2012/11/05

ヤマジガバチの労働寄生#11:偽装工作と蜂の採集



2012年7月下旬

もはやジガバチ♀P水は押し固めを殆ど行わず、巣口にゴミを載せて積み上げるだけになりました。
最終段階の偽装工作です。
盗掘した際に取り除いた偽装のゴミをどこかにまとめて置いておけば後で再利用できる(楽ができる)のに、そこまで知恵が回らないようです。
それでも寄主の♀H白よりも仕事が早い印象です。

労働寄生行動をもう充分に見届けたと判断しました。
ジガバチ♀P水が営巣を完了してどこかへ行ってしまう前に採集することに。
どうしても同定してもらおうとしたら、標本が必要になるかもしれません。
この日は捕虫網を持っておらず、ありあわせの容器で再捕獲を試みるも逃げられました。
それでもしばらくすると帰巣する蜂が健気です。
結局、撮影を止め本腰を入れてなんとか採集しました。
以下は標本を接写した写真。


後日、同じフィールドで捕獲した♀♂はヤマジガバチと写真鑑定して頂きました。

一方、ジガバチ♀H白がその後、営巣地に戻って来ることはなく、採集できませんでした。

理想を言えば、巣坑を暴いて独房から産卵済みの芋虫を採集すれば完璧でしたね。
(蜂の子を飼育してもおそらく今季はもう成虫に羽化することなく前蛹で越冬すると思われます。)
しかしこの日は長時間の観察・撮影だけで疲労困憊し、とても発掘する余力がありませんでした。

観察を打ち切って満ち足りた気分で帰りましたが、もしかすると同じ巣穴を別個体の♀が更に労働寄生した可能性もあります。
実際、英国産サトジガバチの観察では、托卵された巣の8割以上は更に別の♀によって寄生されたとの報告があります。(ソース


つづく


ジガバチ♀P水(背面)標本

ジガバチ♀P水(側面)標本

ジガバチ♀P水(胸部側面)標本

ジガバチ♀P水(胸部側面)標本

ジガバチ♀P水(胸背)標本

ジガバチ♀P水(腹部側面)標本

ジガバチ♀P水(腹背)標本

ジガバチ♀P水(腹面)標本

ジガバチ♀P水(頭部下面)標本

ジガバチ♀P水(頭部、触角)標本

ジガバチ♀P水(顔)標本


2012/11/04

ヤマジガバチの労働寄生#10:巣坑の再閉鎖と喧嘩



2012年7月下旬

ジガバチ♀P水が巣坑の埋め戻しを続けています。
似我似我♪と鼻歌まじりに押し固める様子を間近で録音してみました。
巣にアリが近づくと追い払います。

続いて偽装工作を始めたようです。
寄主の♀H白はあんなに長時間かかったのに、労働寄生した♀P水は手際が良いというか仕事が早い気がします。
巣穴の近くから何度もゴミを拾ってきては巣坑に詰め込みます。

♀P水が出かけた間に謎の♀が飛来しました。@6:18
巣穴近くの葉っぱに止まるも、すぐ飛び去りました。





スローモーション(1/5倍速)↑で確認してみても、腹背のマーキングがいまいち不鮮明で悩ましいです。
単なる腹背の黒光りではなく、標識した白点が認められます。
しかし♀H白だとすると翅先に付いたはずの白いマーキングが見えません。
巣が盗掘・托卵されたことに気づかず、そのまま飛び去りました。
おまけに水色のマーキングも遠目からの映像では角度によって白く見えることがあり、紛らわしいです。
胸背にもマーキングすれば良かったかもしれません。
現時点では♀P水が作業の合間に飛び回っているだけ、と考えています。

またしばらく♀P水が閉鎖作業を続けている途中で黒い蜂が飛来するも、格闘には至りませんでした。@9:10





スローモーション(1/5倍速)↑で確認しても、襲撃者の動きが早くて正体不明です。
♀H白が巣を奪還しに戻って来たのか、ジガバチ♂が交尾を試みたのかもしれません。
最近はいつも喧嘩になると♀P水が勝っています。(先住効果?)
因果応報で更に別の♀がこの巣を乗っ取って労働寄生しようと企んでいるとしたら面白いのになーと思って見ていました。
同じことの繰り返し(無間地獄)に陥るのでしょうか?

つづく


トノサマバッタの跳躍・飛翔ハイスピード動画



2012年7月下旬

砂利の多い山道でトノサマバッタLocusta migratoria)を発見。
いつもは撮る前に逃げられてしまうのですが、そっと近づきました。
飛び立つ瞬間をハイスピード動画に撮ってみました。
後脚で力強く跳躍しながら羽ばたいて飛びます。
更にいつもの半分のスローモーション(約1/14倍速)にしても、すぐにフレームアウトしてしまいます。
220fpsではパワー不足というかフレームレート不足ですね。
地面にカメラを置いて虫の目線から撮るのも面白かったかも。


【追記】
『バッタ・コオロギ・キリギリス生態図鑑』p226よりバッタ撮影法
飛び出したバッタは長くて十数m離れた場所に必ず着地するから着地点を見失わないように近づく。(中略)バッタが疲れるか、こちらの根気がなくなるかが勝負だ。(中略)できれば太陽に向かう方向からできる限り姿勢を低くして近づく。太陽を背にして近づくと、バッタには黒い影が近づくことになり、余計警戒して逃げようとするからだ。逆光であることを考慮して、レフ板を使うか、補助光を使って撮影するとよい。







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