2012/04/13

ヒヨドリの鳴き声♪2種類(地鳴き、さえずり?)を声紋解析してみる【野鳥】



2012年3月下旬

ヒヨドリHypsipetes amaurotis)の違う鳴き方を2種類、同じ日に至近距離から撮れたので紹介します。

雪がちらつく中を木の枝でヒヨドリが鳴いていました。
嘴を開け大音量で鳴いている際に舌が覗いて見えます。
こちらは聞き慣れた鳴き方で(ヒーヨ、ヒーヨ♪と長く伸ばす)、地鳴きだと思います。
遠くでもう一羽が鳴いている声がかすかに聞こえます。


数時間前にも同じ枝でヒヨドリが喧しく鳴いていました。
(同一個体かどうか定かではありません。)
いつもと違う鳴き声で、ヒヨヒヨヒヨ♪と早いテンポで繰り返しています。
私には性別を見分けられないのですが、繁殖期の囀り(さえずり)なのだろうか?
やがて急におとなしくなり辺りをキョロキョロ見渡したと思ったら、尿と糞を続けざまに排泄しました(@1:50)。
排便が済んでスッキリすると再び鳴き始めました。
後半の映像が若干不鮮明なのは、窓越しに撮ったせいです。

動画ファイルから音声部をwavに抽出して解析してみました。
こちらが前半の地鳴き。
毎回鳴き終わりに何やら特徴的な声紋が現れていますね。



一方、こちらが早鳴き(囀り?)のスペクトログラムです。






【参考】
音の標本箱(@千葉県立中央博物館)という素晴らしいサイトにて、録音されたヒヨドリの様々な鳴き声(地鳴き、囀り、ぐぜり、鳴き真似)が聞けるようになっています。

【追記】
『野鳥を録る:野鳥録音の方法と楽しみ方』p203によると、
各地で録音したヒヨドリの声を声紋で比較してみました。(中略)南へ行くほど声が高くなることがわかりました。 このような種類による地方の違い(=方言)も各地で、録音する人が増えて統計的に検証できるだけのサンプル数が収集できるようになれば、おもしろい結果が期待できる課題です。

また、同書p217によると、
ヒヨドリの声には3つのタイプがある。「ピィー、ピィー」「ヒィーヨ、ヒィーヨ」など、伸ばすものをタイプA。「ピィッ」「ピョッ」など短いものをタイプB。「ピィーピィルルルル」という、長い声をタイプC。タイプAは、鳴き合いでタイプBとも組み合わせることもあります。タイプBは、興奮したときや警戒のときに出すもの。タイプCは、機嫌のよいときの声で、浮かれ歌的だと分析しています。



『日本動物大百科4鳥類Ⅱ』p82によると、ヒヨドリは
多彩な声で鳴くため、さえずりと地鳴きの区別がむずかしい。


あまりにもありふれた鳥でバードウォッチャーには見向きもされないヒヨドリにも、まだまだ面白いことがあるようです。


【追記】
川内博『大都会を生きる野鳥たち―都市鳥が語るヒト・街・緑・水』によると、
「キャランキャランキャラン」アンテナの上でヒヨドリが歌っていた。「ヒーヨ」とか「ピーヒョロロ」とか「ヒィー」といった日ごろよく聞く声ではない。たぶんソング・ポストでのさえずりと思われる。 ヒヨドリのさえずりは、ウグイスやホオジロのようには明確ではない。それははっきりしたメロディーを持っていないためだが、この鳥が繁殖期に発するいくつかの声は、日ごろのそれと違い、スズメやシジュウカラのさえずりと一致する力強さが感じられる。 (p138より引用)


2012/04/12

ゴジュウカラの巣穴を覗きに来たアカゲラ♀【野鳥】



ゴジュウカラ巣穴の定点観察記4
2012年3月下旬

雪の日にアカゲラ♀(Dendrocopos major)がキョッキョッ♪と鳴きながら朽木の巣穴入口に止まり、中を何度も覗き込んでいました。
しばらくすると、同一個体と思われるアカゲラ♀がまたやって来ました。
この朽木には穴が4つ並んでいるのに、アカゲラが興味を示す穴は決まってこの一つ(ゴジュウカラが出入りする穴)だけです。
中を物色するも諦めて飛び去りました。
ゴジュウカラSitta europaea)が巣穴の中に居て侵入を防いだのかどうか不明です。
前回の観察ではアカゲラ♀が巣穴に侵入しています。

【参考】
『マルチメディア鳥類図鑑』によると、
ゴジュウカラは、キツツキの古巣などを利用して巣にする。ときには、キツツキが巣を掘っているときに、入口に土を塗ってしまうことがある。北海道では、クマゲラの巣が狙われたのを見た。クマゲラの巣の直径は13センチにもなるために、ゴジュウカラはせっせと土で、出入り口を狭くする。クマゲラはゴジュウカラの妨害で、途中で巣を捨ててしまった。
つづく

2012/04/11

オオトリノフンダマシ♀の造網準備(枠糸吹き流し?)



2011年10月上旬

タニウツギ?と思われる潅木の葉先(地上から〜125cmの高さ)に見つけたオオトリノフンダマシ♀(Cyrtarachne inaequialis)。
葉裏にはこの♀が残したと思われる紡錘形の卵嚢が4個釣り下げられています。
前夜は枠糸の存在に気づかず不用意に近づいて水平円網を壊してしまいました。
1時間粘っても網は再建されず。
リベンジとして翌日の夕方に再訪。

(映像はここから。)
クモは葉先から一本の糸に掴まってぶらぶら風に揺れています。
腹面を上に向け、第一脚の先で枠糸に常に触れています。
糸の振動や張力の変化を逃さないよう待ち構えているようです。
造網のためにこれから糸の吹き流しを行うのかと思ったのですが、糸疣を風下に向けていないのが不思議です。
やがて葉先より枠糸を綱渡りして進出。
葉先との往復を繰り返し、枠糸を補強しているのでしょうか。
たるんだ糸を歩脚で手繰り寄せています。
糸は少なくとも二本延びています。
(映像はここまで。)

なんとか造網行動を見届けようと、夕方から夜にかけてクモの傍らで寒さをこらえながら監視してみました。
ところが夜も更けると天気が崩れ雷雨が降り出したので、撤収を余儀なくされました。
クモは雨天になることを予想して(湿度や気圧変化を感知して?)造網を断念したのだろうか?
結局クモの意図が分からず中途半端な記録映像になってしまいました。
(撮れた映像素材を繋いだだけです。)

その後もしつこく何度か定点観察に通ってみたものの、どうも見つけた時期がオオトリノフンダマシのシーズン末期だったようです。
日に日に寒くなり、この♀は卵嚢をガードし続けるだけで寿命を迎えました。
夜間の観察は色々と難しさがありますが、今年こそ造網、捕食、産卵行動などを動画に撮ってみたいものです。

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