2019/07/07

電柱支線用かずら巻き防止ガードの無効例:クズの本懐を遂げる



2018年8月中旬〜11月下旬

▼前回の記事
クズの蔓と戦う電柱支線用かずら巻き防止ガード


成長力が旺盛なクズの蔓が電線に絡みつくと地絡事故を起こす原因となりかねません。
電柱を補強するために上部から斜めにケーブル(支線)を張って地面に固定しているのですが、その支線を伝って地上からクズの蔓が伸びてしまうと大変です。
これを防ぐために電力会社の作業員が定期的に草刈りして周ったり、除草剤を撒いていたのでは膨大なコストがかかってしまいます。
そこで「電柱支線用かずら巻き防止ガード」と呼ばれる黒い円筒形のプラスチックが支線に取り付けられています。
あちこちで目にしたことがある人も多いでしょう。
つる植物の先端が伸びる際にある程度以上大きな直径の太い物体には絡みつくことができない、という性質を利用しています。
ところが生き物を相手にすると、理屈通りに行くとは限りません。


2018年8月中旬
とある場所で、クズの蔓が「電柱支線用かずら巻き防止ガード」を完全に攻略、突破して電柱に達している例を見つけました。
恐るべき生命力です。

葉が繁茂し、紫色のクズの花が咲いていました。


9月上旬
定点観察に通ってみると、支線の周りにクズの葉が更に育っていました。

電柱に達した蔓の先端部は、中段の電線に巻き付きながら水平に伸び続けています。


9月下旬
花は散っても支線はクズの群落にすっかり取り込まれた状態です。


11月下旬
枯れたクズの葉や蔓が電線や支線からぶら下がっていました。
クズの本懐を遂げてあっぱれです。

「かずら巻き防止ガード」破れたり!


電力会社の保守作業員が電柱を見回りに来ないのでしょうか。
こんな状態になるまで見逃されてほったらかしにされていたということは、電柱に巻き付いたクズのせいで電線がショートしたり停電になったりする事故は幸い起こらなかったのでしょう。
もしかすると、電気を送る電線は電柱の最上段を通り、電柱の中段を通るケーブルは光ファイバーとか電話線なのかもしれません。

だとすれば、電柱中段のケーブルに蔓植物が巻きついてもあまり問題は生じないのでしょう。


クズは秋に地上部が枯れても根茎が残りますから、根絶やしにしない限り毎年繁茂することになります。
日本でクズは単なる雑草の一種ですけど、諸外国にも帰化植物として分布を広げ猛威を振るっています。(参考リンク
日本由来のクズは有害植物ならびに侵略的外来種として指定され、懸命に駆除されているそうです。



さて、この場所で「電柱支線用かずら巻き防止ガード」がうまく機能しなかった理由を考えてみましょう。

注目すべきは、同じ電柱から2本伸びている支線の両方に「かずら巻き防止ガード」が取り付けられているのに、片方だけがクズに攻略されてしまったという点です。
春になって地下茎から新たに伸びたクズの蔓はまず、金網のフェンスを伝って上に成長したのでしょう。
そこから次は「電柱支線用かずら巻き防止ガード」を乗り越える必要があります。
設置した初めの年は支線への蔓の侵入を上手くブロックできたかもしれません。
しかし前年の蔓が「かずら巻き防止ガード」の手前に巻きついたまま枯れて残っていれば、翌年の蔓はそれを足場として上に伝って伸びることが可能になります。
「俺の屍を越えてゆけ」とばかりにクズは何年もかけて「かずら巻き防止ガード」を突破したのではないか、と私は推測しています。
私の仮説が正しければ、周囲のフェンスおよび支線に巻き付いて枯れたクズの蔓を一旦全て取り除いてしまえば、次の年からは「かずら巻き防止ガード」が突破されることはなくなるはずです。

それから、フェンスの高さよりもずっと上に「かずら巻き防止ガード」を取り付け直すべきでしょう。(あるいはもう一つ上に追加する)
もう一つ別の仮説としては、ここのクズ群落は蔓が巻きついて成長できる物体の限界半径が突然変異で普通よりも大きくなっていて、「かずら巻き防止ガード」の太さもあっさり突破されてしまった可能性も考えられます。

