2006年10月中旬
交尾器の結合部を観察するとオオカマキリ♀(Tenodera aridifolia)の生殖口に♂が精包(精子や粘液を含んだ白いカプセル)を注入しています(矢印)。
所要時間は約3時間半。
悪名高き性的共食い行動は今回起こらず、交尾後♂は無事に生還しました。
離脱の瞬間は見逃しました。
この♀は16日後に再び産卵しました。
【追記】
上村佳孝『昆虫の交尾は、味わい深い…。 (岩波科学ライブラリー)』によれば、
カマキリの交尾姿勢はバッタと同じく、「♂が上のように見えて、じつは交尾器は♀が上」というパターンだ。 オオカマキリ♂の交尾器は複数のパーツからなり、左右非対称である。(中略)♂は常に♀の右側から交尾を挑み、この左右非対称な交尾器パーツの分業によって、♀の産卵管を素早くこじ開けて交尾を開始するそうだ。 (p27より引用)
2006年10月中旬
飼育中のオオカマキリ♀(Tenodera aridifolia)が一回目に産卵した翌日、外で捕獲した♂を同じ飼育ケースに入れてやりました(婿入り)。
隙を見て♀の背中に飛び乗った♂は細い腹部をJ字に曲げて交尾を試みます。
迫られた♀は狭い飼育ケース内では体勢が悪いのか、♂を背負ったまま落ち着ける場所を探し回ります。
移動の途中で結合が外れてしまいます(矢印)。
焦って追いすがる♂の必死さ加減が見所です。
ようやく枝の先にぶら下がって静止しました。
背後からしがみ付く♂の全体重も♀が支えます。
(つづく→#2:結合部のクローズアップ)
2006年11月上旬
仰向けに引っくり返されると、カメノコテントウ(Aiolocaria hexaspilota)はしばらく擬死(死んだふり)してから起き上がろうとします。
必死にばたつかせても短い脚は地に届きません。
スロー再生で見ると、翅を広げ後転しながら跳ね起きています。
翅の下に隠れている腹部背面はこんな毒々しい色だったのかー!
右前胸部に付着した血のような赤は、危険を感じた時に脚の関節から分泌される臭い汁です。※
最後は窓の外へ飛び去りました(仏の顔も三度)。
※【追記】
『日本動物大百科10昆虫Ⅲ』p135によると、
苦く、独特のにおいをもつテントウムシの体液は、おもにあしの腿節と脛節の関節部から分泌され、一説によると彼らの血液である。
外部から刺激が与えられると反射的に異臭のある液体(reflex blood)を放出する。(『擬態だましあいの進化論〈1〉昆虫の擬態』p44より)