2024/04/29

電柱の天辺で鳴くノスリを追い払うハシブトガラスの親子(野鳥)

 

2023年7月中旬・午後13:10頃・くもり 

郊外の田園地帯を私が歩いていると、電柱に止まっていたノスリButeo japonicus)が警戒して鳴きながら飛び去りました。 
(映像はここから。) 

隣の電柱の天辺に止まり直したノスリは、振り返ってこちらを見ながらピーエ、ピーエ♪と甲高い声で繰り返し鳴き続けます。 
なぜか初めは少し掠れた鳴き声でした。 
鳥も喉に痰が絡まることがあるのでしょうか? 
(私は鳥の咳払いを聞いたことがありません。) 

そこへ1羽のハシブトガラスCorvus macrorhynchos)が右から飛来すると、右手前の電線に止まりました。(@0:42〜) 
着陸直後にカラスは白い糞をポトリと排便しました。(@0:44〜) 
1/5倍速のスローモーションでリプレイ。 
ハシブトガラスの嘴が開いたままなのは、暑さに喘いでいるのでしょう。
 (と言いつつ、肝心の気温を測り忘れました。) 
口内が赤みがかっているので、幼鳥かもしれません。 
やがてハシブトガラスは左隣りの電線にひょいと飛び移り、猛禽を挑発するように接近しました。 
…と思いきや、カラスは左に飛び去りました。 
ノスリは電柱の天辺から油断なくその行方を目で追っています。 

鳴き続けるノスリは、その場で足踏みしながらこちらに向き直りました。 
ハシブトガラスが再び飛来し、手前の電線に着陸しました。(@1:57〜) 
さっき飛び去った個体よりも嘴が明らかに太いので、成鳥のようです。 
このハシブトガラス個体は嘴を閉じたままでした。 

モビング(嫌がらせ)するカラスは黙っているのに、ノスリはずっと鳴き続けています。 
逆にノスリが鳴く声を聞きつけて周囲のカラスが集まってくるのではないかと思うのですけど、カラスに対する威嚇のつもりなのでしょうか? 
ノスリは鳴き方のバリエーションが乏しく、警戒声も同じです。 
(私の耳が慣れてないだけかもしれません。) 
周囲でニイニイゼミ♂が絶え間なく鳴き続けています。 

少しズームアウトすると、2羽の位置関係がよく分かるようになりました。 
ハシブトガラスは電線からノスリを見上げながら、手前の電線を右に左に飛び移っています。 
天敵の猛禽に対して挑発し、心理的な圧力をかけているのでしょう(嫌がらせ)。 

カラスが心理戦を仕掛けると、ノスリはいつも負けてしまいます。
下の車道を車が通りかかったのをきっかけに、ノスリは右へ飛び立ちました。(@2:29〜) 
羽ばたきと滑空を交互に繰り返して山林の方へ飛び去りながらもピーエ♪と一声発しました。 
ノスリが飛び立つ瞬間を1/5倍速のスローモーションでリプレイ。(@2:49〜)
猛禽が力強く羽ばたくと、翼の下面にノスリに特有の斑紋が見えます。 
 (動画編集時に逆光補正しています。) 
逃げるノスリをカラスは追いかけず、むしろ逆に左へ飛んで逃げていました。 

ノスリを流し撮りしていたカメラを戻すと、ハシブトガラスの幼鳥が電線に戻っていました。 
相変わらず嘴を半開きにしています。 
ハシブトにしては嘴が細く、嘴の中が赤いので幼鳥と分かります。 
縄張りから天敵の猛禽を追い払ったカラスは、リラックスして羽繕いを始め、身震いしました。 
嘴を閉じるとハシブトっぽい見た目になりますが、頭部の膨らみは未発達です。 


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2024/04/28

夏の昼間に延々と追いかけっこや取っ組み合いをして遊ぶニホンアナグマの幼獣4頭【トレイルカメラ】

 



