2019/09/04

ハシブトガラス親鳥に餌をもらい巣箱で羽ばたき練習をする雛【10倍速映像】(野鳥)



送電塔#KN7に営巣したハシブトガラスの観察記録#16



▼前回の記事
巣箱がある送電塔から見張り緊急発進するハシブトガラス親鳥(野鳥)

2019年6月中旬・午後13:58〜15:28

ハシブトガラスCorvus macrorhynchos)の巣箱を微速度撮影で90分間監視してみました。
10倍速の早回し映像をノーカットでご覧下さい。
昼下がりの暑さで陽炎が立ち昇り、三脚でカメラを固定しているのに画面がゆらゆらと揺れているように見えます。

少なくとも2羽の雛が巣箱の中で動いています。
この時間帯は、親鳥による給餌の頻度が低いようです。
暑い昼下がりは餌となる昆虫の活動も下がりますから、親鳥があまり餌を獲れないのも当然でしょう。
あるいはもしかすると、巣立ちに備えて親鳥が雛への給餌量を意図的に抑えているのかな?

喉袋を餌で膨らませた親鳥がようやく右から帰巣しました。(@2:49)
在巣の雛鳥はすかさず伸び上がって翼を広げ、嘴を大きく開けて餌乞いします。
久しぶりに見る雛はもうすっかり大きく成長していて、幼鳥と呼べそうです。
給餌した親鳥は左へ飛び降りました。(@2:55)
食後に留守番している雛の1羽が巣内で大きく位置を変え、軽く羽ばたき練習をしました。(@3:00)

しばらく昼寝していた雛が目覚めると、巣箱の外枠から身を乗り出し下界を見下ろしています。(@5:10)
好奇心旺盛な雛は鉄骨に止まり羽繕い。
そのまま飛び降りるのかな?と見ている私はドキドキしましたが、結局巣立ちませんでした。

やがて右から飛来した親鳥が帰巣しました。(@5:43)
喉袋はぺしゃんこなので、空荷で採餌から戻って来たようです。
雛の餌乞いに応じて巣に入ったものの案の定、給餌しませんでした。
雛の背後に回り込み、雛が排泄した糞を咥えました。
今度は親鳥の喉袋が膨らんでいるのが分かります。
ゼラチン質で包まれた雛の糞を喉袋に入れて、巣の外に捨てに行きました(排糞行動)。(@5:49)

直後に雛がまた元気に羽ばたき練習を始めました。(@5:51)
再び巣箱の外枠から鉄骨へ移動したりと、活発に動き回っています。

平凡社『日本動物大百科4鳥類II』を紐解いてハシブトガラスの繁殖活動について調べると

巣は高木や送電線の鉄塔などの高所につくり、青緑色地に褐色斑のある卵を3〜5個産む。抱卵は♀により約20日間、育雛期間は30〜35日で、雌雄で行なう。巣立ち後はしばらく家族生活を送る。繁殖中の親鳥は攻撃性が強い。(p173より引用)


果たして巣立ちの瞬間を観察・撮影できるでしょうか?

つづく→#17:ハシブトガラス親鳥が墓地で警戒(野鳥)


ハシブトガラス(野鳥)巣箱@送電塔#KN7

軒下のオニグモ(蜘蛛)を狩るヒヨドリ(野鳥)



2019年6月中旬・くもり

街なかを流れる川沿いに建つコーポ2階の外廊下で奇妙なホバリングを繰り返すヒヨドリHypsipetes amaurotis)が気になりました。
私が急いでカメラを向けると、ヒヨドリは外廊下の手摺に止まって周囲の様子を伺っています。
その場で黒い糞をドロリと排泄し、手摺に付着しました。(@0:04)
普段は白い鳥の糞が黒いのは珍しく思いました。

