2022/06/30

ミールワーム幼虫は発泡スチロールを食べるか?【飼育80日目:共食い】

 

チャイロコメノゴミムシダマシTenebrio molitor)幼虫(ミールワーム)の餌を発泡スチロールのみに切り替えてから80日目。 
ミールワームの一部は未だ生きています。 
生存者の食事シーンをマクロレンズで接写してみると、発泡スチロールではなくて、仲間の死骸を食べていることが明らかになりました。 
ミールワームは手足が未発達なので、食べている死骸がうまく押さえられずに動いてしまいます。 
耳を澄ますと、カリカリ♪と咀嚼音を立てたりパチン♪と噛み切る音がかすかに聞こえます。 
栄養失調を死骸で補っているのでしょう。 
成虫に育つどころか、いつまで経っても蛹も出てこないのは、すぐに共食いされてしまうからなのかもしれません。 
通常は「ふすま」を給餌するだけでミールワームを簡単に継代飼育できます。 
しかし発泡スチロールではミールワームを継代飼育できない、というのが私の結論です。 
発泡スチロールに虫食い穴も期待した程は出来ていませんでした。 
以前、唐揚げを食べた後の骨を与えたときのミールワームの食いつきの良さとは大違いです。
関連記事(12年前の撮影)▶ ミールワームによる骨のクリーニング実験

素人実験をしてみた結果、ミールワームが発泡スチロールを食べるという話に対して私は懐疑的のままです。 
実験失敗(期待外れ)の原因を検討してみましょう。
原著論文をもう一度斜め読みすると、ミールワーム幼虫が死んだら直ちに飼育容器から取り除くべきでした。 
飼育した室温が低くて腸内細菌がポリスチレンをうまく分解できなかったのかもしれません。 
あるいは、私がペットショップで購入したミールワームの継代株には、たまたまポリスチレンを分解できる腸内細菌がほとんど居なかった可能性も考えられます。 
近親交配を繰り返していますから、 系統によって形質が微妙に変わっていることはあり得ます。(近交弱勢)
ミールワームのブリーダーが良かれと思ってミールワームの餌(ふすま)に抗生物質を混ぜたりしていたら台無し(腸内細菌は全滅)です。
この実験を追試するならば、あちこちの店で別系統のミールワームを買い揃えるべきでした。
お子様の夏休み自由研究のテーマに、いかがでしょうか?

ミールワーム幼虫は他の肉食性小動物の生き餌として使われます。 
昆虫食ブームの昨今では、ヒトの食用にも供されるようです。 
ミールワームの餌代をケチって発泡スチロールだけを与えて育てたミールワームを他の小動物の餌にしては駄目でしょう。 
未消化のポリスチレンを一緒に食べてしまうことになるからです。 

この研究は眉唾(フェイクニュース?)だと私は勝手に決めつけて、動画もお蔵入りにしていたのですが、最近になって研究が進展したとネットニュースで知りました(続報)。 
この分野の研究者たちはしつこく追求していたのでしょう。
関連サイト@ナゾロジー:発泡スチロールを食べられるスーパーワームを発見!
ミールワーム(Tenebrio molito)とは別種のスーパーワーム(Zophobas morio)も同様に発泡スチロールを食べて分解できると分かったそうです。 
今後の研究の流れとしては、ミールワームよりもその腸内細菌が持つ分解酵素の研究になるでしょう。 
活性の高いポリスチレン分解酵素が単離できれば、大量廃棄された発泡スチロールをゴミ処理場で分解できるようになると期待されます。

そもそも、ミールワームが発泡スチロールを食べるという奇想天外な発見はどのように生まれたのでしょう?
ペニシリンの発見のようなセレンディピティかな?と私は秘かに予想しています。
動物虐待の残酷な実験だとか飼育放棄(ネグレクト)、多頭飼育崩壊などと安易に非難されるのを恐れてか、論文には詳しく書いてませんでした。
実用化まで漕ぎ着けたら、誰も文句を言わなくなるでしょう。


2022/06/29

橋の下にシメ(冬の野鳥)

 

2021年12月下旬・午後13:05頃・晴れ 

雪国の河川敷は冬になると一面、深い雪で覆われてしまいます。 
ところが橋の下には雪がほとんど積もらず、枯れた草地が露出しています。 
そこに冬鳥のシメCoccothraustes coccothraustes)が1羽来ていました。 
枯れた草の茎に止まって周囲を油断なく見回しています。 
やがて少し飛ぶと、別の茎に止まり直しました。 
おそらく草の種子を食べに来たと思われますが、堤防路からカメラを向ける私を警戒しているのか、採食シーンを撮らせてもらえいませんでした。 
日差しが眩しくてカメラのバックモニターが見えにくく、枯れた草地でシメを見失ってしまいました。 

橋の排水口から巨大な氷柱から下に成長し、暖かい日中は水滴が滴り落ちています。

2022/06/28

トウモロコシの穂を持ち去り刈田に貯食するハシブトガラス(冬の野鳥)

 

2021年12月上旬・午後15:25頃・晴れ 

夕方の刈田で1羽のハシブトガラスCorvus macrorhynchos)が畦道に佇んでいました。 
足元の地面に置いていた立派なトウモロコシの穂を丸ごと1本横に咥えて飛び去りました。 
途中で合流した別個体も同じく嘴にトウモロコシを咥えて運んでいます。 
1/5倍速のスローモーションでリプレイ。 
トウモロコシの皮は全て剥かれており、どうやら近くの飼料用トウモロコシ畑から穀粒付きの穂を丸ごと盗んできたようです。 
私から充分に距離を取ると、畦道に各々が少し離れて着陸しました。 
安全な場所でトウモロコシの穀粒を啄んで食べるかと思いきや、再びトウモロコシを持って飛び去りました。 
少し飛んでは畦道に着陸、を繰り返して、私からどんどん遠ざかって行きます。 
私(ヒト)を警戒して逃げているというよりも、ご馳走を食べている姿を仲間に見られたくないのかな? (仲間に見つかると横取りされる?)
トウモロコシを持って一緒に逃げていた仲間からも離れたいようです。 

1羽は遂に刈田の端っこまで来ました。 
刈田に残された稲藁の下にトウモロコシの穂を丸ごと隠しました!  
後で食べるために餌を隠す貯食行動です。 
上に藁を被せて念入りに隠蔽しています。 

貯食が済んだハシブトガラスは空荷で飛び立ちました。 
そのまま流し撮りすると、近くの電線に止まり、嘴を足元の電線で拭いました。 
途中から別行動になったせいで、もう1羽の個体がトウモロコシをどこに隠したのか不明です。 
晴れているものの、山の影になった刈田はもう日陰です。

ランダムに記事を読む