2012/03/06

食べかけの熟柿を咥えたままのハシボソガラス【冬の野鳥】



2012年2月上旬

朝、出かけるときに電線に止まったカラスの群れを何気なく見上げると、一羽のハシボソガラスCorvus coroneが嘴に何かを咥えていました。
カメラでズームして口元を見ると、どうやら熟柿の欠片のようです。



どうしてすぐに食べないのだろうと不思議に思いました。
朝の寒さでカキの実がシャーベットのように凍りついているのだろうか?
鳥は歯が無いので知覚過敏とは無縁な筈です。
好物は最後まで取っておく性格の個体なのかな?
もしかすると求愛給餌の準備なのかもしれない、と思いつきました。
カラスはそのまま山の方に飛び去り熟柿を運んで行きました。
どこかに貯食するのでしょうか?

求愛給餌(きゅうあいきゅうじ)
獲物を求愛相手に差し出すことで行う求愛行動。一般に、雄から雌に対して行い、雌が受け取ることで求愛を受け入れたことを示す。(wikipedia「鳥類用語」の項より)

帰ってからインターネットで検索してみると、確かにカラスも求愛給餌を行うようです。
しかし、果たしてこんな厳冬期に繁殖や子育てをするのだろうか?…と思ったら、3月の雪の日にハシブトガラスの求愛給餌を観察した方のブログを見つけました。


【追記】
『カラスは街の王様だ』p167によると、二月は繁殖期に入り、テリトリー意識が強まる頃なのだそうです。

『スズメの少子化、カラスのいじめ:身近な鳥の不思議な世界』p115によると、カラスの求愛給餌は早春に始まるらしい。東京では2月中旬に見られるとのこと。



【追記2】

ふつうの鳥は果実をその場で飲み込む食べ方しかしない。
しかしハシブトガラスは、果実をクチバシにくわえて持ち去ることで、一口では飲み込めないような大きな果実も持ち去っている。
ハシブトガラスが持ち去る果実(ミツバアケビやビワなど)は生もので貯えてもすぐに腐ってしまう。
そのため、持ち去ってからすぐに食べていると考えられる。
(直江将司『わたしの森林研究―鳥のタネまき​に注目して』p119より引用)




ハシブトガラスは体重が500グラムもある。(中略)
そのため、小鳥たちが飲み込めないような大きな果実を食べて、その種子を散布している可能性がある。
もしそうなら、森林改変によって大きな果実の散布者である哺乳類がいなくなっても、ハシブトガラスがその役割をある程度肩代わりしてくれるかもしれない。
(同書p108 より引用)





2012/03/05

ヤマガラがアカマツの実を採食【野鳥】



2012年2月上旬

雪山の尾根でアカマツの木に二羽のヤマガラParus varius)が訪れていました。
鳴きながら嘴で松ぼっくりを啄いて採食しています。



2012/03/04

ウスタビガの空繭(蛾)



2012年2月上旬

里山の雑木林で枝先に(樹種不明)ウスタビガRhodinia fugax fugax)の空繭(羽化後の抜け殻)がぶら下がって風に揺れていました。
厳冬期に雪景色の中で鮮やかなペパーミントグリーンを見つけると不思議な(幸せな)気持ちになります。
落葉する前は見事な保護色で見つけたことがありません。
繭の表面に卵が産み付けられていないので、♂の繭かもしれません。※
出口は財布のような構造で軽く閉じられています。
繭の底に排水口が作られているのも不思議。
いつか幼虫を飼育して、この独特な形状の繭(別名:山かます、吊りかます)を紡ぐ様子を観察してみたいものです。
ウスタビガの幼虫はなんと、繭を紡ぎながらキューキュー♪鳴くそうで、益々興味がそそられます。

※ 【追記1】
ウスタビガの繭は、大きさと形のちがいから中の蛹が♂なのか♀なのかは、事前にわかるのだ。(『ぼくは昆虫カメラマン』p101より)


 【追記2】
『繭ハンドブック』によると、繭が枝などから落ちないように繋ぐための絹糸でできた柄を「繭柄(けんぺい)」と言うそうです


縁石に産卵中のウスタビガ♀成虫

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