2023年8月上旬

ニホンアナグマMeles anakuma)の母子が明るい日中から再び旧営巣地に戻ってきました。 
今回は珍しく幼獣4頭が勢揃いして仲良くはしゃぎ回っています。 
(独り遊びが好きな個体が1頭いるのです。)
真夏の昼の二次林内には蝉しぐれが響いています。 
母親は幼獣の遊びに付き合うことはありません。

シーン1:8/6・午後12:01・晴れ・気温32℃(@0:00〜) 
冒頭で幼獣2頭が相次いで巣穴Lに素早く潜り込みました。 
右上奥の獣道から別の幼獣2頭が追いかけっこや格闘遊びをしながら向かって来ます。 
地上の騒ぎを聞きつけたのか、1頭の幼獣が巣口Lから外に顔を出しました。 
獣道でくんずほぐれつしていた幼獣の1頭が走って入巣Lすると、もう1頭も追いかけてきました。 
巣口Lで対面すると、口を開けました。 
相手に歯を見せつけて牽制するというよりも互いに軽く甘噛みしているようですが、威嚇の鳴き声は聞き取れません。 


シーン2:8/6・午後12:02・晴れ・(@1:00〜) 
2頭の幼獣aとbが巣口Lで激しい格闘遊びを続けています。 
その間に幼獣cが出巣Lすると左へ向かいました。 
しばらくすると、巣L内に篭もって居た幼獣dが巣口Lに顔を出し、兄弟(姉妹)の取っ組み合いを見物しています。 
このときガ、ガ、ガ…♪という軽い唸り声が聞こえました。 
(どの個体の鳴き声か不明です。) 

幼獣dが格闘中の2頭abの間をすり抜けて、左へ駆け出しました。 
 左から相次いで戻ってきた幼獣cdが獣道で遊び始めました。 
相手の目の前で軽くジャンプしてみせるのが挑発行為と言うか、遊びに誘う行動のようです。 
追いかけっこからの格闘遊びが始まります。 
対戦相手は流動的で、cがabの遊びに参戦しました。


シーン3:8/6・午後12:03・晴れ・(@2:00〜) 
プルルル…♪(またはグルルル…♪)と聞こえたのは、幼獣の格闘遊びに伴う威嚇の鳴き声でしょうか。 
左の広場で幼獣2頭が疲れを知らず、はしゃぎ回っています。 
やがて1頭が塹壕に隠れるように後ろ向きで入巣L。(@2:25〜) 

次に右奥から獣道を走ってきて巣穴Lに入ったのは母親♀ですかね? 
毛皮の茶色味が濃い個体でした。 


シーン4:8/6・午後12:04・晴れ・(@2:51〜) 
出巣Lした成獣(母親♀)の横で幼獣1頭がはしゃぎながらまとわりついています。 
毛色が濃い成獣の右首筋には交尾痕が認められたので、ヘルパー♂ではなく♀だと思います。 
腹面の乳首はあまり目立たなくなりました。
交尾中に♂が♀の背部を強く噛むことによってできる傷は交尾痕と呼ばれる。(金子弥生『里山に暮らすアナグマたち: フィールドワーカーと野生動物』p74より)
母親♀は身震いしてから右に立ち去りました。 
幼獣は巣穴Lに戻って留守番です。 
…と思いきや、しばらくすると巣内Lの幼獣が外へ出て来ました。(左へ) 


シーン5:8/6・午後12:07・晴れ・(@3:24〜) 
画面の左端で幼獣の尻尾だけが見えています。 
広場の地面に転がっている長い落枝が動いているので、巣口Rで幼獣が何かしていることが伺えます。 
やがて、幼獣2頭を連れた母親♀が左から現れました。 
そのまま3頭の母子は右上奥の獣道を歩き去りました。 
出遅れた幼獣1頭が左から来ましたが、母親♀たちを追いかける様子を見届ける前に録画終了。 


