2012/09/29

行水後に羽繕いするクロツグミ♀幼鳥? 【野鳥】



2012年7月中旬

山中の池で水浴びする野鳥を観察するため、この日も朝から張り込みました。
梅雨なのに水量が減ってきているのが心配です。
お世辞にもきれいな水とは言えず、私の目には泥水に見えます。
それでも野鳥にとっては貴重な水場なのでしょう。


一羽の鳥が岸の茂みの下にこっそり隠れて羽繕いしています。
残念ながら行水シーンは撮り損ねました。
嘴が黄色っぽい他は全体が地味な色の鳥です。
何という鳥か全く分かりませんが、何かの幼鳥でしょうか?
最後は飛び立つ訳でもなく、跳んで茂みの奥に姿を消しました。


いつもお世話になっている「日本野鳥の会 宮城県支部・やまがた画像掲示板」にて質問したところ、httさんより「クロツグミ♀の幼鳥ではないか」とご教示頂きました。
クロツグミTurdus cardis)は初めて撮れたことになります。








歩道の縁石からスズバチの泥巣を発掘

2012年9月上旬

農村部の歩道縁石の側面に大きな膨らみがありました(標高300m地点)。
独特の形状からスズバチ♀(Oreumenes decoratus)の作った泥巣のようです。
車道の左右は水田、砂利の駐車場、原っぱ、家庭菜園、墓地といった環境です。

農薬散布の影響を懸念してしまいますが、立派に営巣したようです。
営巣基の縁石側面は北西を向いていて、午後になると西日を直接浴びるようになっていました。



右側面

上から見下ろす

左側面
採寸してから発掘開始。
七つ道具のマイナスドライバーで泥巣の縁から少しずつ削り取ります。
大量の泥で全体が覆われた巣はカチカチに乾いており、堅牢な要塞と化しています。

多少雨が降っても泥が溶けたりしないようです(防水加工?)。
雪国で蜂の子が厳しい冬を越すための断熱材なのか、あるいは厳重な寄生虫対策かもしれません。

(長い産卵管を有する寄生蜂と激烈な軍拡競争を繰り広げた結果かもしれません。)
関連記事→「キアシオナガトガリヒメバチ♀羽化直後の蛹便排泄
外皮は薄皮を何重にも塗り重ねたような感じで、土がポロポロと剥がれてきます。





かなり苦労しましたが、最後に深く差し込んだドライバーをこじって泥巣全体を剥がす際は、メリメリっと繊維を剥がすような触感がありました。
各育房が繭の絹糸で裏打ちされているためでしょうか。
育房7〜8室は横向き(水平)に配置され、縦に並んでいます。
昨年11月に発掘したスズバチ泥巣とは異なり、中に寄生バエ(ドロバチヤドリニクバエ)の囲蛹は見られず、丸々と太った黄色い蜂の子の姿が見えます。
貯食物(イモムシ)を食べ尽くした後で前蛹になっていました。

泥巣を発掘した跡



泥巣全体の重量は、90g(採集2日後に計量)。

一匹のスズバチ♀が単独で作ったと思うと、恐るべき重量の建造物です。
上記の数値は乾燥重量です。
蜂が巣材として集めてくる泥玉は水で湿っていますから、実際に運搬した総重量(巣材+獲物・貯食物)は90gよりも多いはずです。

丸ごとの泥巣を干からびないよう容器に密閉して飼育してみます。
年内にスズバチの成虫が羽化するかと期待したものの、どうやらこのまま前蛹の状態で越冬するようです。
雪国の当地でスズバチの発生は年1化ではないかという気がしてるんですけど(個人的な印象)、未だしっかりと調べた訳ではありません。(年2化かな?)

つづく→「スズバチ蛹が泥巣の育房内で蠕動




【追記】
新開孝『虫のしわざ探偵団』という本を読んでいたら、スズバチの泥巣を採集する際の独創的なノウハウが書いてありました。
泥団子全体は固いけれど、表面はポロポロはがれる。泥団子を壊さないように工夫してはがす。水で薄めた木工用ボンドを泥に吸わせるように塗り、一晩置く。(水1:ボンド1)ボンドが乾いて固まったら、下に網を添え、コテを使い、泥団子をはがす。 (p42より引用)
次に泥巣を採集する機会があれば試してみようと思います。
泥巣の表面を固めてしまったのでは成虫が泥巣を破って羽脱できないのではないかと一瞬心配になりました。
しかし、泥巣を剥がした断面から成虫が羽化してくるでしょうから、問題ないのでしょう。






2012/09/28

脱皮直後のクロアゲハ5齢幼虫が抜け殻を食べる



クロアゲハの飼育記録:その4

2012年7月中旬・室温26℃

4齢幼虫は食欲が落ちて眠の状態に入りました。

『カラー自然シリーズ28アゲハチョウ』p12によると

幼虫の成長は、気温に左右されますが、ふつう4齢になって5~6日たつと、幼虫が動かなくなります。餌も食べず、前足(胸脚)を浮かせてうずくまります。脱皮前の休眠です。休眠は、半日から1日続きます。頭の付け根や白い帯の部分が、緑色に見えてきたら脱皮は間近です。




ところが油断していたら脱皮の瞬間を見逃してしまいました。

それまで若齢幼虫は鳥の糞に擬態していましたが、一皮剥けると緑色の保護色に変身しました。
これで4齢から5齢に脱皮したと分かりました。
また、採集して以来ずっとナミアゲハの幼虫かと予想していたのですが、5齢になって初めてクロアゲハの幼虫と判明しました。

『イモムシ ハンドブック』p18によると、
クロアゲハ終齢幼虫の斜帯は茶褐色で淡色の網目模様があり、背面で切れない。




脱皮の過程を微速度撮影する計画だったので残念無念…。
本で調べるとクロアゲハの幼虫は終齢が5齢らしいので、これが最終脱皮となります。

仕方がないので悔し紛れに、脱皮直後の幼虫の様子を微速度撮影してみました(10倍速の早回し映像)。
新しい体が固まるまで、山椒の枝に掴まって休んでいるようです。
脱皮直後の5齢幼虫は緑色が未だ薄いです。
しばらくすると5齢幼虫はいつの間にか体の向きを変え、萎れかけたサンショウの葉裏に残った脱皮殻を食べていました。
これは本で予習していた通りの行動です。

カラー自然シリーズ28『アゲハチョウ』p15には脱皮殻を食べるアゲハ終齢幼虫の写真が掲載されています。
頭楯の脱皮殻は下に落ちてしまっています。
葉ごと食べるのではなく、抜け殻だけを刮げるように食しています。
たった数分で脱皮殻はきれいさっぱり無くなりました。

わずかに滓が残っている程度です。
食べ終わった幼虫はUターンして茎を登り始めました。
食草を食べる食欲は未だありません。

もし脱皮殻を取り上げて食べさせないようにすると、その後の発育にどう影響するのでしょう?

機会があれば調べてみたいものです。

  • 複数個体で対照実験が必要。
  • 抜け殻を取り上げて別個体の幼虫に与えたらどうなるか?

栄養を無駄にしないという目的の他に、天敵に存在を悟られないよう脱皮の痕跡を残さないようにしているのかもしれません。



【追記】
藤丸篤夫『アゲハチョウ観察事典』によれば、少なくともナミアゲハの場合は
ぬいだ皮は、脱皮するたびにたべてしまいますが、卵の殻のときとおなじように、たべさせないでそだててみてもちゃんと成長します。(p12より引用)





つづく→「クロアゲハ♀5齢幼虫の排便


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