黒い糞塊に頭を突っ込んでいるのですが、獣糞を食べているのか吸汁しているのか、肝心の口元がよく見えません。 
途中で糞塊から後退したら顔が見え、触角の先端も橙色でした。 
最後は糞塊の縁を歩いて回り込み、湿った部分の下にグイグイ潜り込み、身を隠しました。 

※ 鬱蒼とした山林のおそろしく暗い林床で撮った映像が編集時の自動色調補正で改善しました。 
その副作用として、ベッコウバエやヨツボシモンシデムシのオレンジ色がどぎつく強調されています。
15cm定規を溜め糞に並べて置く

2023/05/14

餌場に一晩中通ってドングリの山を持ち去る野ネズミ【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2022年10月下旬

シーン0:10/24 
明るい日中に撮った現場の様子です。 
カラマツの根元に浅く穴を掘り、給餌3回目は持参したミズナラの堅果47個を山盛りに積み上げました。 
(それ以上増やすと、ドングリの山が崩れて斜面にこぼれ落ちてしまいます。)
根元が強く湾曲したカラマツの幹の下の給餌場には、落ち葉が積もってドングリが隠れることもありませんし、雨が降ってもかからず地面は常に乾いています。 
ちなみに、シギゾウムシの老熟幼虫5匹がドングリから脱出していました。 


シーン1:10/30・午前3:59 (@0:03〜) 
給餌してから6日も経った未明、ようやく野ネズミ(ノネズミ)がドングリを見つけてくれました。 
幼根が伸びかけたドングリは、野ネズミにとってあまり魅力がないのかな?(良い匂いがしなくなる?) 
野ネズミはようやく1個のドングリを選んで口に咥えると、左へ持ち去りました。 


シーン2:10/30・午前4:00 (@0:21〜)
野ネズミは餌場でドングリを吟味すると、今度は右へ持って行きました。 
しばらくすると、右から餌場にまっしぐらに駆け戻って来ました。(@0:35〜) 
今度はドングリを斜面の下に持ち去りました。 
どこか林床に穴を掘ってドングリを隠しているはずですが、貯食にほとんど時間をかけていないこと、そして貯食場所を毎回変えていることが分かります。 


シーン3:10/30・午前4:06 (@0:53〜) 
どうやら野ネズミは学習して作業効率が良くなり、ドングリを吟味せずにとにかく夜が明ける前にスピード重視で次々と運ぶようになりました。 
その結果、トレイルカメラの起動が間に合わないことが増えました。 

画面の左上の暗がりの斜面で、野ネズミの白く光る眼が動いています。 
ドングリの貯食に手間取っているようです。 


シーン4:10/30・午前4:09 (@1:03〜) 
またもや監視カメラの起動が間に合わず、ドングリを咥えて右に運び去る様子が撮れただけでした。 


シーン5:10/30・午前4:12 (@1:11〜) 
カメラの起動が間に合わず、野ネズミはドングリを下に持ち去りました。 


シーン6:10/30・午前4:15 (@1:16〜) 
今回もカメラの起動が間に合わず、ドングリを下に搬出。 


シーン7:10/30・午前4:29 (@1:21〜) 
今回は左に搬出。 


シーン8:10/30・午前4:31 (@1:27〜) 
久しぶりに餌場に来ている野ネズミの姿が撮れました。 
選び出したドングリを咥えて左に運び去りました。 
途中でドングリをうっかり落としてしまいましたが、すぐに拾い直すと運搬再開。 


シーン9:10/30・午前4:34 (@1:40〜) 
またもやカメラの起動が間に合わず、野ネズミはドングリを下に持ち去りました。 


シーン10:10/30・午前4:40 (@1:45〜) 
カメラの起動が間に合わず、ドングリを下に搬出。 
どうも貯食する場所が斜面の下側に偏るようになりました。 
…と思いきや、ドングリを咥えたまま野ネズミが下から餌場に戻って来ました。 
餌場を素通りして左へ向かいます。 
安全な貯食場所を探し求めて、夜の林床を右往左往しています。 


シーン11:10/30・午前4:41 (@2:03〜) 
カメラの起動が間に合わず、ドングリを咥えて下に運び去りました。 
今回はドングリの尖った端を咥えて運んでいました。 


シーン12:10/30・午前4:50 (@2:11〜) 
カメラの起動が間に合わず、下に搬出。 
今度はドングリを横に咥えています。 
特にドングリを咥える向きに決まりはないようです。 


シーン13:10/30・午前4:52 (@2:18〜) 
ようやく給餌場でドングリを吟味する姿が撮れました。 
選んだドングリを1個咥えて下に持ち去ります。 
途中でドングリがうっかり口から滑って落としても、すぐに拾って運送業務に戻ります。 
どうやら小雨がポツポツと降っているようです。 


シーン14:10/30・午前4:55 (@2:34〜) 
野ネズミの動きが早過ぎて、またカメラの起動が間に合いません。
ドングリを咥えて斜面を下へ駆け下ります。 


シーン15:10/30・午前4:57 (@2:42〜) 
今回もカメラの起動が間に合わず、ドングリを下に搬出。 
すぐに野ネズミが空荷で下から餌場に戻って来ました。 
次は選んだドングリを右に運び去りました。 
途中で立ち止まると、ドングリを咥え直してから運びます。 