シーン6:8/6・午後12:07・晴れ・(@3:51〜) 
再び幼獣2頭が巣口Lに戻ってきていて、小声で唸りながら1対1の格闘遊びを繰り広げています。 
そのまま左に消えました。 


※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。 
※ 鳴き声が聞き取れるように、音声を正規化して音量を強制的に上げています。 



ホンドタヌキの溜め糞場に集まるオオヒラタシデムシとクロボシヒラタシデムシについて

 

2023年7月中旬・午後12:30頃・晴れ 

ホンドタヌキNyctereutes viverrinus)がスギ防風林の倒木横に残した溜め糞場phを定点観察しています。 
溜め糞に集まるシデムシ類に変化がありました。 



それまでは赤黒のクロボシヒラタシデムシOiceoptoma nigropunctatum)の成虫および幼虫だけだったのに、真っ黒なオオヒラタシデムシNecrophila japonica)の成虫も多数来るようになりました。 
ペアが成立して交尾しているオオヒラタシデムシ♀♂も居ます。
並んで糞食していたシデムシ幼虫同士の小競り合い(闘争・逃走シーン)が撮れていて、興味深く思いました。(@0:20〜) 
餌は豊富にありますから、占有行動の必要はないと思っていました。(金持ち喧嘩せず) 

甲虫(鞘翅目)では他に、肉食性のサビハネカクシOntholestes gracilis)も1匹だけ、下に掲載した写真に写っています。 

次は双翅目について。
メタリックグリーンに輝く常連のキンバエ(種名不詳)とは別に、見慣れない微小でカラフルなハエが溜め糞上で翅紋を誇示していました。 
この気になるハエは別の溜め糞場wbc-1にも来ていたので、改めて別の記事で紹介することにします。



昆虫以外では、オカダンゴムシArmadillidium vulgare)およびワラジムシPorcellio scaber)の等脚目が溜め糞に群がっています。 


【考察】 
私のフィールドで溜め糞場に集まるシデムシ類の季節消長を定量的にきっちり調べた訳ではありませんが、どの溜め糞場でも毎年春になって真っ先に現れるのがクロボシヒラタシデムシで、オオヒラタシデムシは遅れてくるという印象があります。 
まるで登場役者が交代するように、クロボシヒラタシデムシが居なくなった後もオオヒラタシデムシがしばらく残ります。 
つまり、この2種は出現季節を少しずらすことで、溜め糞場という同じニッチに棲み分けをしているようです。

クロボシヒラタシデムシは成虫越冬で、いち早く休眠越冬から覚めるようです。 
それに対してオオヒラタシデムシの成虫は夏になってようやく羽化してくるのか?と推測したのですが、wikipediaによるとオオヒラタシデムシも成虫越冬らしい。 
となると、オオヒラタシデムシ成虫が遅れて溜め糞場に出現する理由が分かりません。 
・まさか夏になるまで休眠越冬から覚めないのでしょうか?
雪国では幼虫または蛹で越冬するのではないか?と定説を疑いたくなります。 
もしかするとオオヒラタシデムシは寒さに弱くて、雪国では越冬に成功する成虫の数がきわめて少ないのでしょうか?
・今のところ私は目視で溜め糞場のシデムシ類を探しているだけです。
したがって、もしもオオヒラタシデムシが獣糞の中に潜り込んでいるとしたら、見えてないだけという可能性があります。
・あるいは越冬直後のオオヒラタシデムシは、獣糞よりも死肉への嗜好性が高いのかもしれません。
腐肉を使ったトラップを仕掛けてみて、オオヒラタシデムシの成虫が春から現れるかどうか、確かめてみたいものです。

シデムシ類の幼虫は三葉虫みたいな形態をしているのですが、私は種類の見分け方を知りません。 
シデムシ類の幼虫を飼育してみることが謎解きのヒントになるかもしれません。

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