2025/01/11

雪山でニホンイノシシの採食痕があるスギ林に来た野生動物たち:ニホンノウサギ・ホンドテン・ホンドタヌキ・ニホンカモシカ【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2024年1月下旬〜2月上旬 

シーン0:1/30・午後14:10・くもり・気温14℃(@0:00〜) 
明るい時間帯にたまたま撮れた現場の様子です。 
雪が積もった里山のスギ植林地でニホンイノシシSus scrofa leucomystax)がスギの根元の雪や地面を掘り返して採食していました。 
イノシシは近づく私を警戒して一目散に逃げてしまったのですけど、その直後にトレイルカメラを現場に設置しました。 
同一個体のイノシシが戻ってきて、スギ林床で採食を再開してくれるのではないかと期待したからです。 
もしかするとイノシシはねぐらを掘っていたのかもしれない、という疑いもありました。 

 画面の手前から奥に向かって緩斜面が下っています。 
左端が雪に埋もれた林道になっていて、私が奥に向かって下山したスノーシューの足跡が雪面に残っています。
つまり、林道の横に生えたスギの根元に掘られた最大の採食痕を監視しています。 

夜な夜なやって来る野生動物たちを一気にまとめてご覧ください。


シーン1:1/31・午前3:05・気温-3℃(@0:04〜) 
現場にまず現れたのは、冬毛のホンドテンMartes melampus melampus)でした。 
未明に雪の緩斜面を奥から手前へ登り、歩き去りました。 
雪面に足跡が残らないということは、凍結していているようです。 
手前の雪面は、トレイルカメラの赤外線照射で白飛びしてしまっています。


シーン2:1/31・午後21:52・気温2℃(@0:11〜) 
次は、同じ日の晩に冬毛のニホンノウサギLepus brachyurus angustidens)がひょこひょこと手前に来ました。 
やはりスギ林床の雪面はクラスト状態で、ノウサギの足跡が残りません。 


シーン3:2/2・午前5:02・降雪・気温-6℃(@0:22〜) 
2日後の雪が降る未明にも真っ白なノウサギが登場しました。 
しかも2羽が同時に写りました。 
交尾期が始まる頃なのに、2羽のニホンノウサギがニアミスしても喧嘩や追いかけっこにはならなかったのが不思議です。 
すでに♀♂ペアを形成していたのでしょうか?
2羽の性別も行動から読み取れませんでした。 

ノウサギは、イノシシが掘り返したスギの根元には近寄りませんでした。 


シーン4:2/2・午後18:53・降雪・気温-4℃(@1:04〜)日の入り時刻は午後17:05。 
同じ日の日没後に、♀♂ペアと思われるホンドタヌキNyctereutes viverrinus)が手前からやって来ました。 
 先行個体が、イノシシが掘り返したスギの根元で匂いをじっくり嗅ぎ回っています。 
その間に後続個体は、近くでおとなしく待っています。 

雪が降り続き、雪面に薄っすら積もった新雪に、タヌキの歩いた足跡が残ります。 
後続個体は先行個体を追い越し、真っ直ぐに斜面を下りました。 
しかし先行個体は、少し先のスギの根元でもイノシシの掘り返した採食痕が気になり、寄り道して調べています。 
ようやくパートナーの後を追って立ち去りました。 

1.5倍に拡大した上で、リプレイしてみましょう。(@1:49〜) 
タヌキは新雪に鼻面を突っ込んで餌を探していますが、何も食べなかったようです。 


シーン5:2/6・午後20:32・気温-4℃(@2:35〜) 
4日後の晩に、ニホンカモシカCapricornis crispus)が緩斜面を登って手前に向かって歩いて来ました。 
監視カメラの真下を通ったのに、カメラの存在には全く気づいていないようです。 
新雪の雪面にカモシカの蹄跡が残りました。 


シーン6:2/7・午前2:25・気温-5℃(@2:46〜) 
日付が変わった深夜に、冬毛のニホンノウサギが画面の右下隅にちらっと写りました。 
気温が低いと、トレイルカメラの起動が遅れがちになります。 
尻尾が長くないので、テンではありません。 


※ 動画の一部は編集時に自動色調補正や逆光補正を施しています。 
トレイルカメラの照射する赤外線が手前の雪面に反射して白飛びしてしまい、ちょっと見苦しいからです。 


【考察】 
私とニアミスして逃げたイノシシが採食現場に戻ってこないことがはっきり分かったので、この地点での監視は1週間で打ち切り、トレイルカメラを撤去しました。 
後で調べてみると、イノシシは縄張り意識が薄いらしいです。 
山中でヒトと遭遇して驚いて逃げたら、わざわざ戻ってくることはなく、逃げた先で自由気ままに採食することが予想されるそうです。 
どうしても自分で納得するまで確かめたかったので、たとえ空振りに終わっても満足です。 

