2024年1月下旬
シーン1:1/22・午後14:17・くもり・気温21℃(@0:00〜)
明るい日中にたまたま撮れた現場の状況です。
根雪の積もった休耕地でホンドタヌキ♀♂(Nyctereutes viverrinus)が越冬する営巣地を自動撮影カメラで見張っています。
巣穴の入口は少なくとも3つあり、そこからタヌキの足跡が雪面に残されています。
今季は異常な暖冬で積雪量が少なく、雪が溶けて地面が一部露出しています。
ホンドギツネ(Vulpes vulpes japonica)の登場シーンを以下にまとめました。
シーン1:1/24・午後18:12・降雪・気温-3℃(@0:03〜)
2日後の雪が激しく降る晩に、キツネが新雪の雪原を右から左へ横切りました。
画面の左端で立ち止まると、タヌキの営巣地を振り返りました。
巣穴から漂う臭いや物音に気づいたのかな?
雪が激しく降る日のタヌキは、日没後も巣穴Lから遠出しないですぐに帰巣したことが、雪面に残る足跡から読み取れます。
キツネはタヌキの巣穴Lへ忍び寄り、雪面の足跡の匂いをじっくり嗅いでいます。
巣口Lに顔を突っ込んで覗き込んだものの、中に無理やり押し入ることはありませんでした。
シーン2:1/28・午前4:31・気温-1℃(@1:03〜)
4日後の未明に、キツネが左からやって来ました。
新雪の雪面には、約7時間前に通ったタヌキの足跡が、雪に埋もれかけています。
キツネはタヌキの足跡に気づくと立ち止まり、匂いを嗅ぎました。
うっかり「足跡を見つける」と書きそうになりましましたが、暗闇でキツネがどのぐらい見えているのか疑問です。
キツネは目のタペータムが発達していますから、雪明りだけでも夜目が効くのかもしれません。
キツネは雪原をショートカットしてタヌキの巣口Mに近づいたものの、横を素通りしました。
巣口Mを通り過ぎたことに気づいたのか、雪面の匂いを嗅ぎながら、ゆっくり引き返してきました。
最後にキツネは何か獲物の気配を雪の下に感じ取ったらしく、後足の筋力で高く飛び上がり、揃えた前足で獲物に襲いかかろうとしました。
しかし、その結末(狩りの成否)を見届けることなく、無情にも1分間の録画が打ち切られてしまいました。
うーむ、残念無念…。
監視カメラの録画時間を1分間から2分間に延長すべきかもしれません。
まるでアクションの一番良い瞬間で静止画にして余韻を残したまま劇的に終わらせる「フリーズフレーム」(またはフリーズショット)という映画の手法のようです。
1/3倍速のスローモーションでリプレイしてみると(@2:07〜)、意外にもキツネは後足を先に着地していました。
着地の振動に驚いた野ネズミが雪の下から外に飛び出してくるのを期待して、次に前足と口で獲物を狩ろうとする作戦なのかもしれません。
関連記事(同時期の撮影)▶ 雪国のホンドギツネがニホンアナグマの越冬用営巣地で野ネズミ狩りに失敗【トレイルカメラ】
※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。
【考察】
ホンドギツネはおそらく、ホンドタヌキの越冬用巣穴に居候する野ネズミの気配を雪の下に察知して、狩ろうとしたのでしょう。
この休耕地にも野ネズミが出没することが既に分かっています。
関連記事(同所で2ヶ月前の撮影)▶ 晩秋の休耕地を夜にウロチョロする野ネズミ【トレイルカメラ:暗視映像】
これまで私は山中または森の中にトレイルカメラを設置することが多く、写った野ネズミ(ノネズミ)はアカネズミ(Apodemus speciosus)またはヒメネズミ(Apodemus argenteus)だろうとみなしてきました。
しかし、この撮影地点は田畑に隣接する原っぱ(休耕地)なので、ハタネズミ(Microtus montebelli)の可能性もありそうです。
キツネの狩りの成功確率はわずか2~3割らしいので、成功シーンを撮影するには辛抱強く観察を続けるしかありません。
あるいは、巣内に籠もったタヌキの動きを察知したキツネが、獲物と誤認して反応してしまったのだとしたら、それはそれで面白い話です。
「タヌキの奴らを驚かしてやろう」というキツネの悪戯心だったりして…。
つづく→