急に飛び上がったヒヨドリが外廊下の天井付近で偵察のためにホバリング(停空飛翔)しました。
再び手摺から飛び上がり、今度は廊下の天井から何か黒い獲物を嘴で器用に捕食しました。
1/5倍速のスローモーションでリプレイしてみると、獲物は天井板の目地に潜んでいた黒くて大きなクモでした。
おそらくオニグモAraneus ventricosus)でしょう。
手摺に舞い戻ったヒヨドリは、暴れるオニグモを手摺に軽く叩きつけて殺しました。
このときクモの歩脚が数本落ちました。
ヒヨドリは動かなくなったクモを咥え直し、鳴きながら意気揚々と飛び去りました。
丸々と太ったオニグモをその場で食べずに持ち去ったので、巣で腹を空かせて待っている雛に給餌するのでしょう。
近くの住宅地に巣があるようです。
私は未だヒヨドリの巣を見つけたことがありません。
ヒヨドリがオニグモの天敵になるとは予想外でした。
野鳥がクモを狩る決定的瞬間の証拠映像が撮れたのは、かなり嬉しかったです。

オニグモは夜行性で、昼間は網をたたんで物陰に隠れているのですが、隠れ方が甘かった個体は捕食者によって自然淘汰されてしまうのでしょう。

実は、ヒヨドリが採食時に停飛(ホバリング)するのはお手の物です。

▼関連記事(6年前の撮影)
干し柿を盗み食いするヒヨドリ【冬の野鳥:HD動画&ハイスピード動画】

ヒヨドリ(野鳥)@コーポ2F外廊下+停飛
ヒヨドリ(野鳥)@オニグモ(蜘蛛)捕食
ヒヨドリ(野鳥)@オニグモ(蜘蛛)捕食



2019/09/03

夜明けに樹上で鳴き続け偵察飛翔を繰り返すノスリ親鳥(野鳥)




ノスリ(野鳥)営巣地での観察記録#9



▼前回の記事
ノスリの巣:夜明け前後の様子(野鳥)

2019年5月下旬・午前4:08〜4:54(日の出時刻は午前4:20)

夜が明ける前に私がノスリButeo japonicus)の巣を撮っていると、近くで親鳥が鳴き始めました。
ピィーイ、ピィーイ♪と甲高い声でひたすら繰り返しています。
営巣木の柳から左に少し離れたところにポプラ(=セイヨウハコヤナギ)の大木が聳え立っています。
逆光でポプラ枝葉のシルエットしか見えませんが、その樹冠に望遠レンズを向けた途端に、そこから1羽のノスリが鳴きながら飛び出しました。
てっぺんよりも少し下の枝に止まっていたようです。

親鳥は巣内ではなく、近くのポプラ樹上で夜を過ごしたのでしょうか?
こちらに向かって一直線に飛んで来て、鳴きながら私の頭上を通過しました。
辺りを一回りした後でポプラ樹冠にバサバサと止まり直しました。

余談ですが、ポプラの樹間で何か昆虫が群飛していました。
蚊柱よりも大きな虫が飛び回っているのです。
ノスリ親鳥が貯食した獲物の死骸にハエが集ってるのでしょうか?
あるいはノスリ親鳥のねぐらにスズメバチの巣があったら面白いのですが、よく見ると鱗翅目が何頭も羽ばたいているようです。
もしかすると、美麗種として有名なゼフィルスの仲間かもしれません。
シルエットしか見えないのが残念です。
その後、あちこち移動するノスリの観察を続けると、河畔林の別の樹冠でも群飛している昆虫がいました。
この群飛をしっかり撮るには、対岸に渡って順光のアングルで狙う必要がありますね。

閑話休題。
ポプラ大木の天辺で鳴き続けるのは、朝の縄張り宣言(囀りさえずり)♪なのでしょうか?
川べりで暮らす野鳥たちも鳴き始め、素晴らしい朝のコーラスになりました。
私が聞き取れた鳴き声の野鳥を列挙すると、キジ♂、ホオジロ♂、ハシブトガラス、モズ、ヒヨドリ、ハシボソガラス、スズメなど。

