2023/11/11

明るい早朝に小川の丸木橋を渡るハクビシン【トレイルカメラ】

 



2023年4月中旬・午前5:18・気温5℃・日の出時刻は5:06 

小川に架かる天然の丸木橋を自動センサーカメラで見張っていると、日の出直後にハクビシン(白鼻芯、白鼻心;Paguma larvata)が写りました。 
明るい時刻にハクビシンを撮れたのは久しぶりです。
赤外線の暗視映像ではモノクロだったので、自然光下で総天然色の姿が見れて感動しました。 

関連記事(10年前の撮影)▶ ハクビシンの早朝散歩

カメラの起動がちょっと間に合わず、ハクビシンが丸木橋を右から左へ渡り終えるところでした。 
左岸に上陸せず、岸辺の崖穴を物色しているようです。 
野ネズミなど野生動物の巣穴があるのでしょうか? 
同じ丸木橋を左から右へ渡り返しました。 
渡り終える手前で立ち止まると、背伸びして右岸の様子を伺います。 
ちょうどそのとき、ウグイス♂が笹薮でホーホケキョ♪と囀りさえずりました。 
右岸を上流の方へ走り去りました。 

自然光下で撮影すると、右目が失明した隻眼かどうか判断できません。 

トレイルカメラを終日監視モードに設定すると、昼間はどうしても風揺れによる誤作動ばかりになってしまいます。 
その対策として(節電にもなる)夜間限定で監視するタイマー設定しているので、昼間にもハクビシンが活動しているかどうかは記録されていません。 
さすがに人通りがある日中は外を出歩かないと思います。 


河川敷を蛇行横断するアオダイショウが公衆トイレに侵入未遂するまで

 

2023年4月中旬・午後12:00頃・晴れ 

河川敷を横切る用水路のコンクリート護岸にてアオダイショウElaphe climacophora)が春の日差しを浴びていました。 
私が近づくと警戒し、ゆっくり蛇行して逃げ始めました。 

舌を素早く出し入れしながら蛇行で前進します。 
コンクリートの地面を離れ、隣の枯れた芝生エリアに移動しました。 
さらにシロツメクサで覆われた草地をひたすら進んで行きます。 
一体どこに行くのでしょうか? 
野ネズミやモグラの巣穴に侵入して獲物を狩るのではないかと期待して、アオダイショウを追跡することにしました。 
しかし、それらしき巣穴があってもヘビは素通りしました。 
しつこく付いて歩く私から逃げていただけかもしれません。
緑の草地に点在する白いものは、堤防路のサクラ並木から散ったソメイヨシノの花弁です。 

やがてアオダイショウは河川敷の公衆トイレに近づき、日陰に入りました。 
変温動物のアオダイショウにとって、どうやら日向は暑かったようで、体温調節のため日陰に避難したのでしょう。 
しばらくすると公衆便所のコンクリート土台に近づきました。 
幸いトイレを使っているヒトは誰もおらず、騒ぎにならずに済みました。
小便器のある男性トイレは扉が無い開放型ですから、ノックは不要です。 
その入口でアオダイショウは鎌首をもたげて、中の様子をうかがっています。 
舌を出し入れして、ヒト♂の小便臭を鋤鼻器で嗅ぎ取っています。 
男性トイレの中に蛇が侵入したら面白いスクープ映像になりそうです。
ところが、アオダイショウは入口から自発的に後退して、日陰の草むらに隠れました。 
トイレの床が熱伝導の良いアルミ製になっていて触れるとひんやりしますから、せっかく日光浴で暖まった体温が下がり過ぎるのを嫌ったのかもしれません。 

ヘビを捕獲したことが一度もない私は、絶好の機会に悩みました。 
しかし今回も怖気づいて生け捕りに挑戦できませんでした…。 
帰路に同じ公衆トイレを再訪したときには、アオダイショウは居なくなっていました。






2023/11/10

しつこく夜這いに来て求愛するニホンアナグマ♂を巣穴から追い払う♀【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2023年4月中旬〜下旬 

二次林にあるニホンアナグマ♀(Meles anakuma)の巣穴を自動センサーカメラで見張っていると、♂が夜な夜な夜這いに来るようになりました。 
春の配偶行動が始まったようです。 
しかし♀は未だ発情していないのか、♂の求愛をなかなか受け入れようとしません。 
地面に掘った巣穴が手前(R)と奥(L)に2つあります。 


シーン1:4/20・午後21:09・(@0:00〜) 
晩に奥から登場したアナグマ♂が左へ移動し、巣口Lの方へ行きました。 
その気配を察したのか、手前の巣口Rから♀が顔を出しました。 
♂が♀の巣穴に近づきながら求愛の鳴き声(ジェジェジェビーム♪)を発したかどうか、重要なポイントなのですが、観察歴の浅い私にはよく分かりません。 
トレイルカメラの位置がやや遠いので、録音されにくいのでしょうか? 

