クワコの飼育記録#1
2011年8月下旬
農村の道端に生えた桑の葉(ヤマグワ)にイモムシを二頭発見したので、食草ごと採集して持ち帰りました。
カイコガ科クワコの幼虫です。
養蚕に利用するため長年品種改良されたカイコの野生型と考えられています。
おそるべき食欲で桑の葉を断続的に蚕食していきます。
その機械のような食べっぷりの良さに惚れ惚れと見とれてしまいました。
背中に眼状紋が並んでおり尾角もあるので、なんとなくスズメガの仲間の幼虫を連想しました。
体長を測ると約40mmで、『イモムシ・ハンドブック』の記載「終齢幼虫〜35mm」よりも大きな個体でした。
飼い続けると後日、脱皮することなくそのまま繭になったので確かに終齢幼虫と分かりました。
(最後はなんと50mm以上に育ちました。)
つづく→シリーズ#2
【追記】
安田守『イモムシの教科書』によれば、
クワは傷つくと切り口から白い乳液を出す性質がある。乳液には3種の糖類似アルカロイドという物質が含まれており、これは糖に似た構造をもち、消化や代謝を阻害する働きをする。通常、葉中の含有量は低濃度だが、乳液中にはその約100倍の高濃度で含まれている。葉が傷つくと乳液が出るので、葉を食べようとすれば乳液も摂取してしまう。(中略)スペシャリストのカイコはクワの葉を食べても正常に成長することができる。(中略)耐性酵素を発達させることによってこのしくみを突破しているのだろうと考えられている。 (p83より引用)植物の乳液による化学的防御をイモムシがどう突破するかという軍拡競争の問題に私も興味があります。
カイコやクワコは化学的に乳液を克服するよう進化しましたが、トレンチ行動という行動を進化させた種類のイモムシもいます。
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