2021/12/13

稲穂が実る田んぼではなく休耕田で採食するハシボソガラスの群れ(野鳥)

 

2021年8月下旬・晴れ

田んぼで稲穂が実り始めると、鳥に食害されないように米農家が対策し始めたようです。 
山の上から麓の田園地帯を眺めたら(鳥瞰図)、一部の区画の田んぼだけ防鳥テープ(赤銀、金銀)が張り巡らされ、鳥よけカイト(鷹型)も設置されていました。 
山の上からでも遠くの田んぼの赤銀テープはよく目立つことが実感できました。 
風が吹くとテープがねじれ、チラチラ、キラキラと赤銀の点滅が左右に動いて見えます。 
これからイネの収穫期に向けて、田んぼに張り巡らされる防鳥テープが増えてくるはずです。 
鳥よけの凧も1つ、風でゆらゆらと揺れていました。 
田んぼの上空を鷹型の凧が元気に飛び回るには、もう少し強い風が必要です。
2021年9月上旬・午後14:10頃・くもり・強風 

この田園地帯には1年中、ハシボソガラスCorvus corone)の群れが暮らしています。 
稲刈り前の田んぼに忍び込んで稲穂を食害しているのかと思いきや、隣の雑草だらけの休耕田に集まって採食していました。 
休耕田には雑草が背高く生い茂っていて、カラスの黒い頭しか見えません。
おそらく草地で昆虫を捕食しているのでしょう。 
周囲の田んぼには未だ防鳥グッズの類(鷹型カイト、防鳥テープ赤銀、爆音器、案山子など)は一切設置されていませんでした。 
それにもかかわらず、カラスは稲穂が実る無防備な水田を避けて採食していて感心です。 
農薬を撒く田んぼよりも休耕田の方がカラスの餌となる昆虫が豊富なのでしょう。
新たに飛来したカラスが滑空して降り立つのも田んぼではなく、隣接する休耕田や農道でした。 
もしかすると米農家は意図的に休耕田を雑草がぼうぼうに生えるままに放置して、カラスをそこに集め隣の田んぼに行かないようコントロールしているのですかね?
農家の鳥害対策は知恵比べですが、凄い高等戦術です。
田んぼの周囲の草刈りを徹底しないと害虫や雑草の発生源になる、というのが私の古い理解だったので、驚きました。
あるいは稲穂がもっと熟して米が食べ頃になると、カラスも田んぼに侵入して食害するようになるのかな?
奥の田んぼは稲穂が実っているのですが、なぜかカラスは休耕田が好きな様子。
(水田にカラス除けの対策を何か施しているのかもしれません。)

私が動画を撮りながら横を歩くと、休耕田の草地に隠れて採食していたハシボソガラスが警戒して次々に飛び立ちます。 
逆風をついて飛ぶと、道ばたの電線に仲間と並んで止まりました。 
カラスは私が立ち去るまでそこで待ち、ほとぼりが冷めると再び休耕田に降り立って採食を続けるのでしょう。
ハシボソガラスの群れが休耕田から一斉に飛び立って風に逆らって飛ぶ様子を上手く流し撮り出来たので、1/5倍速のスローモーションでご覧ください。 
不穏な曇り空を背景にカラスの群れが田園地帯を飛び去るラストシーンは、ゴッホの名画『カラスの群れ飛ぶ麦畑』を連想します。 

秋の田んぼでカラスがスズメのように稲穂を直接食害するのかどうか、決定的なシーンを私は未だ撮れていません。
ここ何年もしつこく粘り続けています。 
「百聞は一見に如かず」の逆で、見れてないということは「カラスは稲穂を盗み食いする害鳥ではなくて濡れ衣ではないか?」と密かに疑っています。 
カラスは賢くて警戒心が強いので、私の意図を察してすぐに逃げてしまいます。 
ブラインドに隠れて張り込みするか、山の上から望遠レンズで狙うか、無人の監視カメラを田んぼに仕掛けるなど、作戦を変える必要がありそうです。

ちなみに、カラスは夏の水田に入って虫捕りをしますし、稲刈りが終わった刈田では落ち穂拾いをするのを観察しています。

ミズナラの樹液酒場を巡って争うヒメスズメバチ♀・チャイロスズメバチ♀・オオスズメバチ♀・アカタテハ

 

2021年9月上旬・午前11:50頃・くもり 

里山の尾根道で見つけたミズナラの樹液酒場で3種類のスズメバチが興味深い占有行動を繰り広げていました。 
登場するのはチャイロスズメバチVespa dybowskii)、ヒメスズメバチVespa ducalis pulchra)、およびオオスズメバチVespa mandarinia japonica)のいずれもワーカー♀です。 
結局、樹液酒場を独り占めするのは、最強のオオスズメバチ♀です。 
オオスズメバチ♀が樹液を吸汁したり樹皮を齧って樹液酒場を拡張したりしている間、他の種類のスズメバチは怖くて近づけません。 
遠慮がちに少し離れて順番待ちしています。 

