2015/11/27

脱皮直後のジョロウグモ♀(蜘蛛)と交接を繰り返す♂



2015年9月上旬・くもり

ジョロウグモ♀♂の定点観察#6


窓の外に張られた網でジョロウグモNephila clavata)♀が脱皮を済ませていました。
亜成体から脱皮して、めでたく成体になりました。
2日前に見たとき(#1〜5)より網を少し横に移動していました。
脱皮殻がイワガラミの蔓に糸で固定され風に揺れています。
抜け殻を採集したくても、窓の外で手が届きません。
脱皮の過程を見逃してしまったのも残念でした。

♀に付き添う♂は一匹のみで、近くにライバル♂の姿はありませんでした。
長期間の交接前ガードの苦労が報われた♂αが、脱皮直後の♀と交接しています。
脱皮直後の♀はしばらく安静にしていないといけないので、♂にとっては性的共食いされずに交接する絶好のチャンスです。

『自然の観察事典21:網をはるクモ観察事典』p22によれば、

ジョロウグモの♂の80%近くが、この♀の脱皮のときに、結婚のための交接をおこないます。のこりの20%は、♀がえさをたべて油断しているときをねらって交接します。


♀が嫌がり横に移動してくれたおかげで、撮影に邪魔な抜け殻と被らなくなりました。
脱皮直後の体がようやく固まり、動けるようになったのでしょう。

網の状態を見ると、ジョロウグモの網特有の美しい規則的な構造は失われています。
♀の脱皮前後にしばらくメンテナンスせず、♂が網を一部勝手に壊したりしたせいで、かなり壊れています。

歩脚で♂を優しく押し退けると、歩いて網を左上に少し移動し、下向きに占座。
常に♂がつきまとっています。
再び♂が交接を迫るも、♀が軽く拒否したようです。
それでも諦めない♂は 左の触肢を外雌器に差し込みました。
その間、♀はおとなしく受け入れています。
最近、別のジョロウグモ♀♂ペアの交接シーンをマクロレンズで接写していますが、今回は望遠マクロに徹します。
しばらくすると♀が第3脚で♂を払いのけ、♂は退散しました。(@4:42)

ほとぼりが冷めると♂が再び♀の後方から近づき交接を試みます。
おとなしかった♀が拒否を始め、網をほんの少し下に移動しました。
♂は一度離れてもしつこくすぐに戻って来ます。

ようやくじっくり交接を始めたものの、♀が体勢を変えたせいで(背中の向きを少し変えた)、結合部がしっかり見れなくなってしまいました。
ガラス窓越しに撮影しているため、網の反対側に回り込みたくても無理なのです。

珍しく♂が自ら結合を解除し(触肢を外雌器から抜き)、♀から離れました。(@7:20)
移精が完了したようです。
これで♂は満足したかと思いきや、驚いたことに♂は少し休憩するとまた貪欲に交接を繰り返します。
精力絶倫ですね。

ところで、交接の途中で♀が拒否する場合があるのは♀の気紛れなのでしょうか?(女心と秋の空)
♂が経験不足だったり手際が悪いと♀に痛みを与えてしまうのですかね?

交接を繰り返すペアを長時間撮影して分かったことは、ハエトリグモなどで見られるような儀式化された求愛行動はジョロウグモには無さそうだということです。
♀に近づく前に網の糸を弾いて信号を送るというような行動も見られませんでした。

つづく→#7:交接を繰り返す精力絶倫のジョロウグモ♀♂【蜘蛛:10倍速映像】



キアシナガバチ♀同士が巣上で喧嘩



2015年7月下旬

キアシナガバチ巣の定点観察@トウカエデ枝#8


在巣の蜂は計6匹写っています。
この日はキアシナガバチ♀(Polistes rothneyi)♀同士の激しい優位行動が繰り広げられ、巣上は絶え間ない闘争で騒然としています。
何がきっかけとなったのか不明ですけど、かなり気が立っていてます。
劣位個体は何をされても無抵抗です。
常識的に考えれば、ヒステリックに攻撃している個体は創設女王でしょう。
ミツバチの女王蜂は女王物質というフェロモンで化学的にコロニーを統治しますが、アシナガバチは女王が娘(ワーカー♀)を力づくで支配しないとクーデターを起こされ勝手に産卵されてしまいます。
虐められた劣位の♀ほど卵巣が退縮するそうです。
個体標識すれば順位制がはっきり見えてくるはずですが、とても余力がありませんでした。

映像後半では幼虫と栄養交換してから、成虫間で口づけを交わしました。(@1:00)
栄養交換以外にも「相手を宥める挨拶」「優位性を確認する儀式的行動」という意味合いがあるのかもしれません。

依然として繭キャップが作られていない点も気がかりです。
成虫の数に対して幼虫がいつまでも少なく成虫の栄養源である栄養交換にも事欠くのではないか?と心配になります。
このコロニーはシーズンの途中で引っ越してきた二次巣と考えられるのですが、実は何らかの理由で女王が不在ではないか?という疑念が浮かびます。
ワーカー♀産卵が横行し互いに食卵し合っているせいで、なかなか幼虫が孵化しないのかもしれません。
(個体識別できていませんし観察時間も少ないので、ただの想像に過ぎません。)

つづく→#9:夜に繭を紡ぐキアシナガバチ老熟幼虫【暗視映像】


2015/11/26

ユカタヤマシログモ(蜘蛛)の徘徊・身繕い



2015年9月中旬

ユカタヤマシログモの飼育記録#1

地下室へ降りる階段の天井にユカタヤマシログモScytodes thoracica)を見つけました。
憧れのクモでしたが、実物と出会えたのは初めてです♪
捕獲して飼育開始。
発見時から右の第4歩脚が根本付近から欠損しています(-R4)。
頭胸部が非常に大きく発達しており、アンバランスに感じます。
その頭胸部には左右一対の釣り針状の模様が目立ちます。

本種は造網しない徘徊性のクモなので、プラスチック容器の壁面も自在に登れるはずです。
ところが壁をよじ登ろうとして滑落しました。
ひっくり返っても自力ですぐ起き上がりました。
立ち止まると歩脚を手招くように動かしています。
やがて身繕いを始めました。

歩脚や両触肢の先を舐めて(甘噛みして)化粧しています。
牙を掃除しているのかもしれません。
左右の触肢の先を互いに擦り合わせたり、歩脚L3L4の先を互いに擦り合わせたりしている行動も見られました。

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。


つづく→#2:オオヒメグモを捕食するユカタヤマシログモ(蜘蛛)


ランダムに記事を読む

  • ノブドウの花蜜を吸うコガタスズメバチ♀30/12/2017 - 0 Comments
  • モクゲンジの花蜜を吸うルリシジミ♂23/03/2023 - 0 Comments
  • 道端の枯草を食すニホンカモシカ♂(左角欠け)02/05/2014 - 0 Comments
  • 昼塒のトンネル天井で身繕いするコウモリ【暗視映像】(名前を教えて)12/04/2018 - 0 Comments
  • 巣で給餌後に抱雛するハシブトガラス♀(野鳥)28/08/2017 - 0 Comments