2021/10/11

路上で身繕いし落ち葉を舐めるアカウシアブ♂

 

2021年7月下旬・午前8:30頃・晴れ 

里山の峠道でアカウシアブ♂(Tabanus chrysurus)を発見。 
初めは日陰に居たのに、少し飛んで日向の路上に出て来ました。 
路上に散乱している紫色の落花はクズです。 
アカウシアブはスズメバチにそっくりなベーツ型擬態の好例で、出会う度に一瞬ドキッとします。 
交尾相手の♀をいち早く見つけるために♂の複眼は非常に発達していて、左右の複眼が頭頂で接しています。 
頭部のほぼ全体を占めるほど巨大な複眼です。 
♂は♀と違って吸血しませんから、刺される心配はありません。

炎天下で焼け付くように熱い舗装路を歩き回りながら、アカウシアブ♂は前脚の先を小刻みに上下させて路面に触れています。 
路面が耐え難いほど熱いのなら他の脚も同様にバタバタ動かして冷ますはずですが、前脚だけで路面を軽く叩いていました。 
前足の触覚で何か(餌?)を探索する行動なのでしょう。 

立ち止まると身繕いを始めました。 
左右の後脚を持ち上げて腹部を擦っています。 
クロアリのワーカー♀が近づいて来ると、アカウシアブ♂は嫌がって飛び立ちました。 
少し離れた路肩の白線上に着地したものの、すぐにまた飛びました。 

枯葉に覆われた日陰の路肩に移動すると、落ち葉の表面を舐めているようです。 
ミネラルを摂取しているのかな? 
立ち止まると黒くて太い口吻を前足で拭いました。  
関連記事(6年前の撮影)▶ 路上のアカウシアブ♀

2021/10/10

ノアザミの花蜜を吸うオオウラギンスジヒョウモン♂に繰り返しちょっかいを掛けるモンシロチョウ♂の謎【HD動画&ハイスピード動画】

 

2021年7月中旬・午後13:50頃・晴れ 

水田の畦道に咲いたノアザミの群落でオオウラギンスジヒョウモン♂(Argyronome ruslana)が訪花していました。 
この組み合わせは初見です。
左翅の後翅がひどく破損した個体でした。 
閉じた翅をときどき開閉しながら吸蜜しています。 

後半は、オオウラギンスジヒョウモン♂が花から飛び立つ瞬間を狙って240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@1:58〜) 
すると、モンシロチョウ♂(Pieris rapae)が飛来してノアザミの同じ頭花から吸蜜を始めました。
関連記事▶ ノアザミに訪花吸蜜するモンシロチョウ【HD動画&ハイスピード動画】
2種が仲良く並んで吸蜜しているのかと思いきや、頭花上でニアミスすると、先にオオウラギンスジヒョウモン♂が翅を小刻みに開閉して威嚇しました。 
体格に劣るモンシロチョウ♂は飛び立つと、隣の頭花へ移動しました。 
しかし、どうやら隣のノアザミは蜜量が少なかったようです。 
モンシロチョウ♂は再び飛び立つとオオウラギンスジヒョウモン♂の周囲をホバリングのようにしつこく飛び回ります。 
翅の色も模様も所属する科も違いますから、誤認求愛のはずはありません。 
蜜源植物を巡る占有行動(闘争)なのでしょう。 
「順番待ちしてるんだから、早くそこをどいて俺に譲ってくれ〜」と言っているようです。 
モンシロチョウ♂が何度も戻ってきて嫌がらせしても、体格に勝るオオウラギンスジヒョウモン♂は全く動じずに吸蜜を続けています。 
モンシロチョウ♂は諦めて飛び去りました。
モンシロチョウが羽ばたいた際に、前翅前縁の灰色が薄いので♂と判明。 
 

水辺の獣道でアメリカザリガニの死骸を持ち去るホンドタヌキ【トレイルカメラ】

 

