2023/01/24

ニホンイノシシのヌタ場を探せ(1)雨天の水溜りで泥浴びせず【トレイルカメラ:暗視映像】

 

2022年8月下旬・午後 17:40頃・雨  (日の入り時刻は午後18:20

里山の林道でヌタ場らしき水溜りのある区間をトレイルカメラで見張っていると、待望のニホンイノシシSus scrofa leucomystax)が遂に登場しました。 
果たして泥浴びしてくれるでしょうか?

雨が降る夕方で暗く、霧も少し立ち込めています。 
動画の冒頭から至近距離でイノシシの横顔が写りました。
カメラを固定したシナノキの幹の匂いを嗅いでいるのか、近くで灌木の葉を採食したのか、とにかくレンズに近過ぎて何をしているのか不明です。 
ゴソゴソと物音が聞こえます。 
シナノキの幹で牙を研いだ可能性も考えましたが、後日現場検証しても研ぎ跡は見つかりませんでした。
幼獣(ウリ坊)ではなく成獣であることは間違いありませんが、口元の牙が見えないので性別が分かりません。 
この個体の毛皮にどのぐらい泥汚れが付いているのか、赤外線の暗視映像ではよく分かりません。(見える範囲では、きれいな体のような気がします。) 

ようやくイノシシが現れたのは嬉しいのですけど、水溜りで泥浴び(ヌタ打ち)をしてくれず、予想が外れました。 
おかしな異物(トレイルカメラ)の存在に匂いで気づいて、警戒したのでしょうか? 
雨の日は泥浴びする気が失せるのかな? 
林道上の水たまり(ヌタ場?)に立ち寄らずに法面を登ってきたのか、逆にカメラの背後にある斜面の獣道を下ってきた可能性もあります。 
マルチアングルで重点的に監視したいところですが、予算不足でトレイルカメラの台数を気軽に増やせません。
関連記事(3日前の撮影)▶ ニホンイノシシによる泥汚れ?(2)獣道の下草
この水溜りの前後で林道の下草が泥でひどく汚れていたことから、イノシシのヌタ場ではないかと予想して監視カメラを設置したのです。 
しかしイノシシがヌタ打ちするには、この水溜りはどうも小さ過ぎるかな?と早くも弱気になってきました…。
本当のヌタ場は別の所にあるのでしょうか? 
とりあえず、しばらくはここで粘って監視を続けます。 

※ 動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。



桑の葉を後食したキボシカミキリが食休み

 

2022年8月下旬・午後15:45頃・晴れ 

平地の農道沿いに自生するヤマグワの群落でキボシカミキリPsacothea hilaris hilaris)が天辺の若葉に乗っていました。 
その若葉には食痕があり、萎れていました。 
キボシカミキリは食べ残した桑の葉の主脈に乗って休んでいました。 
隣の葉も萎れています。 
カミキリムシが後食した虫食い痕(食痕)の切り口は、鱗翅目幼虫による食痕よりも不規則で汚らしい印象になります。 
口元にズームインしても、食事中ではなく静止しているだけでした。 

私はカミキリムシの成虫が後食するシーンを観察したことがありません。
少し離れたところからしばらく見守ったのですけど、残念ながら食休み(私に対する警戒?)は解けませんでした。 
後で思うと、採集して持ち帰れば飼育下で後食シーンを撮影できたかもしれませんね。 
しかし当時は忙し過ぎて、新たに飼育ネタを増やす余力がありませんでした。 

桑の葉は傷口からアルカロイドを含む白い乳液を出して虫による食害を減らすように自衛します。 
それに対抗してキボシカミキリは摂食前にトレンチ行動するのかどうか、興味があります。 
今回、食痕の切り口に乳液は滲んでいませんでした。 
【参考】:クワは乳液で昆虫の食害から身を守る  @農業生物資源研究所からのプレスリリース



【追記】
新開孝『虫のしわざ観察ガイド—野山で見つかる食痕・産卵痕・巣』で本種の食痕について調べると、やはり成虫はトレンチ行動をするようです。
葉裏側の葉脈にかじった茶色の食痕と、葉を真ん中から雑にかじり空けた、大きな食痕が目立つようになる。(p96より引用)
クワの葉のつけ根側の葉脈をかじってから、葉脈を中心に葉を食べている。クワやイヌビワ、イチジクの場合、乳液が滲出するので、その予防策かと思う。  ※ 後食とは幼虫の摂食と区別して、成虫が摂食すること。(p97より引用)





2023/01/23

晩夏の昼間にスギ林道を行き交うニホンカモシカ【トレイルカメラ】

 



2022年8月下旬 

トレイルカメラで監視している里山のスギ林道を行き交うニホンカモシカCapricornis crispus)の記録です。 
明るい日中に登場した3回分をまとめました。 

シーン1:8/27・午後14:14・気温24℃ 
カメラの起動が遅れ、登場シーンが撮れていません。 
どうやら、画面奥にある斜面を登って来たようです。 
無風なのに、カモシカが通った直後には下草が揺れています。 
逆に、揺れている下草をつなぐとカモシカの通過経路を推理することが出来ます。 

タヌキとアナグマの溜め糞場sを跨ぐようにカモシカは林道を横断し、画面手前の死角に消えました。 
林道脇の法面斜面にある獣道を登ったようです。 
逆側からのアングルで狙う別のトレイルカメラを最近まで設置していたのですが、新たに気になる地点が見つかったので、撤去しました。 
少数の監視カメラでやり繰りするのは大変です。 


シーン2:8/29・午後12:55・気温22℃ (@0:08〜) 
林道を右から左へ通過しました。 
角が細く、体格が華奢なので、未だ若い個体のようです。 


シーン3:8/31・午後17:07・気温25℃ (@0:19〜) 
珍しくカモシカが画面の下端から登場しました。 
もし林道脇の法面斜面を降りてきたのなら、トレイルカメラのセンサーの反応がもっと遅れたはずです。
おそらく左から林道の右端を歩いて来たので、カメラに映らなかった(死角)のでしょう。 
ニホンカモシカは林道を横断すると、対面に立つスギ大木の横で立ち止まりました。 
そこに生えたコシアブラ幼木の細い枝に顔を擦り付けて眼下腺マーキングしたようです。 
肝心の顔上部が画角から切れてしまっています。 
その後、カモシカは林道を右へ立ち去りました。 

映像では下り斜面の少し奥に育つスギの細い幹にマーキングしたように見えるかもしれませんが、それは遠近感に乏しい監視動画による錯覚です。 
この撮影アングルでは対面のスギ大木の幹(胸高直径60.5cm)の陰に隠れてコシアブラ幼木が見えないだけです。 
後日、トレイルカメラの設置アングルを調節して、問題のコシアブラ幼木が見えるように変更しました。 
説得力のある眼下腺マーキング動画が撮れるでしょうか? 

今のトレイルカメラは安価で、設定した通り愚直に撮影してくれるものの、画角の点で一切融通が効かないのが困りものです。 
近未来のトレイルカメラはAIを搭載し、被写体を自動で追尾するためにカメラの向きがぐりぐり動けるように進化して欲しいものです。



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