シーン16:10/30・午前5:01 (@3:08〜) 
右から給餌場に戻って来る様子が撮れていました。 
ドングリを選ぶと、今度も右に持ち去りました。 
右から餌場に戻ると、再度右に搬出。 
1分間の録画時間で餌場と貯食場所を2往復半もしたことになります。 
しかも貯食場所は毎回少しずつ変えているはずです。 
おそるべきスピードですが、貯食作業が雑になっているのではないかと心配です。 
餌場の近くに埋めているのでしょう。


シーン17:10/30・午前5:01 (@3:40〜) 
野ネズミが右から餌場に戻って来ました。 
ドングリを一つ選んで口に咥えると、右に運び去りました。 
すぐにまた右から餌場に戻り、次もドングリを右へ運搬。 


シーン18:10/30・午前5:03 (@4:18〜) 
餌場で吟味したドングリを左に持ち去りました。 
すぐに左から餌場に戻ってくると、次もドングリを左へ搬出。 


シーン19:10/30・午前5:05 (@4:42〜) 
給餌場で選んだドングリを左へ運搬。 
左から餌場に戻って来ると、次もドングリを持って左へ。 


シーン20:10/30・午前5:06 (@5:09〜) 
餌場でドングリを選び、すぐに左へ持ち去りました。 
忙しなく左から餌場に戻ってくると、次もドングリを左へ搬出。 


シーン21:10/30・午前5:09 (@5:36〜) 
シシガシラの群落が生い茂る左の斜面を上から降りて来ました。 
餌場でドングリを選ぶと、今度は右へ運び去りました。 


シーン22:10/30・午前5:12 (@6:01〜) 
給餌場で選んだドングリを持って右へ。 


シーン23:10/30・午前5:14 (@6:10〜) 
餌場でドングリを選ぶと、今度はカラマツの木を右から背後に回り込んで斜面の上へ持ち去りました。 
その後も暗闇の右斜面を動く野ネズミの白い目が光ってチラっと見えました。 


シーン24:10/30・午前5:18 (@6:17〜) 
トレイルカメラの起動が間に合わず、前回と同じルートでドングリを素早く持ち去る野ネズミの姿が写っていました。 


シーン25:10/30・午前5:22 (@6:24〜) 
餌場でドングリを咥えると、今度はカラマツを左から回り込んでから斜面を上へと登って行きました。 


シーン26:10/30・午前5:24 (@6:37〜) 
餌場で選んだドングリを持って、左の斜面へ運んで行きました。 
やがて左から餌場に駆け戻ると、今度はドングリを左上に持ち去りました。 
未明の貯食活動はこれが最後でした。 
ちなみに、日の出時刻は午前5:59です。 


シーン27:10/30・午前17:56 (@7:08〜) 
明るい昼間に野ネズミが外を出歩くのは危険なので、どこかの巣穴で寝ています。 
日が暮れると給餌場にまた来てくれました。 
ちなみに、日の入り時刻は午後16:46。 
残っていたドングリを口に咥え、左に運び去りました。 

野ネズミが給餌場に通ってくれたのは、これが最後になりました。 
餌場でドングリの山を発見してから、わずか1日でほとんど全てを持ち去って貯食したことになります。 
その場でドングリを食べることはありませんでした。 
実は餌場にはドングリがまだ1個残っているのに、暗闇では見落としたのでしょうか。 


※ 映像が暗い場合は、動画編集時に自動色調補正を施して明るく加工しています。 
餌場の状況ビフォー&アフター写真を追加する?


野ネズミを個体識別できていませんが、これほど頻繁に給餌場に通って来るということは、複数個体なのかもしれません。
例えば、♀♂番が交互に通っている可能性が考えられます。
それなら一度くらいは餌場で鉢合わせするシーンが監視カメラに撮れていてもおかしくありません。
実際、全く別の地点(河畔林)では野ネズミ同士が喧嘩していました。(映像公開予定
この地点(カラマツ木の下)では野ネズミ同士の鉢合わせが記録されていないということは、同一個体が繰り返し通ってきていると今のところは考えています。

トレイルカメラの録画時間を1分間からもっと延長すれば、撮り損ねが減るでしょうか?
試行錯誤する価値がありそうです。


【追記】
10/31に現場検証すると、給餌場にはドングリの食べかす(野ネズミが割った殻と幼根)が残されていました。






ヤマボウシの熟果を次々に舐めるキアシナガバチ♂

 

2022年10月下旬・午後15:25頃・晴れ 

河川敷の広場に植樹されたヤマボウシの生垣が紅葉し始め、熟した果実が赤く色づいていました。 
その熟果にキアシナガバチPolistes rothneyi)の雄蜂♂が来ていました。
顔色が白いかどうかしっかり正面から見せてくれませんでしたが、触角が長くてカールしているので、ワーカー♀ではなく雄蜂♂ですね。 

どうやらヤマボウシの甘い果汁を舐めているようですが、肝心の口元をどうしても見せてくれません。 
撮影後にヤマボウシの熟果を調べても、食痕や傷口は見当たりませんでした。 
肉眼では果皮から甘い果汁が滲み出しているようには見えないので、熟果の甘い芳香に誘引されただけかな?
スズメバチなら鋭い大顎で果肉を食害したかもしれません。 
キアシナガバチ♂はヤマボウシの果実や枝葉を渡り歩いたり少し飛んだりして、次の熟果へ向かいます。 

性フェロモンの原料など何かキアシナガバチ♂の繁殖行動に必須の化学物質をヤマボウシ熟果から摂取しているのだとしたら面白いのですけど、どうでしょうか? 
しかし、ニクバエも同じヤマボウシの熟果に誘引されていたので、やはり甘い汁を吸いに来たのではないかと考えています。




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