ヒメスズメバチの体長はオオスズメバチと遜色ありませんが、体の太さで負けます。 
ヒメスズメバチがオオスズメバチに戦いを挑むことはありませんでした。
もう1匹のヒメスズメバチ♀が飛来して2:1になっても、オオスズメバチ♀は樹液酒場を譲りませんでした。(@0:38) 
それどころか、2匹のヒメスズメバチ♀間で小競り合いがあったのが興味深く思いました。(@0:52) 
もしかすると、別のコロニー出身のヒメスズメバチ♀なのかもしれません。 

そこへ2匹目のオオスズメバチ♀が飛来しました。 
まずは1/5倍速のスローモーションでご覧ください。(@1:00) 
直後に等倍速でリプレイ。 
オオスズメバチ♀は樹液酒場の横で待機していたヒメスズメバチ♀にいきなり飛びかかり、追い払いました。 
一瞬の攻撃の間に毒針で刺す素振りまでしたので驚きました。 
不意をつかれたヒメスズメバチ♀は幹から転げ落ちるように逃げて行きました。 
ライバルを1匹減らしたオオスズメバチ♀は次に、先客のオオスズメバチ♀に狙いを定めると果敢に飛びかかりました。 
やられた個体は翅を震わせて威嚇しながら、腹部をねじって相手に腹端の毒針を誇示しました。 
その間、チャイロスズメバチ♀は慌てて幹を登って物騒な戦場から離脱します。 

飛来したオオスズメバチ♀は幹に着陸すると先客と触角で挨拶し、同じコロニー出身と互いに認識したようです。 
先客の個体と口づけを交わしました。(栄養交換) 
2匹のオオスズメバチ♀に樹液酒場を専有されると、ヒメスズメバチ♀やチャイロスズメバチ♀はますます近づけなくなります。 

オオスズメバチ♀は頑丈な大顎で樹皮を齧り取ると、その欠片を口から捨てました。 
チャイロスズメバチ♀が飛来したものの、オオスズメバチ♀に睨まれただけで勝負あり。 
幹に着陸することなく慌てて飛び去りました。(@2:27) 
オオスズメバチ♀は身繕いしながら振り返ってヒメスズメバチに睨みを効かせています(牽制)。 

スズメバチ異種間で生まれつきの順位が既に決まっているようで、無駄に争うことはほとんどありませんでした。 
岩田久二雄『本能の進化:蜂の比較習性学的研究』p318 によると、
樹液の出る場所での、席次争いで強いものから弱いものへの順列は、オオ>チャイロ>コガタ>モン>ヒメ(スズメバチ)

今回、チャイロスズメバチとヒメスズメバチの間での力関係を観察できなかったのは残念です。 


実はこの樹液酒場を見つけたときには初め、アカタテハVanessa indica)が吸汁していました。(@3:07〜) 
その翅の羽ばたきで樹液酒場の存在に気づいたのです。 
完全に逆光のアングルだったので、動画編集時に逆光補正しました。 
それでも他人に披露するにはいまいちの映像なので、前後を入れ替えて最後に持ってきました。 (YouTubeでは視聴者が途中で離脱しないような工夫が必要です。) 
スズメバチ類は未だチャイロスズメバチ♀とヒメスズメバチ♀しか来ておらず(1匹ずつ)、比較的平和でした。 
チャイロスズメバチ♀とヒメスズメバチ♀は同じ樹液スポットの反対側から吸汁しています。 
アカタテハは翅を開閉しながら吸汁していたものの、チャイロスズメバチ♀との占有行動に負けてミズナラ樹液酒場から飛び去りました。 
最後に私がカメラをズームアウトしかけたら、オオスズメバチ♀とヒメスズメバチ♀が飛来しました。 
1/5倍速のスローモーションでリプレイ。(@4:06〜) 

他にはハエも樹液に来ていたものの、私には種類が見分けられません。 
ハエはいつでも素早く飛んで逃げられる自信があるのか、強い昆虫に混じって大胆に吸汁しています。

2021/12/12

マルハナバチに擬態したカオグロオオモモブトハナアブ♀の化粧行動

 

2021年9月中旬・午後15:55頃・くもり 

雑木林に囲まれた細い山道の横でマルハナバチにそっくりなハナアブを見つけました。 
残念ながら顔を正面から拝めなかったのですが、どうやらカオグロオオモモブトハナアブMatsumyia nigrofacies)のようです。 
おそらくトラマルハナバチ♀(Bombus diversus diversus)にベイツ型擬態していると予想されます。 
葉の上に乗って念入りに身繕いしています。 
後脚で腹背や翅を擦る合間に、左右の後脚を擦り合わせています。 
前脚で顔を拭ったり、左右の前脚を互いに擦り合わせたりしています。 
このとき口吻で前脚を舐め湿らせていました。 

化粧が一段落して飛び立ったと思いきや、すぐにまた近くの草の葉(林床の下草)に止まり直しました。 
複眼の形状から♀と判明。

薄暗い林床で撮ったので、ピントが甘いです。

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