2021/01/09

メドハギの花で採餌するミヤママルハナバチ♀

 

2020年9月下旬・午後13:40頃・晴れ 

里山の林道に沿って咲いたメドハギの群落でミヤママルハナバチBombus honshuensis honshuensis)のワーカー♀が訪花していました。(標高544m地点) 
黄色いマルハナバチなので一瞬クロマルハナバチの雄蜂♂かと思いきや、後脚の花粉籠に橙色の花粉団子を付けていたので、採餌中のワーカー♀と分かりました。 
メドハギの蝶形花に正当訪花すると、長い口吻を伸ばして吸蜜しています。  
メドハギの白い花弁に紫色のハニーガイド(蜜標)があり、マルハナバチはそれを目印にして訪花するのでしょう。 
 『岩波生物学辞典第4版』によると、
ハニーガイド [英honey guide 独Saftmal] 【同】蜜標,蜜しるべ 多くの花に見られる,蜜の分泌部位を目立たせるような特別な色彩配置.他と異なる色や花被にある斑点や模様があたかも分泌部位を指示するような配列が見られる.これが訪花昆虫が蜜に到達するのを助ける機能を果していることは,実験的にも証明されている.なお,植物種によっては,ハニーガイドが可視部の色でなく紫外線反射率のちがいによって生じている場合もあり,また局部的な匂いによるハニーガイドもありうると考えられる.
ミヤママルハナバチとメドハギの組み合わせは初見です。 
私のフィールドで、ミヤママルハナバチは滅多に出会えないレア種です。 
きちんと調べた訳ではありませんが、生息地が山地の中でも一部に限局されてる印象です。
不思議なことに、この日の山行では他の種類のマルハナバチを全く見かけませんでした。

複数個体(2匹?)を撮影。 
あまりにも忙しなく飛び回るので、試しにスポーツモードで撮影してみました。 
ピントを合わせる間もなく次の花へ飛び去ってしまうため、蜂を追いかけながらの撮影には難儀しました。 
砂利道に沿って自生するメドハギ群落の中で、ミヤママルハナバチ♀の訪花ルートに規則性は感じられませんでした。 
素人考えでは、群落の端から順に訪花した方が効率良く(無駄なく)蜜源を巡回できると思うのですけど、マルハナバチの流儀は違うようです。  


マミガサキアザミの花蜜を吸うイカリモンガ(蛾)

 

2020年9月下旬・午前11:10頃・晴れ 

里山の林道沿いに咲いたアザミの群落でイカリモンガPterodecta felderi)が訪花していました。 
この組み合わせは初見です。 
 翅をしっかり閉じたまま黒い口吻を伸ばして吸蜜しています。 
干からびかけた(萎れかけた、枯れかけた)花なのに、長い時間かけて、夢中で花蜜を吸っていました。 

なかなか飛び立つ気配がないので痺れを切らした私は、指で軽く蛾に触れて飛び立たせました。 
飛び立つ瞬間を1/5倍速のスローモーションでリプレイ。 
羽ばたくと初めて翅表の赤い斑紋がちらっと見えました。
このアザミは、山形県特産のマミガサキアザミという種類だと思います。 
花の総苞に触れても粘り気がありませんでした。

2021/01/08

樹洞内の巣が壊れても居残るモンスズメバチ♀♂と居候ゴキブリの群れ【暗視映像】

 

八重桜の樹洞に営巣するモンスズメバチ:#12

▼前回の記事 
モンスズメバチの巣内で羽化した雄蜂♂、居候ゴキブリ・ゲジの跳梁跋扈【暗視映像】

2020年9月中旬・午前1:30頃・くもり(雨上がりでやや蒸し暑い)  

6日ぶりに定点観察にやって来ました。 
いつものように赤外線の暗視カメラを樹洞内にそっと差し込んでいる途中で、珍しく中からブーン♪という重低音の羽音が聞こえたので焦りました。 
寝ていたモンスズメバチVespa crabro)が警戒したのかな?  
気温は高くなく、扇風行動もしていませんでした。  

巣内を観察すると、モンスズメバチ成虫(計10匹?)の性比に圧倒的な偏りがありました。(♂>>♀) 
雄蜂♂の数が増えていて、♀(ワーカーまたは新女王)よりも数で圧倒しています。  

前回と比べて巣盤の形状が激変していて、育房が全く見えません。 
遂に私が恐れていた事態が起こりました。 
昼間にモンスズメバチの巣が誰かに破壊・駆除されてしまい、残党の成虫が巣の残骸に居残っているだけのようです。 
難を逃れたワーカー♀が健気にも新たに形成された外皮で巣を修復しようと試みているのでしょうか? 
しかし育房内で育つ幼虫が居ないと在巣の成虫は栄養交換できずに飢えてしまうことになります。  
駆除されたとしたら、樹洞の底に巣の破片が散乱していたはずですが、迂闊にもこの日の私は気づきませんでした。
私が初めに聞いた謎の羽音も、最近昼間に巣を駆除されたモンスズメバチが樹洞への侵入者に対して敏感になり、警戒の羽音を立てたのかもしれません。

モンスズメバチのワーカー♀が減少したせいで、巣の防衛力が明らかに低下しています。 
その結果、樹洞内に居候する多数のヤマトゴキブリPeriplaneta japonica)が傍若無人に徘徊するようになりました。 
モンスズメバチがゴキブリを攻撃したり巣から追い払ったりする行動は皆無でした。 
その結果、居候ゴキブリによる巣の食害を抑止できなくなったのでしょうか? 
しかし、ゴキブリの口元にカメラをズームインしても巣を食べているかどうか定かではありません。 
パリパリ♪という咀嚼音も聞こえませんでした。 

樹洞内に隠しカメラを据え付けて微速度撮影(タイムラプス)すれば、モンスズメバチの巣に一体何が起こったか一部始終を記録できたはずです。 

ゲジらしき多足類も樹洞内を徘徊していました。(@2:11。巣の外側:4時の位置) 
モンスズメバチの巣の方へ近づいていたのに、撮影中は気づかず別の場所にズームインしてしまいました。 

赤外線カメラのモノクロ映像では巣の破壊状況がよく分からないので、白色光でも撮影しようか迷いました。 
しかし、スズメバチ用の防護服を着用していないので自重しました。(安全第一) 
白色光の照明で照らした途端に夜行性のゴキブリは散り散りに逃げ出して、撮れなさそうな気がします。 

撮影後に赤外線のデジタル温度計で測定すると、 樹洞内壁(巣門)の表面温度は20.8℃。 
巣内に残った外皮の表面温度は20.7℃。 
営巣木の周囲の外気温は21.0℃、湿度80%。 



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