副産物として、雪山で暮らす様々な野生動物(お馴染みの面々)が監視カメラに写ってくれたので、退屈することはありませんでした。
イノシシが掘り起こした採食痕に興味を示したのは、タヌキだけ(しかも、ペアのうち片方だけ)でした。

ヒャクニチソウの花蜜を吸いながら排尿するオオタバコガ【蛾:FHD動画&ハイスピード動画】

 



2023年10月中旬・午後15:30・晴れ 

ヒャクニチソウ(百日草)の色とりどりの品種が咲き乱れる花壇に私が戻ってくると、オオタバコガHelicoverpa armigera armigera)がまた訪花していました。 
本種は訪花中も翅を小刻みに震わせ続けて飛び立つための準備運動(アイドリング)をしています。 
その翅をよく見ると、この個体は右の翅頂が欠けていて、30分前に観察したオオタバコガ♀とは別個体であることが分かりました。 

吸蜜後にクルクルと丸めて縮めた口吻が、オレンジ色の花粉にまみれていました。 
次の花に移動する前に身繕いして、顔や触角に付いた花粉を落としています。 
舌状花の花弁が散った後の筒状花でもオオタバコガは貪欲に吸蜜していました。 

オオタバコガが訪花中に240-fpsのハイスピード動画に切り替えたら(@1:14〜)、面白いシーンがたまたま撮れていました。 
吸蜜しながら腹端から透明な液体を1滴排泄したのです。(@1:25〜) 
本種の排尿シーン(おしっこ)は初見です。 
花蜜を大量に吸い、余分な水分を排泄して飛ぶために体重を軽量化したのでしょう。

 

2025/01/10

夜霧の雪山で塒のあるスギ林に来ても眼下腺マーキングするだけで立ち去る若いニホンカモシカ【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2024年1月下旬 

シーン1:1/19・午後12:32・くもり・気温12℃(@0:00〜)
里山の斜面に植林されたスギ林で、ニホンカモシカCapricornis crispus)のねぐらを自動撮影カメラで見張っています。 
画面の手前から右上奥に向かって斜面が下っています。 
今季は記録的な暖冬のため、積雪量が少ないです。 

カモシカの登場シーンを以下にまとめました。 
撮影効率があまりにも悪いので(カモシカが滅多に来ない)、退屈しのぎに余計なことを始めました。 
たまに来る昼行性のニホンリスSciurus lis)のために、オニグルミの堅果を給餌しようと、白いプラスチックの箱をスギの幹に固定してみたのです。
しかし、この作戦は全くの空振りに終わりました。 
私の給餌法が良くないのか、それともリスは警戒心が強いのでしょうか? 


シーン2:1/23・午前0:57・霧?・気温1℃(@0:04〜) 
画面全体がうっすらと曇っています。 
夜霧が発生しているのか、それともレンズの表面が薄っすらと凍りついてしまったのかもしれません。 

深夜に画面の右下から現れたカモシカの後ろ姿が写っています。 
斜めに倒れかけたスギ幼木の枝葉の匂いを嗅ぎ、顔の眼下腺を擦りつけてマーキングをしたようです。 
角がまだ細いので、若い個体のようです。 

雪面の匂いを嗅ぎながらゆっくりと奥に歩き、スギの立木に辿り着きました。 
根元や幹の匂いを嗅いでいる途中でふと見上げ、クルミを入れた白い給餌箱に気づいた様子です。 
若いカモシカが首を精一杯伸ばしても、給餌箱には全然届きません。 
(大雪が積もれば、届いてしまうかもしれません。) 
前足を立木に掛けて後足で立ち上がることはしませんでした。 


シーン3:1/23・午前1:00(@2:04〜) 
念入りにスギの幹や雪面の匂いを嗅いでから、カモシカは左にゆっくり立ち去りました。 
ところがしばらくすると、同一個体が左から手前に戻って来ました。 

残念ながら今回も結局、ここに塒入りしてくれませんでした。 
私が余計な異物(リスへの給餌箱)を塒のスギ立木に設置したりしなければ、警戒しないで塒で寝てくれたでしょうか? 
しかしカモシカは夜行性ですから、この時間帯に寝ないはずです。 


※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。 



【考察】 
トレイルカメラによる塒の監視は、これで諦めて打ち切ることにしました。 
ニホンカモシカが雪山でスギの木の下に寝てくれたのは、結局1回切りでした。 
その後は複数個体のカモシカが代わる代わる来ては、通りすがりに眼下腺マーキングしたり排尿したりしただけです。
少なくとも、この辺りを縄張りとするカモシカ個体群が使う獣道(巡回路)になっていることは確かです。 

登場した複数個体のカモシカが同じ地点の塒を代わる代わる使って寝ることはありませんでした。 
監視カメラの存在に気づいて警戒し、ねぐらの位置を変更してしまったのか、それともカモシカが頻繁に塒を変えるのはごく普通のことなのか、この1例だけではまだ何とも言えません。

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