2019/10/23

キボシカミキリ♀の擬死落下



2019年7月上旬

用水路沿いの小路でキボシカミキリ♀(Psacothea hilaris hilaris)がヤマグワの葉に乗って休んでいました。
触角の長さが体長の2倍強しかないので♀でした。(♂は3倍以上あるらしい)
桑は本種のホストです。
成虫が桑の葉を食べる後食シーンをいつか見てみたいものです。

動画に撮りながら右手を伸ばして捕獲しようとしたら見事に擬死落下し、地面で見失ってしまいました。
1/5倍速のスローモーションでリプレイしてみると、私が触れる前に気配を感じて「死んだふり」の逃避行動を起こしたことが分かります。


キボシカミキリ♀@クワ葉
キボシカミキリ♀@クワ葉

2019/10/22

探雌飛翔中のトンボエダシャク♂(蛾)がツルウメモドキ葉裏の蛹を調べる



2019年6月下旬

川沿いでオニグルミの木の周囲をトンボエダシャク♂(Cystidia stratonice stratonice)が探雌飛翔していました。

クルミの木に巻きついて育ったツルウメモドキという蔓植物の葉裏に目立つ黄色の蛹があり、それにトンボエダシャク成虫♂が興味を示しています。
腹部が細長く、腹端に黒い毛束(ヘアペンシル)を持つのが♂の特徴です。
そしてツルウメモドキはトンボエダシャク幼虫の食樹植物です。
♂は交尾相手の♀が羽化するのを待ちかねて、蛹を調べて回っているのでしょう。
この様子だと、おそらく羽化直後の処女♀と交尾すると思われます。
羽化の直前になると成虫の翅の色が透けて蛹が黒くなるらしいのですが、未だその前兆が無いので、♂はすぐに飛び去りました。
あるいは何らかの方法で(フェロモンや匂い?)♂の蛹だと知り、興味を失った可能性も考えられます。
この蛹に割れ目は見つからないので、羽化後の抜け殻(羽化殻)ではないと思います。
一連の探雌飛翔を1/5倍速のスローモーションでまずはご覧下さい。

トンボエダシャクの繭や蛹がどんな見た目なのか、飼育経験のない私は知らないので、インターネット検索で調べてみました。
しかしヒロオビトンボエダシャクCystidia truncangulata)の蛹の写真しかヒットしません。
トンボエダシャクと同じCystidia属の近縁種なので、おそらく蛹も似ているはずです。
目の粗い粗末な繭を紡いでその中で蛹化するそうです。


参考ブログ:
キレイな黄色~ヒロオビトンボエダシャク前蛹~蛹20190520~28 @KONASUKEの部屋
羽化したヒロオビトンボエダシャク・・・! @今日も、こっそり自然観察!

話の流れがなるべく分かりやすいように記事をすっきり書きましたが、実は蛹が付いていた蔓植物がツルウメモドキだと分かったのは後の話で、トンボエダシャクに教えてもらった次第です。


今回私が撮った写真をよく見ると、黄色い蛹の頭部は左を向いています。
白い絹糸で紡がれた粗い繭の中で蛹の頭部付近にある、しわくちゃのゴミのような白い物体は前蛹の脱皮殻でしょう。
普通なら腹端付近に残る気がするのですが、なぜ前後逆に残っているのでしょう?
蛹化した後にツルウメモドキが育って繭を固定した葉が傾き、脱皮殻が繭内で移動したのかな?
細かいことが気になってしまいました。
手の届かない高所にある繭なので、飼育したくても採集できませんでした。

梅雨時にトンボエダシャクやヒロオビトンボエダシャクが群飛する様子は季節の風物詩です。
今季はあちこちで群飛を見かける度に意識して撮影するようにした結果、少しずつ色々なことが分かって面白かったです。
次は交尾を観察したいのですが、幼虫や蛹から飼育しないといけないかもしれません。


トンボエダシャク?(蛾)蛹@ツルウメモドキ葉裏
トンボエダシャク?(蛾)蛹@ツルウメモドキ葉裏

ツルウメモドキ:赤い実@10月下旬に現場を再訪
ツルウメモドキ:赤い熟果@10月下旬に現場を再訪

池に張り出した枝先で魚を待ち伏せするササゴイ(野鳥)



2019年7月中旬・午前5:15頃(日の出時刻は午前4:29)

岸から池に張り出した桜(ソメイヨシノ)の枝先に早朝からササゴイButorides striatus amurensis)が止まっていました。
池の水面をじっと見つめています。

ササゴイと言えば、疑似餌などの道具を使って漁をすることで有名です。
国松俊英、坂梨輝男『わたしのノンフィクション:魚釣りの名人ササゴイ』という本によると、

 ササゴイは、池につきだした木の枝にとまり、下を見おろしています。水面から1.5メートルくらいの高さです。そこで、水中の魚のようすをうかがっていました。魚の群れが近づいてくると、ササゴイは木の葉を一枚くわえました。そしてねらいをつけると、木の葉を水面に落としたのです。その瞬間、ササゴイは木からジャンプし、みごとに魚をとらえました。(p42より引用)



(ササゴイによる)ルアーフィッシングの方法には、大きく分けて三つのやり方があることがわかりました。
(1)池の岩や、岸の岩から首をいっぱいにのばし、水面にそっと餌(疑似餌)をおく。ゆっくりと水の流れにのってただよう餌を見ながら待っている。魚が餌に近づくと、矢のようにくちばしをつきだすか、または水中にとびこみ、魚をつかまえる。
(2)おなじような岩から魚の動きをうかがって、餌を飛ばす。飛ばす距離は1メートルくらい。落ちた餌にあつまった魚を、すばやくとらえる。
(3)岸や小島から池にはりだした木の枝にとまり、水中の魚の動きを見る。魚が近づくと、餌を水面に落とし、とびついた魚をダイビングしてつかまえる。 (p43より引用)

本に書いてあったのとまさに同じ状況で水中の魚を真剣に狙っているので、対岸から長撮りしてみました。
しかし、飛び込み漁の瞬間は見れませんでした。
どうやら当地の個体群は残念ながら疑似餌漁を編み出していないようで、愚直に魚を狙っているだけです。
ササゴイが止まった桜の枝には葉が付いていないため、魚をおびき寄せる疑似餌の材料がササゴイの近くにありません。

ときどき小魚やコイ(鯉;Cyprinus carpio)が池の水面で跳ねています。
その水音に反応して、ササゴイが枝上で向きを変えました。

ササゴイは何度か水面に首を素早く伸ばしたものの、結局ためらって池に飛び込みませんでした。
もっと水面近くの枝先に移動した方が良さげですけど、おそらく細い枝先では体重を支え切れなくなるのでしょう。

ササゴイを嘲笑うかのように、嘴が届かない射程外の水面で小魚が何度も跳ねました。
2匹の鯉が池の中を悠然と泳ぎ、ササゴイの背後を通過しました。
ひょっとすると、水中の魚には天敵ササゴイの姿が見えていて、回避行動したのかな?


私は撮影を諦めてしまいましたが、忍耐強くササゴイにつきあったら漁の成功を見れたでしょうか?

もしかすると、この桜の木はササゴイのねぐらで、夜明けとともに下の枝に降りてきただけかもしれません。


ササゴイb(野鳥)@池畔:桜枝先+魚待ち伏せ
ササゴイb(野鳥)@池畔:桜枝先+魚待ち伏せ

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