しかし、もしそうなら、隣にもう一本別に張られた支線の「かずら巻き防止ガード」も突破しているはずですから、突然変異説は否定できそうです。

今回は不定期の定点観察になってしまいました。

固定カメラで長期間の微速度撮影(タイムラプス)をじっくり行い、つる植物と「かずら巻き防止ガード」との静かなる攻防戦を映像で記録できたら面白そうです。
しかし誰かにカメラを悪戯されたり盗まれたりしそうなので、実現できていません。
私もいつかオーディオマニアのように自宅の庭に「マイ電柱」を建てて、思う存分、実験・撮影してみたいものです。

まぁでも、わざわざマイ電柱を立てる必要はなくて、屋根から庭にケーブル(支線)を張ってから「かずら巻き防止ガード」を取り付け、庭を雑草伸び放題にして長期間見守るだけです。



↑【おまけの動画】
日本のクズではありませんが、イギリスの国営放送BBCが熱帯のジャングルで蔓植物の成長を長期間、微速度撮影した見事な早回し映像です。
CGによるアニメーションではありません。
驚異の実写です。

帰巣後に転卵してから座るハシブトガラス(野鳥)



2019年5月上旬
▼前回の記事
ニセアカシア樹上の巣で抱卵するハシブトガラスは警戒心が強い(野鳥)

私があまり動き回らずに下を向いて道端のキタテハ撮影に熱中していると、ハシブトガラスCorvus macrorhynchos)の親鳥は「こいつは人畜無害だ」と判断し警戒を解いてくれたようです。
やがてヒノキ高木の天辺で見張っていたハシブトガラスが少し飛んで農道を横切り、営巣木の5本左隣のニセアカシア(別名ハリエンジュ)高木に止まりました。
ガーガー♪と嗄れ声で鳴いています。(私に対する警戒声?)
しばらく私の様子を伺ってから再び飛んで、営巣木に着地。
白テープを巻いた巣の真下にある枝に移動しました。
辺りを警戒してから飛び上がり、ようやく自分の巣に戻りました。
段階的に帰巣することからも、ハシブトガラス親鳥の用心深さが伺えます。
最後はピョンと巣に跳び乗りました。

巣の縁に止まって中を覗き込み、嘴でなにやらゴソゴソと作業しています。
これはおそらく、転卵でしょう。
巣材を整えているのかもしれません。
巣の縁を移動し、向きを変えて転卵を続けます。
ようやく座り込んで抱卵を再開。
私に背を向け、川の方(西)を向いて座りました。

30分後に現場を再訪すると、親鳥は川の方を向いたまま抱卵を続けていました。


水路で飛びながら打水産卵するキリウジガガンボ♀?



2019年5月上旬

底に泥や緑藻が堆積しているような水深の浅い用水路でガガンボの一種が低空で飛びながら腹端を水面にチョンチョンと付けていました。
♀による打水産卵のようです。
産卵する度に水面に波紋が広がります。
岸の汚泥に産み付けるのではなく、水面に直接産卵しています。
現場は用水路が川の本流に流れ込む手前、水門の下でした。

しばらくすると、ガガンボが水路のコンクリート壁面に止まって休みました。
目測では大型のガガンボでした。(未採寸)
写真を拡大すると、キリウジガガンボTipula aino)ですかね?
もし間違っていたらご指摘願います。
キリウジガガンボの♀なら腹端が尖っているはずですが、この個体は違います。
この水路では複数のガガンボが飛び回っているため、産卵していたガガンボ♀と同一個体である自信がありません。
途中で♂と入れ替わったのかな?

映像の最後は打水産卵シーンを1/5倍速のスローモーションでリプレイ。



「水田のぬかるみに産卵するキリウジガガンボ Tipula aino の♀」と題した生態動画をkiokuimaさんがYouTubeで公開なさっています。
キリウジガガンボは挿泥産卵だけでなく場合によっては打水産卵もするのか、それとも私が撮ったのは別種のガガンボなのですかね?
ちなみにトンボでは種類によって産卵法が決まっています。

私がガガンボ類の産卵行動を観察したのはこれが4例目です。

▼関連記事
地面に産卵するガガンボ♀ @2008年5月中旬
ミカドガガンボ♀?の打水産卵 @2013年6月中旬
苔に産卵するガガンボ♀【名前を教えて】 @2016年11月下旬


つづく→キリウジガガンボの求愛飛翔?


キリウジガガンボ?@水路壁面
キリウジガガンボ?@水路壁面


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