2018/12/15

ツユクサの花粉を舐めホバリングするホソヒラタアブ♀



2018年9月中旬・午前9:06〜9:11

雨上がりの朝、道端に咲いたツユクサの群落でホソヒラタアブ♀(Episyrphus balteatus)と思われる虻が訪花していました。

花の手前で見事なホバリング(停空飛翔)をしばし披露してくれました。
ようやく花に着陸すると、長く伸びたO字形雄しべの葯を口吻で舐めています。

青い花弁に一番近くに位置する3本のX字形雄しべは「仮雄蕊」または「仮雄しべ」と呼ばれ、葯が発達せず本来の生殖機能をもたない雄しべなのだそうです。
黄色いX字形雄しべは青い花弁との対比でよく目立つので、訪花昆虫を呼ぶ蜜標のような目印として働いているのだそうです。
この映像でもホソヒラタアブ♀は、ツユクサの仮雄しべを少し舐めただけで花粉が無いことに気づいたようです。
その手前の黄色いY字形雄しべを時間をかけて舐めています。
Y字形雄しべの花粉を摂食しようとすると、花弁から下に長く伸びたO字形雄しべと雌しべがホソヒラタアブの胴体(腹部の下面)に擦り付けられ、このときに他家受粉が成立するのでしょう。
植物学の本の字面を読んでいるだけでは用語が難しくてさっぱり頭に入りませんが、自分で撮った映像と見比べると、とてもよく分かりました。

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。

【参考ブログサイト】物臭狸の 花日記
ツユクサ  ~花のしくみ~


【参考書】
『花の自然史―美しさの進化学』第16章 森田竜義、濁川朋也 「花の性型の可塑性:雄花を咲かせるツユクサの不思議な性表現」

・1株に雄花と両性花が存在する性表現型を雄性両全性同株(andromonoecy)というが、ツユクサはその代表的な例なのである。 (p227より引用)
ツユクサの花には蜜腺がない。訪花昆虫に報酬として提供するのは花粉のみということになる。花粉報酬花と呼ばれるこの性質 (p229より)
ツユクサの花は一日花である。早朝5時半ごろに咲きはじめ、6時半ごろ満開となるが、午前10時には花弁がしおれはじめ、午後1時にはほとんどの花が終わってしまう。6時間ほどのきわめて短いあいだしか咲かないのである。
・ツユクサは他家受粉花の特徴をもつ同花受粉花というふしぎな花なのである。(p240より)
・ツユクサは主として自家受精によって種子生産を行なうからこそ、わずかな他家受精のチャンスをつくりだすために、両性花の大きな花弁は仮雄ずい、さらには雄花に大きな投資をしていると考えられる。(p242より)




機会があれば、ツユクサの開花と、訪花昆虫に頼らず自家受粉する様子(O字形雄しべと雌しべを巻き込みながらの閉花)を、微速度撮影してみたいものです。

ホソヒラタアブsp♀@ツユクサ訪花+ホバリング
ホソヒラタアブsp♀@ツユクサ訪花+ホバリング
ホソヒラタアブsp♀@ツユクサ訪花+ホバリング
ホソヒラタアブsp♀@ツユクサ訪花+ホバリング
ホソヒラタアブsp♀@ツユクサ訪花+花粉舐め
ホソヒラタアブsp♀@ツユクサ訪花+花粉舐め
ホソヒラタアブsp♀@ツユクサ訪花+花粉舐め
ホソヒラタアブsp♀@ツユクサ訪花+花粉舐め
ホソヒラタアブsp♀@ツユクサ訪花+花粉舐め

芝生で蛾の蛹を捕食する若いハクセキレイ(野鳥)



2018年9月中旬・午前8:16

公園内の東屋あずまや周辺の地面をハクセキレイMotacilla alba lugens)の若鳥が歩き回りながら採食していました。
顔に黄色味があるので若鳥ですね。

尾羽を上下に動かしながら、雨上がりの濡れた石畳を歩き回っています。(実際はコンクリートのプレートを並べたもの)
急に駆け寄ると、石畳の表面から白っぽい種子?を拾い食いしました(@0:34)。
次は芝生に移動すると、茶色い蛾の蛹を啄みました(@0:40)。
何度か地面に落としてから美味そうに丸呑みしました。
ハクセキレイの餌食になった蛹の正体は分かりませんが、芝生を食害する蛾の幼虫は多くの種類が知られています。
例えばスジキリヨトウ幼虫が蛹になったものかもしれません。


※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。


ハクセキレイ若鳥(野鳥)@?(蛾)蛹捕食
ハクセキレイ若鳥(野鳥)@石畳

2018/12/14

クズを訪花するスミスハキリバチ♂の羽ばたき【ハイスピード動画】



2018年9月上旬


▼前回の記事
ヤブツルアズキの花蜜を吸うスミスハキリバチ♂

(同一個体を続けて撮ったつもりなのですが、ときどき見失ったので、別個体の可能性もあります。)

山麓の農村部の道端に咲いたクズの群落でスミスハキリバチ♂(Megachile humilis)が訪花していました。
240-fpsのハイスピード動画で撮ってみました。

吸蜜中は腹部を上に反らした海老反り姿勢になっています。
腹端に丸みがあるので雄蜂♂だと思うのですが、いまいち自信がありません。
顔が白っぽいのは、雄蜂♂に特有の白い毛が密生しているためか、それとも単に花粉で汚れているだけなのか、悩ましいところです。
吸蜜中に丁度クズの花の雄しべの先が腹部下面に当たり、花粉が付着します。(花粉で汚れたせいで、♀特有のスコパの有無が紛らわしいです。)

同時に雌しべの先も擦られて花粉が付くので、次の花へ飛び回る蜂はクズの送粉者として持ちつ持たれつの共生関係にあります。
(更にスミスハキリバチの♀はクズ等の葉を切り取って巣材にします。)

高画質のHD動画でも記録しようとしたら、逃げられてしまいました。
※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。



【追記】
クズの花の構造については「マメ科の蝶形花冠」というサイトの写真付きの解説が参考になります。
旗弁の根本には黄色い蜜標があり、これを目印としてハナバチ類は訪花します。
蝶形花冠をしたマメ科の花は、昆虫が蜜標を目印にしてもぐりこむとき脚で翼弁と舟弁を押し下げます。すると舟弁の中に隠されていた雌しべと雄しべは押し下げられないので外に出てきて昆虫に花粉をつけたり、昆虫から花粉を受け取ったりします。昆虫が飛び去ると翼弁と舟弁は元の位置にもどり再び雄しべ雌しべは隠れてしまうのです。 (上記サイトより引用)
バネ仕掛けのような下線部の様子が今回撮れたスローモーションの映像でよく分かります。

ランダムに記事を読む

  • ナツグミの花で穿孔盗蜜するクマバチ10/08/2020 - 0 Comments
  • アキノキリンソウの花蜜を吸うアムールシロヘリナガカメムシ20/11/2012 - 0 Comments
  • アサギマダラ20/03/2011 - 0 Comments
  • 晩秋のスギ林で出くわしたニホンカモシカとにらめっこ26/06/2023 - 0 Comments
  • ナツグミの木でアブラムシを捕食するスズメ(野鳥)14/07/2019 - 0 Comments