2012年6月中旬
山中でオオルリが番で鳴いていました。
オオルリ♂の記事は既に公開しましたが、♀の映像は諸事情で公開が遅れました。
杉の細い横枝に見慣れない鳥が止まり、「ジュジュジュジュ、チューイチューイチューイ♪」と繰り返し鳴いています。
全体に地味な薄茶色で、喉と腹部は黄色っぽい。
鋭い警戒音を発しながらすぐに飛び立ちました。
立ち止まって撮影を続けていると、同一個体が少しずつ近くの枝に近寄ってきます。
縄張り防衛で鳴き続けているのでしょうか?
なんとなく、巣が近くにありそうな気がしました。
♂は先にどこかへ行ってしまいました。
帰ってから調べるとオオルリ♀と判明。
ピッキオ『鳥のおもしろ私生活』p62によると、私の直感は当たりでした。
♂の艶姿と美声のもてはやされるオオルリは、実は♀も美声の持ち主なのだ。たとえば、雛の食事を持ち帰った♀が巣の近くに敵を発見すると、まるで♂のように囀りを始めるのである。枝にジッと止まって朗々と鳴いているが、嬉しいはずはないから、きっと気が気ではない警戒の叫びなのだろう。(中略)雛に危険が近づくと、♀は朗々と?囀り始めてしまう。
本種は崖の凹みなどにコケを使って巣を作るらしいのですが、現場では気づきませんでした。
オオルリ♀の警戒声と囀りを声紋解析してみる
オリジナルの動画ファイルから音声部をWAVファイルにデコードしてから、試しにスペクトログラムを描いてみました。
ちなみに、こちら↓が近くで鳴いていた♂の声紋です(再掲)。
囀りは♂の方が声紋上も美しいですけど、警戒声の切迫感は♀の方がありますね。
2012年8月上旬
山中の休憩所に年季の入った木製ベンチが設置されています。
背もたれ部分の材の下面は特に様々な虫が掘坑して穴だらけになっています。
その穴に今季は借坑性のエントツドロバチが営巣しています。
穴の奥に巣作りしているようで、外からは泥巣を見ることが出来ません。
そこへ長い産卵管をもつ寄生蜂が登場。
野外で生きたキアシオナガトガリヒメバチ♀(Acroricnus ambulator ambulator)を見たのはこれが初めてでした。
寄主エントツドロバチの巣に興味があるようで、材の外から内部を触角で探っています。
残念ながら巣口から侵入したり産卵には至りませんでした。
この休憩所の軒下にもエントツドロバチが集団営巣しているのですが、これにはなぜかキアシオナガトガリヒメバチ♀はあまり興味を示しませんでした。
煙突のある初期巣だからかな?
スズバチの巣とエントツドロバチの巣からキアシオナガトガリヒメバチを飼育したことがあるのですが、羽化直後は裂けて見えた腹部側面は今回の個体では閉じています。
関連記事はこちら→「(エントツ)ドロバチの巣から羽化した寄生蜂:キアシオナガトガリヒメバチ♀」、「キアシオナガトガリヒメバチ♀羽化直後の蛹便排泄」
2枚目の写真には寄生蝿(ドロバチヤドリニクバエ?)も写っていますね。
2012年8月上旬
美しいセイボウ(青蜂)の仲間が山中のベンチに止まり、後脚を擦り合わせていました。
なんとなくムツバセイボウではないかと思うのですが、腹端の形状がよく見えないので分かりません。