この営巣地(セット)の主である♀は目付きに分かりやすい特徴があり、左右の目の大きさが異なります。(右目<左目) 
斜視やオッド・アイのような生まれつきの形質なのでしょうか。 
明るい昼間だと分からないのですが、赤外線の暗視映像だとよく分かります。 

♀は出巣Rして振り返り、♂の方を見ています。 
睨み合いの末に、突然♀が脱兎の如く駆け出して、♂を追い払いました。 
喧嘩(威嚇)の鳴き声を言葉に現すのは難しいのですが、カカカカ!またはガガガガ!というような鳴き声を素早く発したようです。 
声帯を使って発声しているかどうかも分からない、なんとも得体のしれない音声です。 

しばらくすると奥から♀がトコトコ戻ってきて身震いすると、手前の巣穴Rに戻りました。 


シーン2:4/20・午後21:11・(@1:00〜) 
約30秒後、右の二次林を通って♂が再び♀のセットに戻ってきたようです。 
手前の巣口Rに居座り周囲を警戒していた♀は、♂を見つけると一瞬怯んで巣内に後退しかけたものの、再び脱兎の如く飛び出して撃退しました。 
♀は♂を深追いせずにすぐに戻ってきて入巣Rします。 

タヌキやキツネが巣穴を訪れたとき巣内のアナグマ♀は無反応だったのに、同種の♂が夜這いに来たときだけ、すごい剣幕で(強気で)追い払っています。 


シーン3:4/21・午前2:38・(@1:36〜) 
日付が変わった深夜未明にも同じパターンの行動が繰り返されました。 
手前の巣穴Rからアナグマ♀が顔を出して周囲を警戒しています。 
♂が右奥の茂み(灌木林)からやって来ると、ビルルル♪と何かを震わせているような、言葉にし難い変な物音が聞こえます。 
これはアナグマ♂が発する求愛の鳴き声なのかな?  (じぇじぇじぇビーム?)

この鳴き声?を聞くと♀は慎重に出巣Rして右下へ駆け出し、戻って来ませんでした。 
巣穴にすぐ戻って来なかったということは、画面の外で♂と交尾した可能性を否定できません。
夜這いに通っている♂が同一個体なのか、別個体が代わる代わる来ているのか、私には個体識別ができていません。 

※ アナグマの鳴き声が聞き取れるように、動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。 


この動画を初めて見たときは「アナグマ同士で巣穴を巡る縄張り争いがあるのか?」と思ってしまいました。 
アナグマ関連の本を何冊か読んで勉強してみると、「♂が♀の巣穴に夜這い・求愛しようとしている」のだと、ようやく状況が飲み込めました。 

アナグマに関しては、観察と並行して本で予習しておくことを強くお勧めします。 
読んでみて分かったのですが、アナグマの配偶行動や社会システムは他の哺乳類と違って独特です。
素人は先入観に囚われて頓珍漢な解釈に陥りがちです。 
自力でゼロから解明しようとすると、アナグマをきっちり個体識別した上で何年も何十年もかかってしまうでしょう。 
特に福田幸広『アナグマはクマではありません』という写真集の解説が特に参考になりました。
 プロポーズの方法が非常に変わっています。それは♂が♀の巣穴へ行き、「ビルビルビルー」という、低い連続した特殊な声を発します。私はこの声を「ジェジェジェビーム」と名付けました。(中略)この声は♀を誘い出す特殊な声で、この声を聞いた発情中の♀は必ず巣穴から顔を出すのです。♀の反応が悪い時には♂は巣の中にまで侵入することがありますが、巣の奥の赤ちゃんを守るためなのか、♀は♂が巣に入るのを徹底的に排除します。(子殺しがあり得るのか?:しぐま註)しかし、何度追い払われてもめげることなく、♂はジェジェジェビームを発し続けるのです。    (p50より引用)


今のところはトレイルカメラの設置アングルを試行錯誤しているところで、今回は右の茂みが邪魔です。

後日、別アングルでもっとはっきり分かる動画を撮ることができました。(映像公開予定)


つづく→ニホンアナグマ♀の巣穴に出入りするヘルパーと夜這いに通う♂【トレイルカメラ:暗視映像】



【追記】
アナグマ ♂の求愛声が低音で響くのは、地中巣内の♀に聞かせるために進化したのだろう。
高音だと指向性が高い代わりに回折しないですぐに減衰してしまいます。 
個人的な思いつきを書き留めておきます。

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