2021/07/12

繁殖期でも夕方のキジ♂は鳴かなくなる(野鳥)

 

2021年4月下旬・午後18:00頃・くもり(日の入り時刻は午後18:27)
前回の記事(16日前の撮影):▶ キジ♂が刈田で追手をまいて行方をくらます2つの方法(野鳥)
日没前の薄暗い刈田で顔馴染みのキジ♂(Phasianus versicolor)とまた出会いました。 
 刈田は未だ田起こし(耕耘)される前の状態ですが、水入れに備えて畦がきれいに整形されています。 
 私が近づくとキジ♂は足早に隣接する枯れヨシ原の方へ逃げて行きます。 
明らかに私を怖がって(嫌がって)避けているのです。 
このヨシ原は、隣接する田んぼを縄張りとするキジの隠れ家になっています。 
しかし、この時期のヨシは未だ枯れたままで芽吹いておらず、(地味な♀ならともかく)派手な羽毛のキジ♂は隠れる場所がありません。 

やがてヨシ原の手前にある農道で立ち止まりました。 
背伸びをして遠くを見張り、辺りをキョロキョロ見回しています。 
全身の羽毛を膨らませて身震い。(@3:36) 
警戒を解くと、地面を少し啄みました。 
採食と言うよりも、嘴を枯草で拭っただけの印象です。 
いつまでも立ち去らない私に対する苛立ちから来る転移行動なのかな? 

いよいよ辺りが薄暗くなってきました。 
私もカメラを持つ腕が疲れてきましたが、手持ち夜景モードで長撮りを続けます。 
キジ♂が小声でつぶやくように鳴いているようにも見えますが、遠くて聞き取れません。 
農道でじっと佇んでいたキジ♂がようやく歩行を再開。 
用水路を飛び越えて枯れヨシ原に移動しました。 
ここが夜のねぐらなのか?と思いきや、採食しながらまた戻って来ました。 
立ち止まって羽繕いを開始。(@8:21) 

畦道から刈田に降りると田んぼを歩いて横断します。 
次の畦道を乗り越えて、奥の刈田に降りました。 
畦道の死角に隠れるのは、しつこい私を撒くためにこの♂個体がよくやる得意の作戦です。 
私は撮影アングルを求めて急行したのですが、キジ♂を見失ってしまいました。 
前回と同じく、畦道の陰に入ると全力疾走で助走してから低く飛んで逃げたのでしょう。 
緩急をつけた見事な逃げっぷりです。 
今回もキジ♂のねぐら入りを見届けることができませんでした。 

「長撮りしても一度も鳴かなかった」という事実をお伝えするために、動画素材をほぼ無編集でお届けしました。 
繁殖期なのに撮影中のキジ♂が母衣打ちを全くしないのが不思議でした。 
昼間なら定期的にケンケーン♪と鳴いて縄張り宣言しているはずです。 
農道で立ち尽くすキジ♂をじっと観察していると、そのボディランゲージから母衣打ちしたい気分が高まってきて「今に鳴くぞ、鳴くぞ…ほら鳴いた」と分かるのです。
しかし夕暮れ時になるとキジ♂は全く鳴かなくなると分かりました。 
体内時計に支配されているのか、それとも照度が下がると、鳴きたい気分が失せるのでしょう。
翌朝までゆっくり休んで体力回復に務めます。 
私の予想では、おそらく夕方になるとキジ♀がまず活動を止めるため、♂も♀を自分の縄張りに誘う母衣打ちをしなくなるのだろう、と考えています。 
隣の縄張りのキジ♂と紳士協定を交わして、夜は無駄に鳴かないようにしているようです。 

それに対して例えばオオヨシキリは昼行性なのに、夜もヨシ原でひっきりなしに♂が囀りさえずり続けます。 
オオヨシキリの♂は大変ですね。

2021/07/11

リンゴの花で採餌するマメコバチ♀【HD動画&ハイスピード動画】

 

2021年4月下旬・午後14:40頃・晴れ 

リンゴ園でハキリバチ科の仲間が何匹も忙しなく訪花していました。 
映像の後半は、1/5倍速のスローモーションでリプレイ。(@1:00〜) 
スコパに橙色の花粉を付けて運んでいます。 
この蜂が果樹園でミツバチよりも効率よく授粉を媒介することで有名なマメコバチ♀(Osmia cornifrons)なのかな? 
頭楯に突起が生えていました。(@1:40)
この小規模なリンゴ園でも刈り取ったヨシの茎を大量に束ねてリンゴの木の下に置いてあり、借坑性のマメコバチに巣を提供していました。(映像公開予定) 
リンゴの花が満開の時期に来てみたものの、思ったほどマメコバチ♀の数は多くありませんでした。 (見に来るのが少し遅かった?)