2021年7月中旬・午後18:53(日の入りは午後19:01)・気温23℃

前回の記事(3日前の撮影):▶ アメリカザリガニの死骸に群がるキンバエとニクバエが繰り広げる行動


実は、水辺の獣道に仕掛けておいた無人カメラ(トレイルカメラ)のちょうど目の前の地面(泥の上)でたまたま2匹のアメリカザリガニProcambarus clarkii)が並んで死んでいたのでした。 
死骸の生物分解が進んだ3日後の日没直前に、1頭のホンドタヌキNyctereutes viverrinus)が水辺の獣道を左から登場しました。 
トレイルカメラで野生のタヌキを明るい時間帯に撮れたのは初めてです! 
厳密な夜行性ではなく、薄暗くなる頃(薄暮)から採食活動を始めるようです。 
虫の知らせでトレイルカメラの撮影時刻の設定を夕方から夜明け後に変更しておいたのが幸いしました。 

泥が乾いた地面の匂いを嗅ぎながら進んで来たホンドタヌキは、アメリカザリガニの死骸を見つけると、1匹を口に咥えて獣道を引き返しました。 
決定的瞬間を1/5倍速のスローモーションでリプレイしてみましょう。 
タヌキは先に白化したザリガニ死骸の存在に気づいたはずなのに、それは素通りしています。 
未だ殻が赤くて比較的新鮮な方のザリガニ死骸を選んで持ち去っていました。 
死んだザリガニを一度近くの地面に置いて咥え直してから運搬しました。 

タヌキはなぜその場でザリガニを食べなかったのでしょうか? 
獣道は少し開けた場所なので、タヌキは警戒しているのかもしれません。 
ヨシ原の茂みの奥に隠れて自分で食べたのかな? 
あるいは、巣穴で待つ幼獣のために持ち帰って給餌した可能性も考えられます。 
タヌキの営巣地を突き止めたいところですが、遊歩道を外れて画面左のヨシ原の奥に獣道が続いていそうな雰囲気です。 
トレイルカメラの画角をもう少し左にずらして設置し直す必要がありそうです。 

松岡節『狸の来た日々』という観察記録によると、
付き合いはじめてからタヌキも食物をくわえて運ぶことを知った。運ぶ理由は、私の観察と想像からの判断であるが、食物をどこかに隠して貯蔵しておくことと、♀や子どものために運ぶ―の2つがあげられる。(kindle版より引用)
貯食の可能性を私は思いつきませんでした。
しかし、腐りかけの(というか腐った)ザリガニを改めて貯食するとは考えにくいです。

ザリガニをバリバリと食べるシーンは撮れなかったものの、死骸を持ち去ったことから、ホンドタヌキはアメリカザリガニ(の死骸)を食べることが強く示唆されました。 
この湿地帯(氾濫原)にはアメリカザリガニが多数生息していますから、タヌキがこの獣道を気に入ってよく往来している理由も納得です。 
中嶋捷恵『我が家にはいろんな動物がやって来る』という本によると、
・食性について、タヌキは肉食性が強いものの、穀類でも果物でも何でもOKだ。腐りかかった動物性の物を好んで食べる。 (p52より引用) 
・タヌキは、夏の時期、ネズミ、ヘビ、カエル、昆虫類などが主食 (p56より引用)
ちなみに、同じ日の約1時間後(日没後)にもう1頭のタヌキ(同一個体?)が現れ、獣道の匂いを嗅ぎながら逆方向に(右から左へ)通り過ぎました。 
路上に残されたアメリカザリガニの死骸に気付くと、腐臭を嫌って足早に立ち去りました。
やはり、タヌキは腐敗の進んだ死骸を食べないようです。 

※ 後半の暗視映像は動画編集時に正規化処理を施し、画面全体を明るくしています。

今思うと、ザリガニの死骸を拾い集めて監視カメラの前の獣道に予めばら撒いておく作戦を一度ぐらい試してみればよかったですね。
野生動物の餌付けは色々と問題があるので、私は躊躇してしまいました。
獣道の状態をヒトが下手に撹乱すると、野生動物は嫌がって(警戒して)来なくなるのではないか?という心配もあります。
素人の杞憂かもしれませんが、トレイルカメラを始めたばかりで勝手の分からない私は、このままストイックに(餌付け無しで)やってみることにします。


【追記】
現場の裏手は階段状にコンクリートで護岸されていて、そこにタヌキの溜め糞場uがあります。

2022年7月中旬
アメリカザリガニの外骨格(殻)の赤い破片が未消化のまま糞として排泄されていました。
確かにタヌキがザリガニを食べたという証拠が追加されました。




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