2017/07/02

ハシボソガラスが雪国でクルミ割りする苦労とは(冬の野鳥)



2011年3月上旬

アパートの駐車場でハシボソガラスCorvus corone)がクルミの実を割っていました。

餌の乏しい冬こそ栄養価の高いクルミの実は貴重です。
カラスは固いクルミを咥えて飛び上がり空中で離すと、融雪で露出したアスファルトに落としました。
一度の落下衝撃では割れないので、根気強く何度も繰り返しています。
消雪パイプの水が届かず雪の積もった場所にクルミが落ちると雪がクッションになり、当然クルミは割れません。
カラスはどこにクルミを落とすか空中で狙いを定める必要があるのです。

ところが狙いを定めて落としても、何度目かのチャレンジで駐車場を勢いよく転がったクルミが雪の中に埋まってしまい、クルミを見失ったようです。
雪の上を歩いて探し回るものの、苦労して割ったクルミを見つけられないでいます。
やがてカラスは拗ねたように立ち去りました。
次回からは学習して、辺りに雪が残っていない広けた場所でクルミ割りをするようになるかもしれません。

あるいはこの件を覚えておいて、根雪が溶けるのを待ってクルミの実を探しにこの駐車場へ戻って来るかもしれませんね。


『科学のアルバム:カラスのくらし』p48によると、

空中からものを落としてわる習性は、カモメでも知られています。しかし、カモメはどこに落とせばその物が割れるか分かっていないようですが、カラスは、どこに落とせば割れるかをよく知っているようです。


※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。
手前の木の枝が邪魔なのでお蔵入りしていましたが、冬季のクルミ割り行動は面白いと再評価して遅ればせながら公開を決めました。




2017/07/01

夜明け前の川で目覚めるコハクチョウとサギ類の混群(冬の野鳥)



2016年11月上旬・午前5:39~6:03(日の出時刻は午前6:11)

コハクチョウCygnus columbianus)の集団塒がある川に徹夜で向かい、現場に着いたのは午前5:05。
真っ暗な川から野鳥の鳴き声が聞こえました。
川に降りる土手の草むらに霜が降りていました。
カモの群れが夜空を飛んでいたものの、暗過ぎて動画には撮れませんでした。

夜が白々と明け始めると、ようやく集団塒の様子が見えてきました。
川に朝霧が立ち込めています。
暗いうちはズームしてもAFの効きが悪いのです。
暗い川の中央部で白鳥が群れで寝ており、群れの辺縁には白鷺(おそらく冬鳥のダイサギ、コサギもいる?)も数羽居ました。
また、途中でアオサギが左(下流)から飛来し、集団塒の右端に着陸、合流しました。
コハクチョウとサギ類が混群の集団塒で夜を過ごしたことが分かりました。
手前の川岸近くにはカモ類が漂う別の集団塒がありました。

映像からコハクチョウを数えると、成鳥が20羽、幼鳥が4羽でした。
眠りから目覚めた個体からコハクチョウは朝の羽繕いを始めました。
体を上下に揺すって冷たい川の水を背中に何度もかけて水浴びしています。
やがてコハクチョウが小声で鳴き交わしながら川面を移動し始めました。

一方、白鷺は目覚めると塒には長居せずに、川から次々と飛び立ち上流に消えました。
もしかするとコハクチョウよりも警戒心が強く、対岸から撮影する私の存在を嫌ったのかもしれません。

朝日が昇り気温が上がると、カメラのレンズが急に結露して困りました。
レンズフードを装着しなかったのは失敗です。
次からはレンズヒーターなどの結露対策をしっかり考えないといけません。
不織布でレンズを拭いたら復活。

※ 映像の途中から(@1:49~)編集時に自動色調補正を施しています。
(実際はもっと暗く、朝靄に包まれてぼんやりしていました)

つづく→朝焼けの川とコハクチョウの群れ(冬の野鳥)


川に潜って漁をするカワウ(野鳥)



2017年4月中旬

私が川沿いの道を歩いていると、上流から飛んで来た大型の鳥とすれ違いました。
一瞬アオサギかと思いきや、見たことのない真っ黒な鳥で、震撼しました。
予定を急遽変更し、慌てて後を追いました。
黒い鳥の正体はクロサギではなくカワウPhalacrocorax carbo)でした。
こんな街中を流れる川で初見の水鳥と出会えて、久々に大興奮。

カワウは川に着水すると、橋の下で潜水漁を始めました。(映像はここから)
早春の川は大量の雪解け水で流れが早く、カワウは潜っている間に下流へどんどん流されてしまいます。
私も必死で追いかけます。
どうやら漁場として橋の下を好んで選んでいるような印象を受けました。
橋の下付近は水深が比較的深くて(淵)、獲物の魚が多いのでしょうか?

水中で魚を捕らえると丸呑みにするのですが、次回はこの「鵜呑み」にするシーンをしっかり撮りたいものです。

やがて潜水漁を中断して川の中洲に上陸しました。
カワウの特徴である腰の白斑を確認できました。
かなり目立ちますね。
カルガモが居る中洲を横断するとカワウは再び入水し、潜水を再開。
最後は川から飛び立つと、橋の下をくぐり下流へ去りました。

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。

参考:山形県におけるカワウの飛来状況 2004(PDF



【追記】
藤田祐樹『ハトはなぜ首を振って歩くのか(岩波科学ライブラリー)』によると、
水中で魚を捕らえるカワウでは、水中での視力は、人間の水中での裸眼視力とたいして変わらないという。水中でさほど視力がよくないとすれば、どうやって彼らは魚を認識して捕食するのだろう? ひとつの可能性としては、近くだけで見ていることが考えられる。(p100より引用)



中川雄三『水辺の番人 カワウ (月刊たくさんのふしぎ2017年11月号)』によると、
・カワウは目がよく見え、にごった水のなかでも獲物を探すことができます。「鵜の目鷹の目」という言葉もあるほどです。 (p12より引用)
成長とともに鼻の穴が完全にふさがるなど、潜水に適したからだをもっていて、水に潜る能力は水鳥のなかでも群を抜いています。 (p17より引用)




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