2012/04/03

コカマキリ♀bの卵鞘作り



コカマキリの飼育記録

2011年11月中旬・室温20℃

夜にふと気づくと、コカマキリ♀bが産卵していました。
飼育容器はDVDスピンドル容器をリサイクルしたもので、止り木として割り箸を斜めに入れてあります。
今回で5個目の卵鞘は割り箸の下面に産みつけられていました。
前回の産卵から13日後になります。
ちなみに、この♀は飼っていたコカマキリの中で最後まで生き残った長寿かつ多産の個体です。
容器の蓋を開けてもコカマキリ♀bは無我の境地で泡立て作業を続けます。
インターバル撮影(微速度撮影)の準備が間に合わなかったので、今回は通常のマクロ動画で記録してみました。


産卵の♀は口髭が活発に動いています。
頭が容器の底に付いてしまい窮屈そう。
なぜもっと上の場所から産み始めなかったのか不思議。
体を横に「く」の字に曲げてなんとか凌いでいるものの、首を寝違えないか心配になります。
♀はこれより下に行きたくても移動できないので、今回の卵鞘は全体の造型が寸足らずになってしまいました。
一仕事終えた♀はようやく窮屈な姿勢から開放され、満足気に身繕い。
産卵後のコカマキリ♀は腹端に白い付着物があるので、野外でもすぐ見分けられます。



2012/04/02

野菜屑を採食するムクドリの群れと喧嘩(突つき順位)【野鳥】



2012年3月中旬

生ゴミから堆肥を作るコンポストの方からムクドリSturnus cineraceus)が騒ぐ声がします。
堆肥の上に積もった雪が溶けた所から野菜屑を失敬しに3~4羽の群れでやって来たようです。
「掃き溜めに鶴」、ならぬ「掃き溜めに椋鳥」ですね。

2羽が同時に採食しようとすると、激しく鳴きながら小競り合いの喧嘩になります。
飛び立っても近くの木の枝に一時的に退避するだけで、どうやら見下ろしながら順番待ちをしているようです。
野菜屑の何を啄んでいるのかは不明ですが、嘴の先が濡れています。
様子を見ていると大体いつも同じ場所から採食しています。
野菜屑なら何でも良いという訳ではなく、選り好みがあるようです。
入れ替わり立ち替わり餌場にやって来るムクドリ同士が場所取りの喧嘩になるのはそのためです。

3羽の関係性が撮れたシーン(2:02~5:13)が特に興味深いです。
小さな群れでも典型的な突つきの順位(pecking order)があるようです。
初めは2羽αβが野菜屑を採食しています。
一羽βは食べるのを止め、キョロキョロしながら辺りを徘徊。
途中からもう一羽γがやって来るも、βに軽く追い払われました。
初めの一羽αが満足したのか飛び去ると、二羽が残りました。
βは待ってましたとばかりに、それまでαが啄んでいた野菜屑を食べ始めます。
先客のβが近づいてくる新参のγを攻撃するも、ひらりとかわします。
この間、鳴き声を発せず。
βが飛び去るとγだけ居残って採食を続けます。

最後のシーン(6:10~)では、食事を終えた一羽が飛び立つと入れ替わりで二羽が降り立ちました。
このペアにはつつき順位が無いのか(同格?)、仲良く並んで啄んでいます。


手元の図鑑『山渓フィールドブックス4:野鳥』p366によると、

「(ムクドリは)顔の白い部分は個体差が大きく、♂の成鳥ではくっきり白いが、若鳥ではぼんやりしている。」
とのことなので、顔馴染みになれば個体識別が可能になり、もっと興味深い力関係が明かになるかもしれません。



2012/04/01

エンマコオロギ劣位♂の奇行(巣穴掘り?)



2011年9月下旬

エンマコオロギの飼育記録

野外で採集してきたエンマコオロギTeleogryllus emma)の成虫♀♂1匹ずつのペアを同居させています。
そこに♂をもう一匹追加すると、♀を巡って♂同士の喧嘩が絶えません。
2匹の♂には体長差があり、大柄な♂が先住者です。
小柄な♂には個体識別のため胸背に油性ペンで白点を描いてあります。
体格で劣るβ♂(白)は喧嘩でいつもα♂(無印)に負け、逃げ回ってばかりいます。

そんなある日、β♂の奇行に気づきました。
容器の隅で地面の小石を一個ずつ口で咥えては横に運んでいるのです。
穴を掘って隠れようとしているのだろうか(穴があったら入りたい)?
どうもストレスによる異常行動のような気がします。
β♂が少しでも求愛歌を鳴いたり♀に近づくだけでもα♂の逆鱗に触れ、威嚇の鳴き声を発しながらβ♂白を激しく追い回しています。

※ 撮影のため容器内の隠れ家を取り除いてあります。
コオロギの飼育(特に♀の産卵)のためにはこんな小石だらけの土を入れるのは良くないですね。


【追記】
『ファーブル写真昆虫記10野原のバイオリンひき:コオロギ・バッタのなかま』p2より
コオロギは、気に入った場所をみつけると、入り口から奥の部屋まで、全部自分一人で掘っていきます。(中略)昆虫の世界で成虫が、自分のためのすみかをもっている、ということは、とてもめずらしいことです。
同書p9によると、
巣穴をほりはじめるのは、10月の終わり、秋風の中に、初めての寒さが感じられるような頃です。(中略)巣穴を掘る作業は、とてもかんたんです。まず、前脚で土を引っ掻いて、穴を掘り始めます。土の塊は、大顎のはさみをつかって、引き出します。

という訳で、どうやら別に飼育下の異常な行動でも奇行でもなかったようです。
知らなかったなー。
ただし、ファーブルが観察したのはオウシュウクロコオロギという種類で日本産コオロギとは生活史が異なるらしいです。
秋の終りに死んでしまうエンマコオロギにとって、巣穴は隠れ家の役目しか果たしません。(中略)エンマコオロギは、必ずしも自分で巣穴を掘らず、自然の穴を利用したり、石の下や枯葉の重なったその下などに隠れています。(同書p42より)



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