蜂が飛び立つ瞬間を狙って240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@2:33〜) 
ところが、うっかりしたのかマメコバチ♀はリンゴの花から滑落してしまいました。 
空中ですぐに体勢を立て直すと、ホバリングしてから隣の花にしがみつきました。

送電塔の巣箱を使わず天辺に作った巣で抱卵するハシブトガラス♀(野鳥)

 

2021年4月下旬・午後16:20頃・晴れ 

高圧線の送電塔#KN7に営巣するハシブトガラスCorvus macrorhynchos)の♀♂つがいに注目して毎年調べています。
関連記事のまとめ(2年前の撮影)▶ 送電塔#KN7の巣箱に営巣したハシブトガラスの観察記録:2019年
この鉄塔の中段に設置された巣箱で2019年は雛を育て上げました。 
カラスが巣作りしても感電事故を起こさない安全な場所に電力会社が巣箱を予め設置したのです。 
翌2020年はコロナ禍が始まったせいで、私は定点観察に通えませんでした。 
繁殖期が終わってから送電塔#KN7を見に行くと、巣箱は空っぽで、その代わりに送電塔の天辺に新たな巣が作られていました。 

2021年の繁殖期はどうでしょうか?
久しぶりに様子を見に来ると、やはり鉄塔の天辺に多数の枝を組み上げた巣がありました。 
カラスのつがいが巣作りしても繁殖のため実際に使うかどうかは別問題です。 
(カラスは縄張り内に複数の巣を試作することがあります。) 
初めは空き巣に見えたので、ハシブトガラスの♀♂ペアはこの営巣地を見捨ててしまったのかと落胆しました。 
ところが念のために望遠で巣をしばらく動画撮影してみると、黒い物体が巣の上から少しだけ覗いていて、ときどき身動きしていました。 
親鳥♀が巣内でこっそり抱卵していたのです。 
抱卵中の親鳥♀の頭部の羽毛が風になびいています。 
これは巣の写真をパパッと撮るだけだったら完全に見逃していたはずで、取り敢えずなんでも動画で記録する私の習慣が功を奏しました。 

送電塔に近づくほど仰角になり、巣内の様子が見えなくなってしまいます。 
一方、送電塔の中段に設置された巣箱は使われておらず、空っぽのままでした。 
巣材として巣箱に持ち込まれたのは1本の細い小枝だけで、網状の底から飛び出していました。 

撮影を終えて私が帰ろうとしたら、親鳥♂が追いかけて来ました。
私が本当に縄張りから立ち去ったことを確認すると、空中でUターンして引き返しました。 

カラスと人の巣づくり協定』などの研究成果によって、最近の電力会社は電柱や送電塔に作られたカラスの巣を問答無用に撤去するのではなく、ここなら巣を作っても大丈夫(漏電事故を起こさない)という安全な地点に巣箱を用意するようになりました。 
カラスとヒトの共生モデルとして注目した私は2019年、送電塔#KN7の定点観察に通い始めました。
私がしつこく鉄塔の巣にカメラを向けて撮影したせいで、どうやらハシブトガラスの♀♂ペアに強いストレスを与えてしまったようです。 
(私としては巣から充分に離れたところから撮影したつもりで、雛も無事に巣立ちました。)
ところが翌年(2020年)から親鳥♀♂は巣箱を放棄して、同じ送電塔の最高地点に造巣するようになりました。
より高所に巣を移動したのは、望遠レンズを使っても巣内を覗かれにくくするためでしょう。※ 
野生動物(野鳥)を観察する行為自体が対象の行動に悪影響を与えてしまうという典型的な観測問題に直面してしまい、反省です。 
カラスに見つからないように撮影中はブラインドを使用すべきなのは承知しているのですけど、街なかでブラインドを張ると周辺住民に怪しまれ通報されてしまうので、難しいところです。

※ あるいは別の可能性として、巣箱に残された古巣を電力会社が撤去したことを嫌って、ハシブトガラスは巣箱を使わなくなったのかもしれません。
この辺りを縄張りとする♀♂ペアが代替わりした結果、営巣地点が高所に変わったのかもしれません。



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