2015/06/28

巣立ち雛へ給餌するムクドリ♪(野鳥)



2015年6月上旬

▼前回の記事水溜りの水を飲むムクドリとカワラヒワの群れ♪(野鳥)

水溜りで水を飲んだり水浴したりしているムクドリSturnus cineraceus)の群れを撮っていると、意外なシーンが観察できました。
どうやら羽根の色が薄いのが巣立ち雛のようで、ときどき親鳥が飛来して給餌しています。
巣立ち雛は鳴きながら羽ばたき、餌をねだります。

映像冒頭では、右手のヨシ原の近くで地上採食している成鳥の近くに巣立ち雛が駆け寄り、餌をねだっています。
(このときは実の親子ではなかったのか、給餌を受けていません。)
そこへ別の親鳥が芋虫を咥えて舞い降りました。(画面左下@0:38)
左手から来た巣立ち雛が餌をねだり給餌しました。
親鳥はすぐに飛び去りました。

この水溜りの横は湿地帯で、ヨシ原が広がっています。
もしかすると、この周辺は巣立ち雛の共同保育園(隠れ家)なのかもしれません。
危険が迫ればいつでもヨシ原に逃げ込めますし、自力で採餌する練習もできます。
巣立ち雛の群れの中で親鳥は給餌すべき我が子を鳴き声で見分けているのですかね?
ムクドリでも自分では繁殖せずに他個体の繁殖を助けるヘルパーの存在が知られているそうです。(参考サイト
ありふれた鳥ですけど、個体識別した上でじっくり観察できたら楽しそうです。

この日は他にも虫を咥えて飛び回るムクドリ(親鳥)の姿を湿地帯の上空でよく見かけました。
巣が近くにあるのかもしれませんが、見つけられませんでした。


『ムクドリの子育て日記』p39によれば、
巣立ったばかりのヒナたちは、親鳥といっしょに、エサがあって安全な場所に行く。しばらくのあいだは、親からエサをもらう。そして、だんだんと自分でエサをとることをおぼえていき、6月末から7月には、ひとりだちする(若鳥は、親にくらべて羽の色がうすいが、秋には、成鳥と同じ色になる)。
『ムクドリ (カラー版自然と科学50)』p16-20によると、

  • ヒナは、親鳥よりあわい羽の色をしています。
  • 巣だちごしばらく、たべものは自分でとらないで、親鳥がはこんでくるのをまっている。
  • 巣立ちした若鳥たちは、食べ物をくわえた親鳥をみると、まだひよわな翼を一生懸命ふるわせて、我先にもらおうと競争する。
  • ヒナの巣立ちは孵化から3週間後(約22日後)、巣作りから約40日後。
  • 若鳥がひとりだちするのにさらに何日かかるかは、よくわかっていない。

2015/06/27

羽化したヒオドシチョウの初飛行



ヒオドシチョウの飼育記録#14


▼前回の記事
羽化直後に蛹便を排泄するヒオドシチョウ

2015年6月上旬・室温25℃・湿度45%

午前中に羽化したヒオドシチョウNymphalis xanthomelas japonica)個体c無印は昼頃になるといつの間にか止まり木から離れ、レースカーテンに止まっていました。
ようやく翅や体が充分に固まったのでしょう。
走光性があり、明るい窓際へ向かって飛んで行きました。
記念すべき初飛行の瞬間を(無理に飛び立たせるのではなく)自然な状態で動画に記録するのはなかなか難しそうです。

翅を開閉しながらカーテンをよじ登ります。
逆光では翅表の美しい紋様がよく見えないため、ビデオカメラ内蔵の白色LEDを点灯しました。
ところが眩しい光を近づけられた蝶は、興奮したように暴れてしまいます。
この辺りが動画撮影の難しさで、美しい写真を撮るだけなら逆光でもフラッシュを焚けば簡単です。
しかし動画となると、補助照明のせいで不自然な行動になってしまうのでは本末転倒になってしまいます。
レフ板は使ったことがないのですけど、蝶を怖がらせてしまうのは一緒でしょう。

手に乗ってもらおうと蝶の目の前に指を差し出したのですが、落ち着かなく羽ばたくばかりで上手くいきませんでした。
最後は窓を開けて放蝶しました。
(近所で採集してきた幼虫を育てた場合は放蝶しても問題ないというのが私の個人的見解です。)

つづく→#15:ヒオドシチョウの羽化(左右の口吻が結合する様子)



ツルマンネングサの花蜜を吸うヒメハナバチの一種♀



2015年6月上旬

堤防の階段に蔓延るツルマンネングサの群落で訪花している蜂がいました。
吸蜜してから身繕いしました。
後脚の花粉籠に黄色の花粉団子を付けています。
あまり自信がないのですが、この蜂はウツギメハナバチ♀(Andrena prostomias)と思い込んでしまいました。
狭食性(狭訪花性)のウツギヒメハナバチ♀がウツギ(アジサイ科ウツギ属)以外のベンケイソウ科から訪花集粉するとしたら大発見かもしれません。

密かに興奮しつつ、同定のため撮影直後に採集しました。

実はこの堤防の少し離れたところにウツギの大群落があり、昨年はウツギヒメハナバチを観察できたのでした。

▼関連記事(標本写真あり)
ウツギの花で採餌するウツギヒメハナバチ♀
今年もそろそろシーズンかな?と定点観察に来てみたものの未だ開花しておらず、当然ながらウツギの群落にウツギヒメハナバチはいませんでした。
今年は何らかの理由で(春の気温が高かった?)ウツギヒメハナバチの羽化が早まり、ウツギの開花とタイミングがずれてしまったのかもしれません。


『但馬・楽音寺のウツギヒメハナバチ:その生態と保護』p74によると、

ウツギヒメハナバチとその姉妹種であるコガタウツギヒメハナバチはともに短舌で典型的な狭食性種で、ウツギ属Deutzia(日本には7種ある)だけを訪花する。花粉採餌をしない♂は、ほかの花でも採集されることがある。
同書p72によると、
狭食性は共進化の証で、花資源種の選択幅の狭く、融通のきかない保守派である。


私の知らない場所で咲いているウツギの花粉を直前まで採餌していた可能性もあるので、後脚から採取した花粉を顕微鏡で分析してツルマンネングサの花粉だと花資源を同定すれば完璧ですね。


以下は標本写真。
方眼紙に乗せて大きさを調べると体長は11mm以上で、コガタウツギヒメハナバチではなくウツギヒメハナバチ♀のようです。

【追記】

てっきりウツギヒメハナバチかと思い込んで先走った記事を書いたら、コメント欄でうすのきさんより別種らしいとご指摘頂きました。
標本の写真も撮り直したものに差し替えました。


中胸盾板
中胸盾板
前伸腹節

翅脈を記録するのに良い方法を編み出しました。
私には展翅する暇もスキルも無いので、乾燥した標本の翅が反ったりカールしがちです。

被写界深度の浅いマクロレンズで接写しようとすると翅全体をきっちり平面に収めないといけなくて、いつも苦労していました。
ふと思いつき、根本から切り落とした翅をクリアファイルに入れると、静電気でクリアファイルと敷紙に翅が密着しました。
こうして反り返った翅を平にしてから翅脈を記録しました。
専門家はプレパラートのカバーガラスなどに翅を挟んでからスキャナで画像を取り込むらしいのですが、私にはこれで充分です。


左前翅(裏返しで接写)
左後翅(裏返しで接写)

前胸背板
前胸背板
前胸背板
腹部第一背板
腹部背板

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