2013/10/16

飛べ!アブラゼミ♀【ハイスピード動画&HD動画】



2013年8月中旬

河川敷でニセアカシアの潅木の幹にアブラゼミGraptopsaltria nigrofuscata)が止まっていました。
逆光ですけど、飛び立つ瞬間を狙って240fpsのハイスピード動画で撮影してみました。
映像後半は更に1/5倍速に落としたスローモーションでリプレイ。
離陸した瞬間に空中でオシッコを排泄するシーンをいつか撮ってみたいものです。



すぐ隣のニセアカシア潅木に着陸した同一個体のセミを追って、今度は通常のHD動画に撮ってみます。
幹や枝を器用に登り下りしたり裏側に回りこんだりするものの、食事のため口吻を幹に突き刺している様子はありません。
前進だけでなく、後退もできるのですね。
鳴いている♂を撮っているつもりが、発声器官の腹弁が見当たらないので実は♀でした。
至近距離から聞こえる鳴き声は別個体♂のものでした。
となると♀が産卵場所を探索しているのでしょうか。
幹に静止した際に肝心の産卵管が翅に隠れて見えません。
それとも、求愛歌を歌っている気に入った♂のところに♀が向かい、これから交尾するのでしょうか?

最後は幹を徘徊するクロアリがしつこくセミの足にまとわりつき、アブラゼミ♀は嫌がって飛び去りました。



2013/10/15

オオマルハナバチ♀がタケニグサの花で振動集粉



2013年8月上旬

山地の道端に咲いたタケニグサオオマルハナバチBombus hypocrita)のワーカー♀が忙しなく訪花していました。
後脚の花粉籠に白い花粉団子を付けています。
花に止まる度に翅を休めるのですが、耳を澄ませるとこのとき羽音よりも甲高い音がかすかに聞こえます。
これは振動集紛を行うために胸部の飛翔筋を震わせている音です。

振動集粉は一般に下向きに咲く花で行われることが多く、花粉の入った葯に止まって体を小刻みに振動させて落ちた花粉を体毛で受け止めて集める方法である。風媒花はこの振動集粉のおかげで受粉するが、ミツバチではこのような受粉はできない。(『日本産マルハナバチ図鑑』p167より)

オオマルハナバチ♀の振動集粉を声紋解析してみる

元のMTS動画ファイルから音声をWAVファイルに抽出してから、適当に切り出した部分のスペクトログラムを描いてみました。
背景でセミが絶えず鳴き続けていたり、上空を通過するジェット機の騒音が邪魔ですね。
振動集粉と飛翔時の羽音(5〜6秒)の違いが出るかと期待したのですけど、余りはっきりしませんでした。
やはり専用の録音機材を揃えないと、声紋解析しようとしても無理があるようです。


2箇所の鋭いピークはノイズ。

繭を紡ぐヨシカレハ(蛾)終齢幼虫【30倍速映像】



2013年8月中旬

ヨシカレハの飼育記録1

里山でススキの葉に止まっていたヨシカレハEuthrix potatoria bergmani)の幼虫を採集してから4日後。
この間、女竹や葦など食草をあれこれ与えてやっても全く食欲がありません。
そのうちに徘徊が激しくなり、繭作りを始めそうな予感。
何度食草に戻してやってもボトッと床に落ちてしまいます。
プラスチックの飼育容器内では絹糸が足場にくっ付きにくいだろうと出してやり、ボール紙でできたティッシュの空き箱に幼虫を閉じ込めました。
箱上部の透明ビニールカバーが覗き窓となって好都合です。
(脱走防止のため、切れ目をセロテープで塞いでおきました。)
薄暗い方が幼虫も安心して繭を紡いでくれそうです。
いざとなったらすぐに紙箱をハサミで切り開いて観察できるという利点もあります。

少し仮眠してから深夜に目覚めてチェックすると、紙箱の側面に繭を作っているところでした。
無から形を創り上げる最初の過程を観察できずに残念。
後で思うと、透明プラスチックの飼育ケースに紙箱の隅の部分だけを切って入れてやれば、外から進捗状況を確認しつつ、繭を作る位置も指定できたかもしれません。

カイコの場合、平面吐糸では繭を作れない。糸を張る足場となる2面以上で囲まれた立体空間が必要。(『糸の博物誌:ムシたちが糸で織りなす多様な世界』第6章:チョウとガの糸 p148より)

慌てて紙箱を切り開き、微速度撮影を開始。
ジオラマモードで撮った10倍速の動画を更にスピードアップした30倍速映像をご覧ください。
撮り始めた時には既にハンモックのような白い繭が大まかに作られています。
しばらく警戒していましたが、ようやく営繭を再開。
狭い繭の中で時折Uターンしながら絹糸を口から吐いて繭を紡いでいます。
休みなく営繭を続けます。
途中から急に絹糸が褐色に変わり、繭の中が透けて見えなくなりました。
絹糸の種類を変えたのか、あるいは何か絹糸を変質させる酵素を分泌し始めたのでしょうか?
毛虫の体毛を繭に植えているのかもしれません。
繭全体が少しずつ褐色を帯びていきます。
繭の網目を漉して落下した黒い脱毛が紙箱の床に少しずつ細かな綿埃のように溜まっていきます。
これに素手で触れるとかぶれるので要注意!

・毒針毛は繭にもあるが、成虫にはない。(wikipediaより)

・カレハガ科のマツカレハなどの繭には幼虫時代の刺毛が含まれます。(『糸の博物誌:ムシたちが糸で織りなす多様な世界』p156より)

完成した繭は灰褐色でした。
近縁種タケカレハの繭に見られたような黒点は無く、形は似ていても色が違います。

関連記事→「繭を紡ぐタケカレハ(蛾)終齢幼虫(150倍速映像)

参考サイト:「ヨシカレハの観察日記」@晶子のお庭は虫づくし

つづく→「寄主ヨシカレハ(蛾)の繭から脱出するヤドリバエ幼虫


紙箱に営繭

繭の直下には脱毛が散乱

採寸

側面

側面

後日、繭を切り開いて調べてみると、紙箱に接した部分は絹糸を節約していることが分かりました。
また、繭の内側には何か漆喰のような粘液を塗った後で白く固まったものが見つかりました。




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