ノスリが止まり木から何度も飛び出して私の頭上を飛び回るのは、不審者に対する威嚇や偵察飛行なのかな?
巣の方を向いて長時間撮り続ける私を警戒しているのかもしれません。
観察歴の浅い私には未だノスリの性別を見分けられません。
もしかするとポプラ樹上で鳴いたり飛び回るのは♂の陽動作戦で、その間に♀がこっそり帰巣したのかもしれません。
気になった私が途中で巣の様子をチェックしても、相変わらず親鳥は不在のようで雛の動きもありませんでした。
ここで営巣する♀♂つがいのうちの1羽は、左翼の風切羽が欠損していることが分かっています。
この特徴は逆光で飛んでいるシルエットだけでも容易に見わけることができて、個体識別に便利です。
私の頭上を飛び越えた際によく見ると、今回も左翼の羽が欠けた個体でした。(@6:12)
(途中で入れ替わっている可能性は?)

やがて止まり木から飛び出したノスリが、鳴きながら羽ばたきと滑翔(グライディング)を交互に繰り返し、水平に飛び回るようになりました。
気温が低い早朝は上昇気流が未だありませんから、大型猛禽類のノスリにとって鳴きながら飛び回るのは結構大変な労力のはずです。
それにも関わらず何度も繰り返すということは、何か目的があるはずです。
早朝に飛び回ってパトロールする範囲が縄張りなのでしょうか?
しかし、ノスリの縄張りがまさかこんなに狭いはずがない気がします。
カラスなどの野鳥が領空侵犯する度に追い払いに行っているのかもしれません。

やがて、画面の左下から太陽が昇り始めました。
すると野鳥のコーラスが終わり、辺りが静かになりました。

後半になると、営巣木(柳)のすぐ隣にひょろっと聳え立つニセアカシア(別名ハリエンジュ)高木の天辺に止まってひたすら鳴き続けていました。
油断なく辺りをキョロキョロ見回しています
最後にニセアカシアの枝から左に飛び立ち、お気に入りのポプラ樹冠に飛び込みました。

この時間帯に観察するのは初めてでしたが、ノスリ親鳥の早朝の行動パターンがだいぶ分かってきました。

※ 動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています


後々考えると、このとき私はノスリ親鳥を困らせていた(苛立たせていた)のかもしれません。
川を挟んで対岸に三脚を立てて長時間撮影(ブラインド未使用)している私を警戒して、親鳥が朝にやるルーチンが変わってしまった可能性が高いです。
言い訳になりますが、ノスリの鳴き声がバリエーションに乏しくて、素人の私にはその意味が正しく解釈できませんでした。
巣の近くで鳴き続けているのはノスリ♂が毎朝やってる囀りさえずり(縄張り宣言のモーニングコール)なのだろうか?と暢気に考えていたのです。
参考資料を読んで予習したときも、ノスリの営巣習性や鳴き声の意味について詳しい記録を見つけられませんでした。
後日になって別種の猛禽に関する専門書(§)を読み漁っていたら、もしかすると私が我流でやった初期の観察法がノスリの親鳥にストレスを与えていたのかもしれないと気付かされました。
(§ 特に氏原巨雄『オオタカ観察記』と宮崎学『鷲鷹ひとり旅』の2冊が非常に素晴らしく、観察ノウハウのバイブルとして今後の参考になりそうです。)


つづく→#10:早朝に営巣木の上空でノスリ親鳥を追い回すハシボソガラス(野鳥)


ノスリ(野鳥)♪@ニセアカシア樹冠
ノスリ(野鳥)♪@ニセアカシア樹冠・全景+日の出
ノスリ(野鳥)♪@ニセアカシア樹冠

ランダムに記事を読む

  • 落ち葉や若葉を掻き集めて巣穴に運び込むニホンアナグマ♀【トレイルカメラ】巣材集め17/12/2023 - 0 Comments
  • 網の張り替えで足場糸を張るジョロウグモ♀27/09/2011 - 0 Comments
  • ハチミツソウの花で採餌するクロマルハナバチ♀12/01/2018 - 0 Comments
  • セイタカアワダチソウの花蜜を舐めるフタモンアシナガバチ♂03/04/2014 - 0 Comments
  • ミズナラの樹液を吸うムナビロオオキスイ18/10/2014 - 0 Comments